ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
魔族の戦闘能力
初めてマリアと出会った時、マリアは大剣を背負っていた。
今、マリアの背中は俺の定位置になっている。では大剣はどこにいったのか。
それは俺の体内だ。
俺のスキル『体内拡張』の効果で、体の面積以上の道具や荷物を収納できる。
理屈はよくわからない。おそらく、魔力によって体内の空間がねじ曲がっているのかもしれない。
じゃ、『スキル』ではないく『魔法』になるのではないか?
そんな疑問も浮かぶが、魔力を理由した物理現象の歪みも『スキル』に分類されるのが魔物が魔物と言われる所以なのだろう。
 結局、理屈はよくわからないわけだが……
マリアは大剣を構える。
場所は狭い室内。大剣には不似合いな場所にも関わらず、マリアの構えは堂に入っていた。
その姿にコウ少年は「うん……」と興味深くマリアと、その大剣を見つめた。
「その剣、何者かの手によって洗礼を受けているみたいだね。所謂、聖剣と言われる剣の部類かな」
その言葉に心底驚かされた。
「あの大剣が……マリアの大剣が聖剣だって!」
「うん、ごめんね。黙っていて……」とマリアの表情に翳りが見えた。
「いや、普通にダメだろ。魔物に聖剣なんてもの食べさせたら……」
俺、下手したら普通に死んでたぞ。体とか溶けちゃう可能性もあったよ。
よかった。暇な時にでも研磨しておいてあげようと思っていたが、実際にやってたら、俺の体はどうなっていた事やら……
爆散していた可能性もあったわけで……
「まぁ、聖騎士だからね。普通に聖剣を持っていても想定内だったから気にするな」
「ん、ありがとうミッくん!」
そんな俺とマリアのやり取りに何か思うところでもあったのか、コウ少年は―――
「人間と魔物のつがいなのかな。いや、魔物の中身は人なのか。それでも十分に珍妙だけど……うん、面白いね!」
「ねぇ、ミッくん!つがい…って何?」
「後でいくらでも教える!今は集中しろ!」
俺の叫び声が合図になったのか、コウ少年が前に出る。
―――そのタイミング。
マリアはコウ少年の動きを読んでいたのか。片手突きでカウンターを放った。
打撃音と聞き間違えるほどの強烈な剣撃音。
だが、それを受けてコウ少年は平然と立っていた。それどころか―――
「凄い踏み込みだね。でも、聖騎士のスキルも聖剣そのものを十分に力を発揮できていない?封印されているのかなぁ?」
何かに勘付いたマリアは聖剣を引こうとする。
しかし、遅かった。マリアが引くよりも速く、コウ少年は手刀を振りかぶり―――
バッキ――
聖剣は叩き割られた。それも素手によって―――
「なっ!」と悲鳴のような声をマリアがあげる。
「安心して、命まで奪わないから……」
コウ少年は掌底をマリアのアゴに向けて放つ。
「―――させるか!」
間一髪。俺は触手をコウ少年に絡みつける。
しかし、動きを止めれたのは一瞬だけ。俺にはコウ少年が何をしたのか知覚する事すらできなかった。
その場で横回転したかと思ったら―――
「痛っ!」
俺は触手から痛みを感じ、それで触手が切断されたことに気づいた。
「触手から毒素を送り込むタイプか……でも、この程度の毒じゃ僕は止められないね」
背筋に寒気は走る。
束縛すると同時に放った麻痺毒が効いていない。
本当に生物か? いや、それよりも―――
魔族と言っても肉体は人間。それなのに毒が効かないのは肉体が魔族へ変化しているのか?
「正解。そのための儀式。そのための魔法陣だよ」
気づけば、目前にコウ少年―――
前蹴りが入り、一瞬の浮遊感。そして、壁との接触で全身がバラバラになるような衝撃に襲われた。
「接触時に魔力を流し込んだ。もう動けないでしょ?」
その通りだった。意識はしっかりしている。しから、体は言う事を聞いてくれない。
コウ少年は俺に興味を失ったかのように―――
マリアに向かった。
「―――っ!に、逃げろ、マリア!」
マリアは折れた聖剣を捨て、素手で構える。
無茶だ。こんな怪物に素手で勝てるはずがない!
マリアが放った右ストレート。
コウ少年はそれを避けると一瞬でマリアの背後に回った。
振り向こうとするマリア。それよりも速く、コウ少年の腕がマリアに触れる。
それだけだった。それだけでマリアは意識を失い、前に倒れた。
おそらく、たぶん、俺にしたように魔力を直接マリアの体に流した。
それだけ―――それだけで意識を刈り取ったのだ。
「―――ッッッ!?」
失神したマリアを見て、俺の中で何かが噛み合うような音がした。
まるで失われた歯車が元に戻ったかのように―――
そして、俺の脳内には、こんな声が聞こえたのだ。
『ユニークスキル 比類なき同族殺し 緊急事態により限定的擬似使用を許可。目標を魔族、人間、魔物と一致 戦闘能力を強制上昇させます』
今、マリアの背中は俺の定位置になっている。では大剣はどこにいったのか。
それは俺の体内だ。
俺のスキル『体内拡張』の効果で、体の面積以上の道具や荷物を収納できる。
理屈はよくわからない。おそらく、魔力によって体内の空間がねじ曲がっているのかもしれない。
じゃ、『スキル』ではないく『魔法』になるのではないか?
