本音を言えない私にダサ眼鏡の彼氏ができました。
3 神崎くんとLINE・2
く~や~し~~!!!
私は、自分の部屋のベッドでジタバタともがいた。
何が「ダサ眼鏡に既読スルーされるなんてナナ女子力低すぎ!」よ! 「ナナオシャレして頑張ってるのに神崎にすらウケないとは」よ! 何にも言い返せなかったけど~!
あーもう! 絶対、神崎くんにナナにメロメロになったLINEを送らせてやる!
まず手始めに……。まず手始めに、何をすれば良いんだろう?
私はそこで愕然とした。今まで、テキトーな愛想笑いとLINEのハートマークで大体のことを乗り越えて来た私には、男子をメロメロにするなんてテクニックは無いことに気づいたのだ。
そう。正直、私は可愛い。見た目が。美容師目指してるお兄ちゃんプロデュースの下、ラベンダーベージュの茶髪に染めたふわふわの髪に、小さくて揺れるピアスが基本スタイルなんだけど、まあモテる。
正直、小学生の頃からモテていた。さすがに小学生の頃は染めてなかったけど、マスカラいらずの長いまつ毛はその頃からだったし、化粧品大手に勤めているパパから試作品のリップクリームをもらったりしてたから、お手入れもバッチリだった。
初めて付き合ったのは小学5年生の時。クラスで一番足の早いサッカー少年と。でも、キスされそうになって、気持ち悪くなって別れちゃったけど。
まあ、そんな私だから、男子から既読スルーされるなんて経験は今までなかった訳で。嫉妬されて女子から既読スルーされたことはあったけどさ。とにかく、男子が勝手に話を盛り上げてくれるから、私はただニコニコしていれば良いだけだったのだ。それで、それなりに楽しく過ごせた。
のに、神崎くんは、どうやら自分から話しかけてくれる気はないようなのだ。
今日も6時間目が終わって、教室から出ようとする神崎くんを呼び止めたのは私の方だった。「授業疲れたねー! もう帰るの?」ちゃんと上目遣いで小首を傾げたのに。
「ああ。じゃあな」
って、それだけ言うと、神崎くんは振り返ることなく帰ってしまった。
なんで~!?
そこは、「良かったら一緒に帰らない?」とか、「この後暇なんだけど、どっか遊びに行かない?」とか、そういう展開にならない!? ナナ達、付き合ってるんだよ!? 変だよ! 変! 神崎くんは絶対変!
まあ、誘われたら誘われたで、仲が深まっちゃうから面倒なんだけどさ。
私は溜息をついた。
こんなんで本当に神崎くんにメロメロなLINEをもらえるのかな~。
神崎くん、ナナのこと可愛いって思ってくれてないのかなあ。確かに最近、髪型もワンパターンだし、努力が足りないってこと? 神崎くんは面食いなのかも。じゃあ、ちょっとお兄ちゃんに頼んで、可愛くしてもらってみる?
私は、思い立つが早いか、急いで隣のお兄ちゃんの部屋をノックした。
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
お兄ちゃんに、頭のてっぺんにリボンの形のお団子を作ってもらい、スマフォで写真を撮ってもらう。さらに、髪の毛を半分垂らしたまま、残りの半分を編み込みながらアップにしてピンクのバレッタでまとめた髪型にセットしてもらい、また写真を撮ってもらう。
「ナナ我が妹ながら超可愛い! やっぱり今度ショーのモデルやってくれよ! な! 頼む!」
と頭を下げてきたお兄ちゃんには悪いけど、私はそれを断る。あまり悪目立ちしすぎると人間関係悪化して面倒なのだ。
「ごめんね、お兄ちゃん! 人前に出るのは苦手だから。でも、この髪型は気に入ったよ! ありがとね! じゃ!」
追いすがるお兄ちゃんを無視して、私は自分の部屋に帰ると、さっそく神崎くんにLINEを送る。さっき撮ったばっかりの2枚の写真を送って、「どっちの髪型が可愛い?」というメッセージを添える。
どうよ! これで、さすがの神崎くんも、ナナの可愛さに気づくでしょ! おまけに、神崎くんの趣味もわかるし一石二鳥!
