クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第49話「全員決着と戦争前日〜前編〜」

 アスラとの戦いを終え、観戦場所まで戻って来るとシアが席を立ち、闘技場へと向かうところだった。

「お疲れさん、最後はやっぱり圧倒的だったな」
「そうでもないよ。だいぶ遅かったとはいえ、アスラが反応してたからな」
「確かに、ルル、遅かった」
「だいぶ速かったと思うんだけど」
「とりあえず、この話は置いといて、次はライの妹の番だろ」
「大丈夫だよ、シアは負けないから」
「かなりのシスコンだな」
「それでは、兄さん。いってきます」
「頑張ってね」
「シアちゃん、ガンバ」

 ライとリアに応援されながらシアは闘技場へと向かっていく。
 相手は、1組のナリー。
 見たことはなく、固有スキルは少し厄介。そして転生人という事ぐらいしかわからない。
 固有スキルも名前と名前から分かる範囲の効果しか分からない。知らない事が多い生徒といえる。
 明日からの戦争の為にも視察出来るものは視察しておきたい。

『第10回戦、開始』

 少し考えごとをしていると、開始の合図が聞こえる。
 シアの相手、ナリーは身長はそこそこあるが、お腹周りなどが少し出ている。どこの学校にもいたのではないだろうかという、ぽっちゃりした奴だ。

「体格操作」

 ナリーは自分の体に手を当て、固有スキルをである体格操作を使った。
 すると、ぽっちゃりしていた脂肪はどんどんと締まりのいい筋肉へと変わっていく。お腹は引っ込んでいき、腕や足も脂肪ではなく筋肉として膨らんでくる。
 8〜10秒程で、全く別人の様になった。ぽっちゃりした体の面影はなく、格闘家の様な肉体になっている。
 身体強化の様なステータスを変えるのではなく、丸々体つきを変えてしまった。
 しかし、使ってくれた事で弱点も見つかった。
 まず、手で触れていないといけないという事。次に、5秒以上かかるという事の二つだ。
 これらは、かなり大きな弱点といえる。触れられなければいいし、触れられても5秒以内に倒せば問題は無い。
 正直なところ1対1でやるなら勝てるが、今回は俺を抜いた転生人38人が相手だ。油断は出来ない。

『第10回戦、終了。勝者、シアネット・ジアル』

 考えている内にシアが勝利し終わった。どうやら、身体的には強くても、技術面はからきしのようでさっさと終わらせる事が可能のようだ。

「シアの試合が終わったけど、次に試合が来るのは誰だっけ?」
「確か次は13回戦でディルと、ルルのところのパーティメンバーのルナって子だったと思うけど」
「そういえば、ルナ達はどこに行ったんだ?」
「ルルの試合が終わった時ぐらいに、先生に呼ばれてたけど」
「そうか、わかった」
「兄さん、ただいま」
「おかえり。で、聞くまでもないんだけど、どうだった?初めての転生人との対決は?」
「はっきり言って、弱いですね。ルルと兄さん、後ディルさんを除いた転生人があんなものなら宝の持ち腐れですね」
「元クラスメイトに辛辣だな」
「元クラスメイトに、世間一般で言う出来る人は居たけど良い人は少なかったですから。兄さんを除いて」
「シア...」
「兄さん....」
「兄妹でイチャつくなら、離れたところでやってくれる?」
「はっ!ルナ、いつの間に」

 シアとライの間に割って入るようにして、ルナが戻ってきた。そして、ルナに続くようにして、システナも戻ってくる。

「そりゃ、もうすぐ試合なんだから戻ってくるに決まってるでしょ」

『第13回戦目、シーディル・ミナティック対ルナ・ナスカ』

「勝てる気がしないけど、行ってくるわ」
「まぁ、やれるだけやってみたら」
「そうね」

 数十秒して2人が闘技場へとやってきた。
 ディルは転生人だが、ステータスを知っているので変に観察しなくていい。だから、気楽に観戦が出来る。

 開始の合図と共にルナは走りながら多重詠唱をして一度の詠唱で複数の魔法を、ディルは無詠唱で魔法を放つ。
 ルナは魔法の数は多いが攻撃回数が少なく、ディルは無詠唱で魔法を放つも相手が動き続けているからか当たらず決定打にならない。
 互いに決定打が決まらず、魔法合戦状態が数分続く。しかし、そのような状況でも周りの生徒の興奮や応援は冷めない。どうやらこのような魔法合戦状態は見れないらしい。

『第13回戦、終了。勝者、シーディル・ミナティック』

 互いに決定打にかけた魔法合戦はルナの魔力切れによって幕を閉じた

「ただいま」
「おかえり」
「負けるのが分かってても、負けると悔しいわね。特に自分の魔力切れで負けたらなおさら」
「ルナの魔力はだいぶ上がってると思うよ」
「それは自分が一番分かってるわよ」
「まぁ、まだあげられるからどんどん上げていけばいいよ」
「そうね。まず目標は王女に勝つ事よ」
「最初から目標が高い気がするけどかんば」
「ルル、次、試合、だから行ってくる」
「そうか、リアは次か。明日の事忘れるなよ」
「分かってる」

 リアが闘技場へと向かい始めた時ぐらいに、目の前の試合は終了した。試合をしていた生徒と入れ替わる様にしてリアが入っていく。

『第15回戦、アーリア・レビュート対エタネル・オーティン』

 エタネルも待っていた様で、リアと同じ様にして入ってくる。
 そして、観客席の色んな所から、エタネルの性別を聞かされたのか、驚きの声が上がる。

「ねぇルル、エタネルって子女の子なの?」

 そして、ルナも俺に聞いてくる。

「いや、男だよ」
「えっ、本当?」
「本当に男だよ」
「信じられないわね。女の子にしか見えないのに」

『第15回戦、開始』

 俺の時とは別の先生によって、開始の合図が宣言された。
 エタネルも鍛えているのである程度は、と思ったが、 そうはならなかった。
 勝敗は一瞬だった。
 正真正銘のリアの最速によって、決着がついた。おそらく、周りの生徒は何が起こったのか見えていなかったのではないかと思う。
 ライは表情からして、一瞬だけ見えたのだろう。
 周りの人の事を考えている俺は、見えていた。初動は少しブレたが。
 これまで初動がブレて見逃すなんて事は無かった。だから今回は正真正銘の最速だったのだと思う。

『し、試合終了。第15回戦、勝者はアーリア・レビュート』

 1番初めに復帰してきたのは、審判の先生だった様で、状況から見て、勝者を決めたのだろう。

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