クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第72話「王国最強、来る」

「セリア、その話、詳しい事はわかるのか?」
「どういう事?」
「まず、何故その話を知っている?」
「挑戦権の仕組みを教えられた時にね、合わせて教えられたの」

 姉さんは他の事は今は分からないよ、と続けて話す。
 今は、というところに引っかかったが、親父もそうらしい。今は、と聞いたところで目がほんの少し細くなる。

「さっきではなく、今、ここで話したのは?」
「あの場で話す事は、挑戦権の仕組みで歴史的な事は関係ないでしょ」
「そうか」
「セリア姉さん、その女性の名前って分かる?」
「分からないわ」
「ルル、心当たりでもあるのか?」
「ダンジョンマスターが、実験で成功した不老不死なんじゃないかなって思って」
「セリア、不老不死になる人数制限はあるのか?」
「ないと思うわ。不老不死に会ったことがないから分からないけど」
「仮に挑戦権で不老不死になった場合、挑戦権はどうなる」
「消えて、次の人のところに行くわ」
「挑戦は続く、か。セリア姉さん、次に挑戦権がいく人ってどんな人なのかわかるの?」
「不老不死の挑戦権の取得の条件は、2歳以下でステータスの中の筋力から魅力の内、知力が1番高い女の子が条件よ」
「なんで2歳なの?」
「分からないわ。でも、ステータス鑑定が2歳で行われるのは、これが原因の1つだったりするわよ」
「そうなんだ」
「そうよ。まぁ、この事を知ってるのは、一部の王族か教会の上の立場の人とレビュート家だけだけど」

 さらっと機密情報を知ってしまった。
 ステータス鑑定自体は何歳でも出来るらしいが、色々な人の事情か絡んでるから、一般には伝えられてないらしい。

 突然扉が開く。そして、リアが入ってくる。

「リア、ノックはしろ」
「スザキアって、人から。緊急、だって」
「ルル、セリア、降りるぞ。リア、集めてくれ」
「集まってる」

 朝集まった時とほぼ同じように全員が座っている。
 違いを挙げるなら、レオンとシャルルがおらず、血濡れのスザキアがレオンが座っていた場所に座っている事だ。

「スザキアさん、血濡れだけど」
「ルルシアか、早い再会だな。返り血だ。汚れないように固定してる」
「ルル、雑談は後だ。緊急の要件を聞こう」
「まず確認からだ。ルルシア、転生人だな?」
「そうです」
「能力やステータス、体に違和感はあるか?」
「ないです」
「ステータスは正常か?」
「どういう事だ?」

 親父が話に入ってくる。
 そして、その間にステータスを確認するが、変な所はない。

「王国の5箇所で爆発が起こった。その内1箇所は城の中だ」

 スザキア以外の全員が目を見開く。

「スザキア、お前が侵入者を見逃すなんてな」
「侵入してくれれば気付けるんだが、ずっとそこにいたみたいに現れて、爆発したからな。だがたしかに、気付くのが遅すぎたな」

 急に現れたってのが厄介すぎる。スザキアが気づかないとなると、気づける人がいるかどうか。

「それで、爆発の威力と爆発させた張本人は?」
「威力は城の半分くらいは消し飛ばせる。張本人は死んだと思われる。というか、爆発したのが張本人」

 再びスザキア以外が目を見開く。
 完全な自爆特攻だ。城の半分くらいとなると、半径50メートル弱だろう。それでも、要人の殺害が目的なら十分すぎる威力だ。

「お姫さまの指示が無ければ俺以外は死んでたな」
「事後報告なら緊急など言わん。つまり、まだ解決してないって事か?」
「お姫さまから伝言だ。『転生人』を爆弾になる危険性から、正常な『転生人』を三大勢力のいずれかの監視下におく」
「『転生人』である俺を監視下におく為に来たって事ですか。それで、三大勢力ってなんですか?」
「王国うちと帝国とレビュート家ここ。原因が判明するまで、ハゾメにはルルシアを監視してもらいたい」
「事情は分かった。王女も監視対象になっているのだろう?」
「そうだな。帝国の兄妹も既に監視されることに承認している」
「わかった、ルルシアの監視をしよう」
「まぁでも、監視と言っても夏休みが終われば、そこからは学院にも監視させるように指示が出ると思うが」
「そうか。それで、原因の目処は立っているのか?」
「お姫さまには小さな手掛かりはあるらしいが、王や俺も含め数人が説明を受けたが、いまいちだったな」
「その説明は?」

 少し置いていかれていたが、会話に参加する。
 周りを見ると、母さんたちは心配そうに俺を見ており、レナさんはお茶を入れてる。

「なんでも転生人は40人いるらしいが、20人しか知らない。そして、消えた20人の内の1人が爆発した奴らしい」
「その件はルルシアから少し聞いている。転生人の数がおかしい事とその原因は調べている」
「お姫さまから、レビュート家の息子と帝国の兄妹は人が消えてる事を知ってるとは聞いてる」
「ルル、人数の違いに気づいたのは何故だ」

