ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
ミミック改造1回目
翌日の朝。
俺はむくりと体を起こす。
「……これが太陽か」
窓、カーテンの隙間から零れ落ちる光を見上げる。
俺はダンジョンで生まれ育った。太陽を光を浴びるのは初めてだ。
しかし、転生者としての記憶が曖昧な感覚を起こす。
まるで俺が2人いるような……
「ただいま!」
そんな思考はマリアの登場によってかき消された。
「朝から元気だな、マリア」と俺。
しかし、マリアは――― 「朝?」と疑問符。
「やだなぁ、ミッくん。もう、お昼過ぎだよ」
「え? そんなに寝てたの?俺?」
やはり、ダンジョン暮らしで日中の感覚が人間とズレているのかもしれない。
感覚というか、俺が魔物だもんなぁ。
そんな俺の横でマリアはいそいそと何かの準備を―――
「はい、ミッくん。お食事だよ」
綺麗に切った複数の野菜。初めて見るようなカラフルな野菜だ。
それをパンの上にパラパラと乗せて、さらにその上に……チーズかな?
そして―――
「火炎」
マリアの人差し指から火炎放射器のような業火。
「おいおい!明らかに威力を間違えてないか!皿が溶け……てない?」
マリアの業火は、そのまま皿の上で踊るようにコントロールされていた。
その火力に対して、絶妙なピザトーストが生まれていた。
「? ? ?」
一体、どういうことだ?
皿に……いや、食材に魔法がかけられているのか?
火炎魔法に反応して、熱を一定に安定させる魔法か。
「すごいなぁ」
俺の独り言に、今度はマリアが「? ? ?」と疑問符を浮かべていた。
どの世界だって人間の創意工夫には頭が下がる思いだ。
俺はそんな事を考えながら、マリアからピザトーストを受け取って―――
「美味い!なんじゃ、こりゃ!」
俺の絶賛に対して、マリアは再び疑問符を浮かべたような表情。
まるで、これが当たり前のような顔だ。いやいや、おかしい。
このシンプルな食材でここまで美味しくなるはずはない。
だとすると―――
(もしかして、俺の味覚が変わっているのか?)
ミミックの体に転生して何年経過しているのか、前世の記憶があいまいな俺には分からない。
思い返してみれば人間の手が加えられた食品を食べたのは初めてかもしれない。
人間の手、そのものは食べた事が……いや、そのジョークを食事中に使うにしては、ブラックが過ぎるか。
さて、ダンジョン内外に関わらず―――
自然に実った食べ物は基本的にマズい。
当たり前だ。
人間が100年も1000年もかけて品種改良を重ねた野菜などを、自然のものと比べる事自体がおこがましい。
そして俺はミミックに変わって初めて野菜を食べたのだ。
(体が美味いと感じているのは当然か……いや、待てよ)
俺は、普通のピザトーストを食べただけで、こんな反応を起こしている。
これから、マリアと一緒に人間の世界で住んで行くとしたら、暫くは食事のたびにこんな過剰反応を起こしてしまうのか?
俺は体の奥から湧き上がってくる震えを抑えるのに必死だった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
平凡なはずの食事をガクブルと震えながら終えた俺たちは―――
「フッフッフ、それじゃミッくん。改造される覚悟はいいかい?」
「いや、マリアさん。これ本当に必要ですか?」
マリアの手には釘とハンマー。
そして俺の背中に釘をそえて、マリアはハンマーを振り下ろした。
「ぐっぎぎぎっ!こ、これ、い、痛みはないけど…振動が……内蔵に響くうぅぅぅ」
俺の宝箱部分は外装みたいな物だ。神経は通っていない。
しかし、鎧の上から鈍器で殴られていると想像してほしい。
痛みが0だとしても、ぐわんぐわんと体全体が揺さぶられている感覚。
そんなこんなで―――
「できたあぁぁ!?」
マリアは歓喜の声を叫んだ。
俺は鏡で自分の姿を確認する。俺の背中には2本の布が取り付けられていた。
リュックサックで肩にかける部分。 背負い紐というのか?
目的はもちろん……
「よっこいしょ」
マリアは俺を持ち上げて、そのままに背負った。
昨日、俺を小脇に挟んで町を歩いた。
その感想が「やっぱり、歩きずらいなぁ」と言うで……こうなった。
提案したのは俺からで、「リュックみたい背負えるように改造してみたら?」と言ってみた。
別に箱部分に思い入れはない。失敗したら、失敗したで、新しい強度の強い外装に変えればいい。
そう考えたのだ。
マリアは当初、「え?いいの?本当にいいの?」と躊躇していたが、いざ開始しているとノリノリのマリアさんだった。
「さて、じゃ今日はギルドにいくよ!」
「……お、応っ!」
自分から言い出した改造ではあったが……
本当にこれで良かったのだろうか?この格好で外に出て大丈夫だろうか?