私は、満足げに頷くと、神崎くんからの返信を待った。
宿題が終わっても返事が来ない。お風呂から上がっても返事が来ない。ネイルのお手入れをしたんだけど、それでもまだ返事が来ない。
もういい加減、寝る時間だ。私は6時間は寝ないと次の日起きれないから、仕方なくベッドに入った。
明日、皆に笑われるだろうな。
落ち込んで布団に潜り込んだ時、ピロロン、と例の間抜けな音がした。
きた!
私は慌ててスマフォを掴む。そして、LINEを開いた。神崎くんからだ!
「桃色のピン留めが綺麗だ」
ピン留め? バレッタのこと? ていうか、これじゃあ、私じゃなくてバレッタが綺麗ってことじゃん! 神崎くんのアホ! 全然乙女心わかってない!
まあ、たしかにこのバレッタは、私が色んなピンクの折り紙をデコパージュして作った自信作のバレッタだから、綺麗なのは当たり前なんだけどさ。そこじゃない! そこじゃないでしょ! 褒めるべきところは! ナナを褒めてよ!
うわーん!
明日絶対皆に笑われるよ!
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
「ひー! お腹痛い! ナナ超空回ってる!」
とはレイカ。
「神崎、童貞だから!」
とはミサミサ。
「女心がわからない!」
とヤエ。
お昼休み、私達は机をくっつけてお弁当を食べながらの報告会。私は恥ずかし過ぎて涙目だ。ちなみに、神崎くんはお弁当の時間、どこかに消えてしまうので教室にはいない。
散々笑った後に、レイカは言った。
「あー、笑った。まだ付き合って4日目だけど、この調子で笑かしてね。LINEだけじゃなくて、ちゃんとデートとかもしないとダメよ」
デート!?
神崎くんとデート!?
あのダサ眼鏡で暗くて女心のわからない神崎くんとデート……。ちゃんと出来るかなあ。不安です……。
私は、自分の部屋のベッドでジタバタともがいた。
何が「ダサ眼鏡に既読スルーされるなんてナナ女子力低すぎ!」よ! 「ナナオシャレして頑張ってるのに神崎にすらウケないとは」よ! 何にも言い返せなかったけど~!
あーもう! 絶対、神崎くんにナナにメロメロになったLINEを送らせてやる!
まず手始めに……。まず手始めに、何をすれば良いんだろう?
私はそこで愕然とした。今まで、テキトーな愛想笑いとLINEのハートマークで大体のことを乗り越えて来た私には、男子をメロメロにするなんてテクニックは無いことに気づいたのだ。
そう。正直、私は可愛い。見た目が。美容師目指してるお兄ちゃんプロデュースの下、ラベンダーベージュの茶髪に染めたふわふわの髪に、小さくて揺れるピアスが基本スタイルなんだけど、まあモテる。
正直、小学生の頃からモテていた。さすがに小学生の頃は染めてなかったけど、マスカラいらずの長いまつ毛はその頃からだったし、化粧品大手に勤めているパパから試作品のリップクリームをもらったりしてたから、お手入れもバッチリだった。
初めて付き合ったのは小学5年生の時。クラスで一番足の早いサッカー少年と。でも、キスされそうになって、気持ち悪くなって別れちゃったけど。
まあ、そんな私だから、男子から既読スルーされるなんて経験は今までなかった訳で。嫉妬されて女子から既読スルーされたことはあったけどさ。とにかく、男子が勝手に話を盛り上げてくれるから、私はただニコニコしていれば良いだけだったのだ。それで、それなりに楽しく過ごせた。
のに、神崎くんは、どうやら自分から話しかけてくれる気はないようなのだ。
今日も6時間目が終わって、教室から出ようとする神崎くんを呼び止めたのは私の方だった。「授業疲れたねー! もう帰るの?」ちゃんと上目遣いで小首を傾げたのに。
「ああ。じゃあな」
って、それだけ言うと、神崎くんは振り返ることなく帰ってしまった。
なんで~!?