そんな疑問も浮かぶが、魔力を理由した物理現象の歪みも『スキル』に分類されるのが魔物が魔物と言われる所以なのだろう。
 結局、理屈はよくわからないわけだが……
マリアは大剣を構える。
場所は狭い室内。大剣には不似合いな場所にも関わらず、マリアの構えは堂に入っていた。
その姿にコウ少年は「うん……」と興味深くマリアと、その大剣を見つめた。
「その剣、何者かの手によって洗礼を受けているみたいだね。所謂、聖剣と言われる剣の部類かな」
その言葉に心底驚かされた。
「あの大剣が……マリアの大剣が聖剣だって!」
「うん、ごめんね。黙っていて……」とマリアの表情に翳りが見えた。
「いや、普通にダメだろ。魔物に聖剣なんてもの食べさせたら……」
俺、下手したら普通に死んでたぞ。体とか溶けちゃう可能性もあったよ。
よかった。暇な時にでも研磨しておいてあげようと思っていたが、実際にやってたら、俺の体はどうなっていた事やら……
爆散していた可能性もあったわけで……
「まぁ、聖騎士だからね。普通に聖剣を持っていても想定内だったから気にするな」
「ん、ありがとうミッくん!」
そんな俺とマリアのやり取りに何か思うところでもあったのか、コウ少年は―――
「人間と魔物のつがいなのかな。いや、魔物の中身は人なのか。それでも十分に珍妙だけど……うん、面白いね!」
「ねぇ、ミッくん!つがい…って何?」
「後でいくらでも教える!今は集中しろ!」
俺の叫び声が合図になったのか、コウ少年が前に出る。
―――そのタイミング。
マリアはコウ少年の動きを読んでいたのか。片手突きでカウンターを放った。
打撃音と聞き間違えるほどの強烈な剣撃音。
だが、それを受けてコウ少年は平然と立っていた。それどころか―――
「凄い踏み込みだね。でも、聖騎士のスキルも聖剣そのものを十分に力を発揮できていない?封印されているのかなぁ?」
何かに勘付いたマリアは聖剣を引こうとする。
しかし、遅かった。マリアが引くよりも速く、コウ少年は手刀を振りかぶり―――
バッキ――
聖剣は叩き割られた。それも素手によって―――
「なっ!」と悲鳴のような声をマリアがあげる。
「安心して、命まで奪わないから……」
コウ少年は掌底をマリアのアゴに向けて放つ。
「―――させるか!」
間一髪。俺は触手をコウ少年に絡みつける。
しかし、動きを止めれたのは一瞬だけ。俺にはコウ少年が何をしたのか知覚する事すらできなかった。
その場で横回転したかと思ったら―――
「痛っ!」
俺は触手から痛みを感じ、それで触手が切断されたことに気づいた。
「触手から毒素を送り込むタイプか……でも、この程度の毒じゃ僕は止められないね」
背筋に寒気は走る。
束縛すると同時に放った麻痺毒が効いていない。
本当に生物か? いや、それよりも―――
魔族と言っても肉体は人間。それなのに毒が効かないのは肉体が魔族へ変化しているのか?
「正解。そのための儀式。そのための魔法陣だよ」
気づけば、目前にコウ少年―――
前蹴りが入り、一瞬の浮遊感。そして、壁との接触で全身がバラバラになるような衝撃に襲われた。
「接触時に魔力を流し込んだ。もう動けないでしょ?」
その通りだった。意識はしっかりしている。しから、体は言う事を聞いてくれない。
コウ少年は俺に興味を失ったかのように―――
マリアに向かった。
「―――っ!に、逃げろ、マリア!」
マリアは折れた聖剣を捨て、素手で構える。
無茶だ。こんな怪物に素手で勝てるはずがない!
マリアが放った右ストレート。
コウ少年はそれを避けると一瞬でマリアの背後に回った。
振り向こうとするマリア。それよりも速く、コウ少年の腕がマリアに触れる。
それだけだった。それだけでマリアは意識を失い、前に倒れた。
おそらく、たぶん、俺にしたように魔力を直接マリアの体に流した。
それだけ―――それだけで意識を刈り取ったのだ。
「―――ッッッ!?」
失神したマリアを見て、俺の中で何かが噛み合うような音がした。
まるで失われた歯車が元に戻ったかのように―――
そして、俺の脳内には、こんな声が聞こえたのだ。
『ユニークスキル 比類なき同族殺し 緊急事態により限定的擬似使用を許可。目標を魔族、人間、魔物と一致 戦闘能力を強制上昇させます』
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