実際に外に出るとなると、そんな不安も脳裏に浮かんだ。
俺はむくりと体を起こす。
「……これが太陽か」
窓、カーテンの隙間から零れ落ちる光を見上げる。
俺はダンジョンで生まれ育った。太陽を光を浴びるのは初めてだ。
しかし、転生者としての記憶が曖昧な感覚を起こす。
まるで俺が2人いるような……
「ただいま!」
そんな思考はマリアの登場によってかき消された。
「朝から元気だな、マリア」と俺。
しかし、マリアは――― 「朝?」と疑問符。
「やだなぁ、ミッくん。もう、お昼過ぎだよ」
「え? そんなに寝てたの?俺?」
やはり、ダンジョン暮らしで日中の感覚が人間とズレているのかもしれない。
感覚というか、俺が魔物だもんなぁ。
そんな俺の横でマリアはいそいそと何かの準備を―――
「はい、ミッくん。お食事だよ」
綺麗に切った複数の野菜。初めて見るようなカラフルな野菜だ。
それをパンの上にパラパラと乗せて、さらにその上に……チーズかな?
そして―――
「火炎」
マリアの人差し指から火炎放射器のような業火。
「おいおい!明らかに威力を間違えてないか!皿が溶け……てない?」
マリアの業火は、そのまま皿の上で踊るようにコントロールされていた。
その火力に対して、絶妙なピザトーストが生まれていた。
「? ? ?」
一体、どういうことだ?
皿に……いや、食材に魔法がかけられているのか?
火炎魔法に反応して、熱を一定に安定させる魔法か。
「すごいなぁ」
俺の独り言に、今度はマリアが「? ? ?」と疑問符を浮かべていた。
どの世界だって人間の創意工夫には頭が下がる思いだ。
俺はそんな事を考えながら、マリアからピザトーストを受け取って―――
「美味い!なんじゃ、こりゃ!」
俺の絶賛に対して、マリアは再び疑問符を浮かべたような表情。
まるで、これが当たり前のような顔だ。いやいや、おかしい。
このシンプルな食材でここまで美味しくなるはずはない。
だとすると―――
(もしかして、俺の味覚が変わっているのか?)
ミミックの体に転生して何年経過しているのか、前世の記憶があいまいな俺には分からない。
思い返してみれば人間の手が加えられた食品を食べたのは初めてかもしれない。
人間の手、そのものは食べた事が……いや、そのジョークを食事中に使うにしては、ブラックが過ぎるか。
さて、ダンジョン内外に関わらず―――
自然に実った食べ物は基本的にマズい。
当たり前だ。
人間が100年も1000年もかけて品種改良を重ねた野菜などを、自然のものと比べる事自体がおこがましい。
そして俺はミミックに変わって初めて野菜を食べたのだ。
(体が美味いと感じているのは当然か……いや、待てよ)
俺は、普通のピザトーストを食べただけで、こんな反応を起こしている。
これから、マリアと一緒に人間の世界で住んで行くとしたら、暫くは食事のたびにこんな過剰反応を起こしてしまうのか?
俺は体の奥から湧き上がってくる震えを抑えるのに必死だった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
平凡なはずの食事をガクブルと震えながら終えた俺たちは―――
「フッフッフ、それじゃミッくん。改造される覚悟はいいかい?」
「いや、マリアさん。これ本当に必要ですか?」
マリアの手には釘とハンマー。
そして俺の背中に釘をそえて、マリアはハンマーを振り下ろした。
「ぐっぎぎぎっ!こ、これ、い、痛みはないけど…振動が……内蔵に響くうぅぅぅ」
俺の宝箱部分は外装みたいな物だ。神経は通っていない。
しかし、鎧の上から鈍器で殴られていると想像してほしい。
痛みが0だとしても、ぐわんぐわんと体全体が揺さぶられている感覚。
そんなこんなで―――
「できたあぁぁ!?」
マリアは歓喜の声を叫んだ。
俺は鏡で自分の姿を確認する。俺の背中には2本の布が取り付けられていた。
リュックサックで肩にかける部分。 背負い紐というのか?
目的はもちろん……
「よっこいしょ」
マリアは俺を持ち上げて、そのままに背負った。
昨日、俺を小脇に挟んで町を歩いた。
その感想が「やっぱり、歩きずらいなぁ」と言うで……こうなった。
提案したのは俺からで、「リュックみたい背負えるように改造してみたら?」と言ってみた。
別に箱部分に思い入れはない。失敗したら、失敗したで、新しい強度の強い外装に変えればいい。
そう考えたのだ。
マリアは当初、「え?いいの?本当にいいの?」と躊躇していたが、いざ開始しているとノリノリのマリアさんだった。
「さて、じゃ今日はギルドにいくよ!」
「……お、応っ!」
自分から言い出した改造ではあったが……
本当にこれで良かったのだろうか?この格好で外に出て大丈夫だろうか?
実際に外に出るとなると、そんな不安も脳裏に浮かんだ。
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