クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった
第55話「いざ、ギルドへ」
「王国のギルドって、そういえば何処なんだろう?」
勢いや流れ、終わらない宿題や親父からの特訓、色々な事情が重なり、新たに見つかったダンジョンをクリアする事になったが、ギルドに入らないとダンジョンに入ることが出来ない。
ダンジョンから最も近いギルドが、王国のギルドらしい。だからギルドに向かって家を出たのだが、肝心のギルドの場所がわからない。
ある程度王国の場所なら、学院があるところだから知っているが、学院の近くやその町にはギルドは見たことがない。
授業で、王国の中心あたりに王都と呼ばれる中心都市があるという事は習った。
王都は親父の話しに稀に出てきた名前だったが、詳しい場所までは知らなかった。授業でやった時には詳しく分かったが、行き方までやった訳ではない。
ギルドは各地にあるらしいが、せっかくだから王都のギルドに行く事にする。
「まぁ、大体の方角はわかるし、直線でいけば着くか」
独り言を呟きながら、王都の方角に向かう。
最初の方は街道があったが、途中から森の中を突っ切る形になった。森の中を走っていると、人型の生物に遭遇した。一瞬、人型だったから人かと思ったが、すぐに違うと分かった。
その生物は深緑色の肌、尖った鼻、生理的に受け付けない顔つき、手には荒削りだがある程度の重量はありそうな棍棒、事前に知っていた情報からゴブリンだと分かる。
ゲームなどでは比較的初期に現れる敵だが、実際は小さい見た目に反して強い力を持ち、異常な繁殖力から生まれる上位種や亜種などとの、連携した集団戦闘をすることから、初心者には向かない魔物である。
普通なら立ち止まり、2〜3人のパーティで戦闘するのだが、ルルの場合は違う。
身体強化を使い、高速で近づき勢いを殺さず蹴りを放つ。ゴブリンが気づいた時にはもう遅し。蹴りは正確に頭の部分にあたり意識を刈り取り、吹っ飛ばす。『ライトニングランス』で確実に殺す。
考えてみれば、人型の生物を殺すのは前世から数えても初めての経験になる。
しかし、何故だか久しぶりな感じがする。恐らく、100回近い転生の間にかなりやっているからだろう。
しばらく走って行くと、金属同士がぶつかる音や人の声などがしていた。
こんな森の中だとするなら、ラノベなどでおなじみのあのテンプレに遭遇したのかもしれない。
音のする方に向かって走って行き、様子が見えるところで状況を確認する。
10人くらいの男達と、それと相対する4人の男達と1人の女の人が見える。
しかし、馬車や騎士などといったものは見えない。
風体などから10人程の方は山賊や盗賊といった奴らだろう。5人組の方は騎士でも商人でもないなら、ギルドで依頼をこなしている冒険者という奴だろう。
盗賊狩りの依頼かなにかなのだろうが、戦況は良いとはいえない。
盗賊が数の有利を活かしきれていないのと、リーダー的な奴の指示が的確なのとで、最悪の戦況にはなっていないが、好転もしていない。
しかし、魔法使いであろう女の人の詠唱が終わった。それで一気に状況は逆転した。押し返した後、気絶させ拘束した。
戦闘が終了したのを見て、その場から離れようとしたが、木の葉などにぶつかってかなりの音を立ててしまう。
「誰だ!」
リーダー格の男の声に、向こうは戦闘態勢に入る。女の人は兎も角として、男達には疲労が見える。
バレてしまったのなら仕方がない。5人組の前に姿をあらわす。
「子供、、、?」
「15です」
「何故こんなところにいる?」
「そんな警戒しなくても、この森を突っ切っているだけです」
「嘘を言うな。この森を1人突っ切るなんて不可能だ。本当の事を言え」
「本当ですよ。王都までの道がわからないから、家から直線で来てるんですよ」
「まだそんな事を。まぁいい、詳しくはギルドで聞く。少し気絶していて貰う」
こちらの意見を聞く前に5人組は戦闘を開始した。
向こうの構成は、男が西洋剣を持ってかかってくるリーダー格の男、格闘家のような奴、斥候役であろう身軽な奴、長い棒を構えている男、弓の構えている奴の4人だ。女の方は、杖を構えて詠唱に入っているが、詠唱内容から目眩し関係の魔法だと思う。
