クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第52話「転生人対レビュート」

 

 ゴソゴソと言う音で目が覚める。
 普通なら寝返りか何かなのだろうが、俺は寝返りはほぼあり得ない。
 小さい時から姉さんに抱き枕にされていたので、誰も居なかったとしても寝返りはほぼしない。それと、基本的に両サイドにリアと姉さん、もしくはどちらかがいて、寝ているにも関わらず体固定するぐらいの力がかけられるので、基本動かない。
 となると、昨日寝る前に布団の中で俺を固定している2人のどちらかが動いたのだろう。
 腕はガッチリホールドされているので体だけを少し起こす。
 体を起こすと、足元の方の布団から姉さが布団から出て行くのが見え、左腕を動かして動くのを確認した後、声を掛ける。

「おはよう、姉さん。こんな早くに起きるなんて珍しいね」

 時計の針は朝4時を少し過ぎたぐらいを指している。姉さんがこんな時間に起きることは滅多にない。

「昨日お父さんから、民家に被害が出ないように障壁を張っとけ、って言われたからね。で、張るなら全民家に2重づつぐらい重ねとけばいいかなって」
「成る程、作るのは問題ないけど、時間がかかるからこんな時間からか」
「私から切り離したら、その場に耐久値がなくなるまで誰も何も通さない透明な壁になるからね」
「でも、そうなると中の人は? まさか、転生人の攻撃で障壁が壊れるまでそのまま?」
「避難所に避難する人は昨日で終わってるよ」
「あー、あの、この世界で一番頑丈なシェルターの中か」

 昨日、夕方から夜にかけての自由時間に姉さんはふらっと出て行った。帰ってきた時に何をしていたのか聞いたら避難者が全員集まったから障壁を張ってきたのだとか。
 余程のことがない限り、中の人まで威力が行かないようになってるのだとか。何重ぐらいか聞いたが、20超えたぐらいから数えるのが面倒になったのだとか。

「まぁ、そういう事だから寝といていいよ。昼まではパーティみたいな事してるらしいから。早くても昼からだろうから」
「そういう事なら」

 姉さんは扉から出て行き、そして扉が閉まる。
 寝てていいと言われたが、目が覚めてしまった。下に降りようかと思ったが、リアに捕まっているので動けない。
 振り解けばいけるが、絶対に起こしてしまうだろう。流石にそれは忍びない。仕方がないので、2時間程じっとしていよう。


「....きて。......起きて。........ルル、起きる」
「ぐほっ」
「やっと、起きた。朝、ご飯。レナさんから、起こして来いって。早く、下りる」

 どうやら、じっとしている間に寝てしまっていたようだ。そして、それをリアが起こしに来たと。
 起こしても起きないから、上から俺の胸の辺りにダイブしたって訳だろうな。

「あ、うん。わかった。とりあえず、リア、上からどいてくれる?」
「下まで、運んで」
「えー、まぁいいけど。とりあえず、上からどいて。起き上がれないから」

 リアが上から退くと、布団から出て背伸びをする。
 そして、リアを抱き抱える感じで持ちながら、1階のリビングへと向かう。

 リビングに着くとテーブルの上には朝食が並んでいた。そして、親父以外が席に座っていた。

「父さん、もう行ったんだ」
「向こうから、こっちに時間は合わせるって言ってきたから、朝8時にそっちに行くって言ってたからね」

 帝国までここからだと、馬車で大体7〜8時間ぐらいだ。親父は走れば1時間ぐらいらしい。俺が学院に行く感じだ。もっとも、速度が圧倒的に違うが。

「それじゃあ、さっさと食べてしまいましょうか。レナも片付けがあるのだらか」
「お母さんは、妊婦って奴なんだから、程々ににね」
「大丈夫よ。レビュート家なんだから。ちょっとぐらい」
「それならいいけど」

 朝食を済ませた後、昼まで時間が出来た。
 普通がどんなものなのかは、前世の記憶しかなく、その前世も戦争とはほぼ無縁だったのでわからない。
 だがしかし、始まる3時間ぐらい前に、する事がないなんて言う事は絶対にないだろう。