そこは、「良かったら一緒に帰らない?」とか、「この後暇なんだけど、どっか遊びに行かない?」とか、そういう展開にならない!? ナナ達、付き合ってるんだよ!? 変だよ! 変! 神崎くんは絶対変!
まあ、誘われたら誘われたで、仲が深まっちゃうから面倒なんだけどさ。
私は溜息をついた。
こんなんで本当に神崎くんにメロメロなLINEをもらえるのかな~。
神崎くん、ナナのこと可愛いって思ってくれてないのかなあ。確かに最近、髪型もワンパターンだし、努力が足りないってこと? 神崎くんは面食いなのかも。じゃあ、ちょっとお兄ちゃんに頼んで、可愛くしてもらってみる?
私は、思い立つが早いか、急いで隣のお兄ちゃんの部屋をノックした。
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
お兄ちゃんに、頭のてっぺんにリボンの形のお団子を作ってもらい、スマフォで写真を撮ってもらう。さらに、髪の毛を半分垂らしたまま、残りの半分を編み込みながらアップにしてピンクのバレッタでまとめた髪型にセットしてもらい、また写真を撮ってもらう。
「ナナ我が妹ながら超可愛い! やっぱり今度ショーのモデルやってくれよ! な! 頼む!」
と頭を下げてきたお兄ちゃんには悪いけど、私はそれを断る。あまり悪目立ちしすぎると人間関係悪化して面倒なのだ。
「ごめんね、お兄ちゃん! 人前に出るのは苦手だから。でも、この髪型は気に入ったよ! ありがとね! じゃ!」
追いすがるお兄ちゃんを無視して、私は自分の部屋に帰ると、さっそく神崎くんにLINEを送る。さっき撮ったばっかりの2枚の写真を送って、「どっちの髪型が可愛い?」というメッセージを添える。
どうよ! これで、さすがの神崎くんも、ナナの可愛さに気づくでしょ! おまけに、神崎くんの趣味もわかるし一石二鳥!
私は、満足げに頷くと、神崎くんからの返信を待った。
宿題が終わっても返事が来ない。お風呂から上がっても返事が来ない。ネイルのお手入れをしたんだけど、それでもまだ返事が来ない。
もういい加減、寝る時間だ。私は6時間は寝ないと次の日起きれないから、仕方なくベッドに入った。
明日、皆に笑われるだろうな。
落ち込んで布団に潜り込んだ時、ピロロン、と例の間抜けな音がした。
きた!
私は慌ててスマフォを掴む。そして、LINEを開いた。神崎くんからだ!
「桃色のピン留めが綺麗だ」
ピン留め? バレッタのこと? ていうか、これじゃあ、私じゃなくてバレッタが綺麗ってことじゃん! 神崎くんのアホ! 全然乙女心わかってない!
まあ、たしかにこのバレッタは、私が色んなピンクの折り紙をデコパージュして作った自信作のバレッタだから、綺麗なのは当たり前なんだけどさ。そこじゃない! そこじゃないでしょ! 褒めるべきところは! ナナを褒めてよ!
うわーん!
明日絶対皆に笑われるよ!
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
「ひー! お腹痛い! ナナ超空回ってる!」
とはレイカ。
「神崎、童貞だから!」
とはミサミサ。
「女心がわからない!」
とヤエ。
お昼休み、私達は机をくっつけてお弁当を食べながらの報告会。私は恥ずかし過ぎて涙目だ。ちなみに、神崎くんはお弁当の時間、どこかに消えてしまうので教室にはいない。
散々笑った後に、レイカは言った。
「あー、笑った。まだ付き合って4日目だけど、この調子で笑かしてね。LINEだけじゃなくて、ちゃんとデートとかもしないとダメよ」
デート!?
神崎くんとデート!?
あのダサ眼鏡で暗くて女心のわからない神崎くんとデート……。ちゃんと出来るかなあ。不安です……。
コメント