 王国から帰ってきた時に親父に詳しくは説明していない。説明した事は、転生人が存在ごと消えている事ぐらいだ。

「俺の前世、高校生の説明は少し前にした通り。で、その高校には学院みたいにクラスがあって、1つのクラスが40人。その1つのクラス全員が転生してる」

 親父が何か言おうとするが先に言葉を続ける。

「この世界に転生するまでの記憶には40人いる。転生したクラスの人が40人なのは、この世界に来る前の事だから合ってる。で、何故気づいたか」

「学院内ルールでの決闘の相手が不明になったから」
「なるほどな。その段階で転生人の数がおかしくなりだした訳か」

 親父はすぐ納得したようだったが、スザキアが会話してに入ってくる。

「仮にその不明の相手が転生人だったとして、おかしくないか?」
「何がおかしいんですか」
「存在が消されているのに、決闘した事は無くなっていない?」
「それは、消しきれないぐらいの出来事だったからじゃ」
「それはないな。今の消えたとされる20人の転生人を考えてみろ。生きてきた事そのものが無かった事になってる。なのに、学院内の1つの出来事すら消えないのはおかしい」

 言われてみれば、たしかにそうだ。人が消えたということだけで他と同じように考えていた。消えたという事実は一緒だが、全てが消えた他とは違って、人物しか消えていない。

「原因が分からん事には、他とその1人が違う理由は判明しないだろう。今するのは憶測にしかならん」
「確かにハゾメの言う通りだが、憶測を立てるならどうする」
「大きく分けるなら、存在を消すという効果の範囲を操れるのか、消えた原因が別だったかの2つだな」
「それなら前者の方が可能性が高くない?」

 唐突に姉さんが入ってくる。

「勝手な私の考えだけど、転生人を監視下におく理由が爆発する可能性があるからって事は、ディルちゃんは爆発したのは『転生人』だって言いたいんでしょ」
「そうだろうな」
「今、存在してる正常な『転生人』って20人いる?」
「20人いる事は爆発後確認してる」

 スザキアが20人いると言った瞬間、姉さんの言いたい事が分かった。親父やスザキア、母さん達もどうやら同じ事を思ったようだ。

「転生人が爆発したのに、20人全員が生存。転生人が21人いないと成り立たないわよね」
「なるほどな。確かに前者の方が可能性が高いな。人はいないが爆発はあるんだからな」
「でも、可能性が高いと言っても後者よりほんの僅かによ。原因が別でもそれなりに筋は通るから」

 出来事の大きい小さいはあるが、決闘と爆発どちらとも結果だけは存在している。
 しかし、仮に転生人が爆発し、その転生人の存在は消えているのだとしたら、疑問が生まれる。

「王女は何故、爆発の原因が転生人だと分かった」

 どうやら、親父も同じ事を考えていたようだ。

「それなんだが、実はな、転生人が原因だと分かった訳じゃないんだ」
「どういう事だ?」
「原因が転生人だって事は、推測でしかないんだ」
「推測というなら、そこに至った経緯があるだろう」

「まず、存在を消す事が誰かしらの能力であるとしよう」

 明らかに作為的に行われているから、誰かの能力の効果と考えるのが妥当だろう。

「お姫さまの指示の下、爆発の対処に当たった。で、爆発自体は止められなかったが被害はゼロ」

 この時点では存在していた事になる。
 唐突に現れた爆弾の対処を直ぐに出来たスザキアも凄いが、指示を飛ばしたディルもかなり凄い。

「人が爆発して痕跡が残った。その痕跡はおそらく爆発という結果を残す為に必要だったのだと思う。

 成る程、爆発の痕跡から爆発したのが人間だったって判明した訳か。

「お姫さまからの伝言を受け取って、帝国とここにきた」
「成る程な。王女はかなり頭が切れるみたいだな。存在が消されても大丈夫なように、未来にヒントを残してる。そして、案の定存在が消されていない状況と同じになった」
「ほんとその通りだよ。なんであんな王と王妃からこんなお姫さまが生まれたのか」
「まぁ、ディルは前世から賢かったからね」
「成る程な。ならあの賢さは頷けるな」
「ところでスザキア、要件はもう無いのか?」
「そうだな。伝言があるなら聞くが」
「王女達に呪いとそれの研究している集団を調査対象にするように伝えてくれ」
「わかった、呪いとその研究団体だな。それじゃ、そろそろ国に戻るわ」

 スザキアはコップに少し残ったお茶を飲み干し、家から出ると王国の方へと去っていった。
 スザキアが帰るのを見送るとシャルルとリアは特訓へと戻り、親父は再び書斎へ行った。
 することがなくなった俺は、リア達の特訓へと参加することがにした。

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