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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

シーラ女王と騎士

 
 「君がマリア・クルスかな?」

 声がした。女性の声だ。よく、通る声だった。
 その声で、ギルド1階の騒めきが止まった。
 俺は、声の主を探した。すぐに見つからる。
 相手はこちらに向かうと、他の冒険者が逃げるように離れていくからだ。

 「始めまして」

 その女性は貴族だ。見た目でわかる……圧倒的な貴族力。
 金髪縦ロールの髪型。純白の鎧に真紅のマント。
 何より美しく、凛々しさを感じ取れる。
 年齢は……不明。見た目ではわからない。

 「余の名はシーラという。フルネームはシーラ・デホヤ。皆が呼ぶ二つ名は―――

 『女王クイーンだ』

 彼女は―――シーラ女王はマリアの手を握った。握手だ。
 シーラ女王は満足顔だが、一方のマリアは困惑顔だ。

 「えっと……私に何か?」
 「そうだね。このギルドで私以来の特殊職業ユニークジョブの持ち主が現れたと聞いてね。遠征から急ぎ足で帰ってきたのさ」
 「シーラさんも特殊職業ユニークジョブ持ちなのですか?」

 マリアの質問に、何かおもしろい所があったのか……
 「はっはっは……」と女王は笑った。
 本人は、それが自然体なのだろうが、俺には、どうも大げさで芝居がかって見えた。

 「失礼。私の職業は、二つ名と同じ……つまり、『女王』なのさ」

 俺は、彼女の言葉を理解するまで、暫くの時間が必要だった。
 職業が女王という事は―――彼女は、どこかの国の女王という事だ。
 何を言っているのか、わからないかもしれない。
 しかし、それほど、俺も混乱しているのだ。そして、混乱しているのはマリアも同じようだった。 

 「職業がが、じょ、女王さま!どうして女王さまが冒険者なんてしてるの……いえ、なさっておいでになられて……あれ?」
 「はっはっはっ……畏まったりしなくてもいい。私は亡国の女王であって、今はただの冒険者なのだよ」
 「亡国の女王?」

 マリアは、踏み込んで質問しようとしたのだろう。しかし―――

 「女王クイーン、そろそろ、お時間です」

 シーラ女王の付き添い?俺は驚く。
 いつの間にか、女王の背後。キッチリ一歩だけ下がった位置に人がいたからだ。

 「ギルド長が謁見を希望された時間になりました」

 俺はソイツを注意深く観察する。

 (俺が存在に気づかないという事は、気配遮断スキルは俺以上のレベル……厄介なヤツだ)

 ソイツは騎士だった。
 それ以外、表現するのが難しい。それほどまでに騎士らしい騎士像がそこにいた。 
 シーラ女王と同じ鎧を身に纏っている。長めだが、整えられた金髪。
 ……いや、整っているのは髪だけではない。
 透き通ったような青い瞳。意志の強そうな眉。
 シャープな輪郭、通っている鼻筋。
 世の中の女性がイメージするような『私だけの騎士さま』がそこにいる。
 要するに男が嫉妬するようなイケメンだ。
 しかし、俺の観察眼を避けるように騎士は、主人の後ろに控えた。

 「なに?やはり楽しい時間は過ぎるのが早い。そうだ。今度、我が屋敷に招待させてもらう。その時にじっくりと語り合おうではないか」

 「はっはっは……」とシーラ女王は去っていった。
 よく笑う人だ。
 しかし、気になるのは騎士の方だ。
 最後にチラリと俺を見た。探るような視線だった。

 当然、俺よりも上位の気配遮断スキルを有しているのならば……
 俺の擬態にも気づいたはず。
 それにも関わらず、殺気を完全にコントロールして、平常心を保っていた。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・ 

 「それじゃ、さっそく『猛獣使い』の技能講習スキルアップを受けちゃおう!」

 マリアはギルドの窓口で受付で済ませた。

 「スキルってそんなに簡単に身につくものなのか?」

 ユニークスキル『異世界の知識』では、技能講習スキルアップの説明はあるが、具体的な内容まではわからない。
 魔物である俺がスキルを身につけたり、レベルアップさせるには実戦の積み重ね以外に方法はなかったが……

 「ん~ 前例がない特殊職業ユニークジョブなら、手さぐりの状態で色々と試さないといけないけど……『猛獣使い』の場合は前例があるから、ある程度はマニュアル化させれるからね」

 「なるほど」と俺は相づちをうつ。

 「今回は初回講習だから、簡単に魔物モンスターの強化魔法と制御するための弱体化魔法だけ……魔法取得がメインだね」
 「難しそうだな。1日で覚えれそうか?」

 「え?」とマリアはキョトンとした表情だった。
 何か、おかしな事を言っただろうか?

 「この内容なら1日どころか、1時間以内だと思うよ」

 マリアの言葉に、俺は少し驚いた。
 初級とは言え、魔法を1時間で取得。それも強化魔法と弱体化魔法の2種類の魔法。
 いくらマニュアル化されてるとは言え、そんなに簡単に習得できるのか?

 そんな俺の疑問と共に技能講習スキルアップは始まった。

 

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