 これといってする事がないまま、12時になった。
 どんな風にやって来るのか楽しみだった。
 色々想像していると、街の中に突如として人混みが現れる。住民は絶対にあり得ないので、その正体は考えるまでもない。
 現れ方だけで、ライの能力だと分かった。面倒な奴ライネットが参加しているようだ。

 セラさん以外の、家の中にいる全員を連れて外に出ると、街は火に包まれ、建物には魔法が打ち込まれたのか崩壊している。
 という風にはなっておらず、建物や街全体に魔法を放つも、姉さんの障壁に当たり魔法は消える。

「言ったらダメなんだろうけど、シュールだねー」
「いや、障壁の耐久値が無くなるまでやられたらどうするんだよ」
「それはないかな、五発ぐらい打って1減るぐらいだし」
「......ダメだ、シュールに見えてきた」
「はいはい、おしゃべりしてないで行くよ。王族の3人はさっさと解放してないというキツイよ」
「そうだね、母さん。とりあえず、俺はライを止めるからリアはディルをやって。シアは姉さん頼む。母さん達は他を適当に」
「ルル、分かってると思うけど、首輪の破壊が出来そうかは確認するんだよ」
「分かってるよ。それより、レナさんと母さんは大丈夫なの?『三位一体』使えないでしょ?」
「大丈夫だ、固有スキルに頼りっきりになる戦いはしてないからな」
「そうなんだ。それじゃあ、小さな戦争を始めようか」

 俺の一言をキッカケに、各自狙いの奴の下に向かう。
 ライのところに向かう途中、1人の転生人が立ちはだかったが、魔法で気絶させ首輪を破壊してみると簡単に壊れた。

 ライを見つけるのに少し時間がかかった。
 立ちはだかった奴が多かったのもあるが、転移紛いの能力があり、移動しているからだろう。
 一度見つけたのだが移動の瞬間だった為距離が開きそのまま見失った。遮蔽物があるとその前で止まってしまうし、真っ直ぐにしか進めないというのに上手く巻かれてしまった。
 探しながら光魔法の詠唱をしておき、名前さえいれば発動するところで止めておく。
 しばらく、走っているとライを見つけた。

『フラッシュ』

 ただの目眩しに使われる魔法。しかし、ライには最も相性の悪い魔法。
 空間操作も未来視もどちらも目を使う。だから、『ファイアボール』などの攻撃系よりも、視界を塞がれる魔法の方が効果的だ。もっとも、未来視で大半は防がれてしまうが、今のはギリギリまでこちらに気づいていなかった。防ぐ事は無理だろう。 
 『フラッシュ』に紛れて、死角から近づき上段に蹴り。軽く揺らして、気絶を誘う。一瞬耐えたように見えたが、気絶していた。
 ライに不意打ちを仕掛けて勝ったが、一つの疑問が確証に変わる。
 首輪をつけられたからか、かなり弱くなっている。
 通常なら移動の時には未来視を使うぐらいはする。使われていたら、不意打ちは出来なかっただろう。

 ライの首輪を破壊して、他の人はどうなったのかを見るために街を駆ける。
 母さん達はどこも問題はなく、各個撃破していったのだろう。首輪の外れた転生人が気絶しているのが色々と見える。
 母さんとレナさんの本気が見れるかもと思っていたが、ライに時間をかけ過ぎたみたいだ。この感じだと恐らく残っている転生人はいないだろう。
 そう思い家に戻る事にした。

 家に戻ると母さんと姉さんとリアがいた。
 レナさんからお茶を受け取ってかなり寛いでいた。

「あっ、おかえり。遅かったね」
「残ってる奴がいないか確認してから帰ってきたんだよ。それより、戻るなら何かしら伝えといてくれたらいいのに」
「何処に居るかわからないから無理よ」
「まぁ、それもそうか。で、どうだった?」
「それは、ハゾメさんが帰ってきたら報告も兼ねてって事で」
「わかったよ。とりあえず、汗かいたからシャワー浴びてくる」
「「じゃあ、一緒に」
「姉さんとリアの2人で入って」

 戦闘でかいた汗ではなく、走り回ってかいた汗を流す為に風呂場へと向かった。

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