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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

そして浴室へ―――

 
 「それじゃ、ミッくん……恥ずかしいから、ここで待っててね」

 マリアは、そう言うと部屋の奥―――浴室へ消えていった。

 (こ、これは!マジなヤツなのか!)

 俺にだって分別はある。
 しかし、ここまで思わせぶりな言葉と行動。
 彼女の言葉が脳内でリフレンされる。

 『見せっこしようか?お互いに……』

 そして、浴室でんせつへ―――

 このシュチエーションで裏切られるとしたら……まさか、美人局?
 奥から怖いお兄さんとか出てこない?
 もしかして俺の体(の中に収納されてるゴールド)が目的だったらどうしよう?
 だってマリアと出会ったの、なんだかんで数時間前だぜ? 
 それよりも、マリアは出会ったばかりの男(魔物)を誘惑するするような女の子だったら、どうしようか……

 最高じゃないか! まさかの小悪魔キャラなんて、くっうぅぅぅ!サイコー!?

 「ハッ!いかん、いかん。キャラがブレてるではないか」

 俺のモットーは―――

 弱肉強食と書いてハードボイルドだ。

 例え、何が起きても冷静沈着で、強靭な肉体と感情を武器に戦うのが俺の生き方だ。

 『ガッチャ』

 だが、俺の崇高な生き方は浴室のドアを開ける音で霧散していく。

 「待たせて、ごめんね。……そのわたしも恥ずかしかったから……」

 浴室からマリアが出てくる。
 俺は彼女の姿を見る。
 その言葉通り、彼女の頬には赤く染まっていた。
 彼女は無骨と言える装備を解き放ち、インナーだけの姿。
 一見すると細身の体に見えるが―――鍛えられ、しなやか筋肉からは機能美が感じられる。
 そして、女性特有の丸みを帯びた体からは母性を感じる。
 マリアの体には少女の未熟さと艶やかな女の魅力が同居している。

 (まるで女神が宿った肉体のような美しさだ)

 この少女という僅かな期間にのみ許された禁忌的なエロスが醸し出され、俺の理性は蒸発していく。

 「そんなにジロジロ見ないでよ。……恥ずかしい」

 「マ、マリア!」と物理法則する無視して、飛びつこうとする―――その直前のタイミング。
 「ハイ、これ」とマリアは俺に紙を寄こした。

 まさか、前払い制の請求書かッッッ!?

 俺は驚愕を隠せずにいた。
 しかし、よくよく見るとマリアが見せた紙は請求書ではなかった。

 「はい、私のステータスとプロフィールだよ」

 「え?」と俺。「ん?」とマリア。

  まぁ、こんな事だと思っていたよ。

 俺たち魔物モンスターのステータス&プロフィールは映像ビジョンとして浮かび上がるが人間は違うらしい。
 人間の場合はギルド直轄の神官の儀式によってステータス&プロフィールは更新され、その内容は神官の手によって本人へ書き渡さる。
 そして、それを魔力によって体に刻まれるそうだ。
 本来は他者が見えない場所に刻まれて、さらに秘匿魔法によって隠される。
 マリアが浴室に向かったのはそのためらしい。

 隠すのは、ステータス&プロフィールは究極の個人情報のためだろう。
 体に刻むのは、ダンジョンで力尽き、遺体の損傷が激しい場合に個人を特定するためか……
 俺の脳内には『ユニークスキル 異世界の知識』から情報が流れ込んできている。
 その中の1つに注目する一文があった。

 『ステータス&プロフィールは人によっては裸を見られる事よりも恥ずかしいものとされている』

 俺はマリアを見る。
 美人局を疑っていた自分を恥じ、エロスは期待していた自分を恥じた。
 しかし―――

 「あっミッくん、もしかして、何かエッチな事を考えていたの?」

 見抜かれていた!
 マリアは小悪魔的な笑みを浮かべてこう続けた。

 「いいよ」

 俺は何を聞かれたのわからず「え?」と困惑しながら疑問の声を上げた。

 「後でお風呂、一緒に入りましょ?」
 「なんですとぉぉぉぉぉぉ!?」

 俺の心臓は破裂しそうに膨らんだ。
 もっとも俺に心臓があるのかは不明だが……

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 興奮収まらぬなか、俺は強引に煩悩を振り払った。
 マリアのステータス&プロフィールを見る前に俺のステータス&プロフィールも開示しなければならない。
 俺は触手を操り、机の上にあったペンと紙を取った。
 当然だが、俺はこちらの文字は書けない。
 しかし、『ユニークスキル』によって、翻訳された文字が浮かんでくる。
 俺はそれを紙に写し書けばいいだけだ。
 完成した紙をマリアに渡した。
 マリアはそれはジッと見つめている。

 そう言えば、この世界の識字率ってどうなっているんだろう?
 俺が転生前に育った国―――
 日本では、ほとんどの人間が文字の読み書きができた。
 だから、それが当然な事だと多くの人間が錯覚する。

 しかし、他の国。
 たとえ先進国であっても、スラム街に住む住民の多くは読み書きができないらしい。その理由は単純に1度も学校へ行った事がないからだ。スラム街付近の商店であっても店員は、簡単な掛け算、割り算もできず、全てレジ任せだそうだ。
 その話を聞いた時、自分の常識がいかに不安定なものだったのか、思い知らされたが……

 どうやら、マリアは文字が読めるらしい。
 戸惑っていたのは単純に俺の字が悪字という理由。
 初めて書いたんだ。仕方ないだろう!

 

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