クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第33話「2対2の模擬戦〜後編〜」

 sideライネット

 ハンデの内容が決まり、模擬戦は始まりを迎える。ルルから合図である、ファイアボールが撃ち上げられる。それと同時に相手2人との距離を開ける。それと同時に未来視を使っておく。あの威力じゃ、小爆発が起きて、砂埃で視界が塞がるからな。奇襲するなら、そのタイミングだろう。
 未来視を使うと案の定、魔法による奇襲が起こるのが見える。

「3属性でランス5本づつ、狙いはルルが10、俺が5」

 言った同時に魔法が姿を現わす。5秒はやはり、短い。ルルには、6秒後に攻撃って方法を取られたが、このスキルの攻略法というか弱点は、未来視を発動してから未来視が見えるまでに、2秒と少しかかってしまう事だ。
 この2秒は、5秒先の中に含まれるから間に合わないと使い勝手が、かなり悪いスキルなのだ。
 砂埃が晴れ、詠唱に入ったルナが見えたがシステナの姿は見えない。探していると、ルルの方で物音がする。振り向くと、2人は格闘戦に入っていた。恐らく、このまま近距離格闘戦に縺れ込むだろう。
 ならば、俺はルナの方を抑えておくか。詠唱が終わるまでに後少しある。ルルの家や神童と転生人で影が薄いが、ルナの家であるナスカ家は、数少ない『一つの詠唱で多数の魔法を撃つ』事を可能にしている家系だ。本来の詠唱とは異なるから、少し長くなるが練習次第で関係ないぐらい、早く詠唱が出来るようになる。
 弱点は他にもう一つある。それは無詠唱のスキルが得られなくなる事だろう。無詠唱は、魔法の才能が少しでもあれば習得出来る、かなり有能なスキルだ。
 しかし、ルナの家系がやっている多重詠唱はスキルとして習得すると、無詠唱を習得する事が出来なくなるらしい。
 その代わり、メリットはかなりのものだ。まずは、一つの詠唱で多数が撃てるという事だ。そして、もう一つがどれだけ撃とうが詠唱は一つしか、していないので一つの詠唱の分しか魔力を使わない。
 メリットの大きさから、習得しようとする者はかなりの数現れているらしいが、習得出来るのはその中の一握りににも満たない。

 詠唱が終わりそうなので、こちらもある程度相殺用で準備する。時間が短いのと、魔法には1種類あたりの上限が決まっているし、一度に形を変えずに保っておくには、練習量が足らない。
 全部は相殺出来ないだろうから、ルルの方に飛んでいくのだけを撃ち落としていくつもりだ。詠唱終了から、発射までが5秒無いので未来視はあまり意味がない。
 詠唱が終わり、ルルの方にかなりの数が放たれる。

「悪いけど、させねぇよ」

 ルルの方に放たれた、魔法はギリギリだったが全て相殺出来た。しかし、俺の方に飛んで来るのは相殺出来ない。

「自分に向かってる分は、どうするのかしら?」

 ルナの声が聞こえるが、どうするもこうするも避けるしかない。避ける事自体は容易だ。しかし、数が多すぎる。体力の消費が凄い。
 全てを避け切った時には、次の魔法を撃つ準備が終わりかけている。また未来視を使うタイミングを潰された。
 その後もそんなの繰り返しだった。ルルに向かわなくなった分が、こちらに向いているので1回目や2回目より魔法の数が多い。
 ある程度避け続けていると、弱点が見えてくる。
 詠唱に時間がかかり、攻撃と攻撃の間が長い。1対1だと、後手に回ると必敗になりえる弱点だ。
 それと、まだ確実ではないがもう一つの弱点の予想はついている。それは.....

 そんな事を考えていると詠唱が終わり、魔法が撃たれる。
 そして、予想は確実なものになる。

「さっきから、魔法の数が減ってるがどうした」
「流石、皇子様ね。素晴らしい観察眼な事で」
「褒め言葉として受け取っておくぜ」

 魔法の数が減るって事は、その分回避後に時間が出来るという事だ。
 回避で全て避けきる前に未来視を発動して、ルナに接近する。魔法によって、かなり距離を開けられてしまっているから、ルナに手が届くまでに先に向こうの魔法が発動する。およそ、4〜5秒以内に。

 未来視である程度分かっていたので、回避しながら近づくことが出来た。そして、軽く魔法を当てて気絶させ、俺の勝ちで勝負は終わった。
 それにしても、多重詠唱を使っていたとしても、魔法の数は異常な程多かった。
 多重詠唱を使った時は、普通の2倍〜3倍の数と言われているが、ルナはそれの5〜6倍の量で撃っていた。それだけで、異常さがわかるだろう。

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 sideルナ

 ハンデの内容が決まり2チームで向かい合うように立つ。相手の2人は、学年でトップクラスだと思う。ルルのお姉さんがいるから何とも言えないけど。

 ルルが合図用のファイアボールを、パッと作り出す。パッと作り出したにしては、可笑しな威力をしてそうなのだけど。まぁ、ルルだしね、無茶苦茶なのはこの一週間で分かったし。あと、魅力も。
 落下してきて、小爆発が起きる。初級魔法って爆発なんてしないはずだけど。
 距離を開ける為に、離れている間に魔法の詠唱に入る。多重詠唱で数を増やし、砂埃が舞ったと同時に発射。体勢を崩すか、あわよくば当たってくれたらと思い放つ。
 放つと同時に詠唱に入る。多重詠唱は普通より時間がかかるから、砂埃が晴れた後ぐらいには撃てるだろう。

 私がこの学校に来た理由として、この詠唱中の時間を短くする事が一番の目的。他にも、多重詠唱で発動出来る、魔法の数を増やすとかあるのだけれど。

 ふと、詠唱中にそんな事を思い返したが、今は目の前の相手に集中しないと。
 砂埃が晴れると、格闘戦を開始しているルルとシステナが見える。私達は、幼馴染という奴でシステナの格闘センスは知っている。そこに平然と追いつく、ルルはやはり格好良く見える。
 詠唱は終わり、システナの援護で数発撃っておく。

「悪いけど、させねぇよ」

 しかし、相殺される。相殺したのは、シスコンのライネットだ。ルルへの魔法の相殺に向こうは用意していた、魔法を使い切る。

「自分に向かってる分は、どうするのかしら?」

 ライネットがいる限り、システナへの援護は出来なそうね。全て余裕で避けていく様子を見て、詠唱を始める。
 私は撃っては詠唱しを繰り返していたが、魔力が厳しくなっているのを感じる。仕方がないので少しづつ数を減らしていく。

「さっきから、魔法の数が減ってるがどうした」
「流石、皇子様ね。素晴らしい観察眼な事で」
「褒め言葉として受け取っておくぜ」

 減らしていくのには気づかれていたようだ。
 回避しながら近づいて来るのが分かる。しかし、距離はあるので詠唱が間に合う。とりあえず、魔法を撃って下がらせようとしたが、飛んで来る場所が分かっているかのように、避けながら近づいて来る。
 そういえば、ライネットのもう一つの固有スキルの事を忘れていた。確かスキルは、未来視だったけか。
 その結論に至った時には、気絶させられていた。

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