「疲れているなら、休憩してたらいいじゃないですか。僕は王都にさえ行ければいいんですから」
かなりの剣速ではあるが、切っ先が見えないレベルな訳ではない。だから、喋りながらでも余裕で避けれる。
しばらく、剣を振っていたかと思うと、大きく距離を開き上がった息を整えている。
「何者だ。何故、剣先を見てから避けれる」
「人に名を聞くなら、自分から名乗るのが礼儀じゃないかな」
「そうだな、冒険者ギルドAランクパーティー『アスラム』のパーティーリーダー、サラムだ。お前は何者だ」
「父から新しく出来たダンジョンに行って来い、と言われたから王都に向かってた、ルルシアです」
「なるほど。今から王都のギルドに戻るつもりだったのだが、一緒に行かないか?」
「そうしてもいいのですが、急ぎなもので。すいませんがお断りします」
「そうか。しかし、馬車を使わないならあまり変わらない気がするが」
「そうでもないですよ。それで、皆さん疲れているでしょう。休憩してからの方がいいですよ」
「あ、あぁ」
「それでは」
相手の返事を待たずに、その場を去る。方角はわかっているから、その方向に向かって走っていく。
テンプレかと思ったら、盗賊の討伐に来た冒険者パーティーだった。あの手の誘いは、確実に目的地に到着する事が出来るだろうが、時間がかかる。さっさとクリアしてさっさと帰りたい俺からすると、あまりいい誘いではない。
家を出て3時間半程経過した頃だろう。街をぐるっと囲むように立つ壁を見つける。高さ的には10〜15m程だろう。
街壁に沿って歩いていると、出入り口だろうと思われるかなり大きな門を見つけた。そこには入ろうとしている人が列を作っている。
時間がかかるかと思ったが、かなりスムーズで10分もしない内に俺の番がまわってきた。
「まず、名前は?」
「ルルシア・レビュートです」
「........は?」
「ルルシア・レビュートです」
「......通っていいです」
あっさり通る事が出来た。
前までの人は水晶みたいなものに手を当てたり、お金を払ったりなどなど、様々な事をしてやっと入れていたのだが、名前だけで通れた。顔パスならぬ名前パスだな。
王都の風景は城から門までが1本の大通りとなっていて、その大通りから脇道に入るように幾つかの道が出来ている。
門をくぐると、目の前には大通り、左右には壁に沿って円形に道が出来ている。円形の道は等間隔に中心に向かった道があり、その途中に大通りのような脇道に入る道がある。
全体図はとしては、半分に切ったみかんみたいなものだろう。城を中心に壁に向かって等間隔に道がある。
さて、ここでまた問題が出来た。
ギルドがどこかが分からん。
大通りは露店などがズラリと並でおり、ギルドらしきものはなかった。
街を一周壁に沿って見てまわったが壁付近にはなかった。おそらく、等間隔にある道のどれかにあるのだろう。
素直に人に聞くのがいいのかもしれないが、この街でのギルドの立ち位置が悪かったら最悪だ。それでも、聞かない事には分からないので、大通りで露店商に聞く事にした。
露店商人は、焼き鳥にかなり近いものを売っていた。匂いにつられ買いそうになるが、冒険者の登録料しかお金は貰ってないので買えない。
「すまないが、道を聞いてもいいか?」
「かまわねぇよ。で、どこに行きたいんだ」
「冒険者ギルドなんだが....」
「坊主、冒険者になるなら後2年ぐらいしてからの方が」
「15です」
「そ、そうか。なら大丈夫か。ギルドなら城の前にあるから、この大通りを真っ直ぐに行けばいい」
「そうか、わかった。その内金が用意出来たら買いに来るよ」
「そうか、待ってるよ」
言われた通り、大通りを真っ直ぐに進むと丁度通りと通りの間に、ギルドと書かれたかなり大きな看板と看板に伴った大きさの3階建の建物があった。
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コメント
ノベルバユーザー69968
10人くらいの男達とそれの相対するのが、4人の男と数人の女性
とした方が説明として分かりやすいかも知れません。