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雪見だいふく

本当に待って! 男なんだよォ!!

 瞑った俺の目に白い光が当てられる。
 これから何をされるのだろう。そんな事を考えると恐怖で頭がくらくらした。
 しばらく光が当てられる。それ以外は何も起こらない。

「……終わり! っと」

 ……! 本当か?! 俺はこの縛られた状態で何もされずに済むみたいだ。良かった。童貞は残るのに処女だけ奪われる男とか哀れでしかないもん。
 すると、ジャージのファスナーを下げるような音が聞こえる。俺は目を開けていたが相手の姿までは見えない。

「そろそろ! 娯楽といこうか!!」

 まだ……終わっていない?
 俺は男だァ!! と叫びたかったが恐怖で声も出なかった。電車で痴漢をされる女性はこんな感じなのだろうか。本当に怖いな。

「お前らも休憩していいぞー」

 さっきの男がそう言うと多くの足音がこちらに近付いてくるのが分かった。
 ……怖い。怖い。怖い。
 もう、そこからは何も考えることが出来なかった。

「じゃあいくぜ!!」

 俺の足やお腹の近くにたくさんの人影が見える。
 顔を背けて見ないように心がける。
 すると……。

 パリーン!

 どこかの窓ガラスが割れる音がした。
 すると、遠くから大きな声が聞こえる。

「ホールキャベツ!!」

 もしかしてエミリー?!
 ううっ。俺は目から涙が溢れていた。

「おい。誰だ! お前ら見てこい!」

 窓ガラスの割れた方へ大量の人影が向かうのが見えた。

「早く済ませてやるよ」

 俺のももが相手に触れられる。
 手つきがエロくて、気持ち悪い。

「……んっ」

 変な声まで出てしまった。
 あぁ! もう最悪!! 本当に助けて……。

「ちゃっちゃと済ませるぜ」

 俺の腰に手が当てられる。
 ……本当に嫌だ!!

 すると、爽快な風を切るような音と共に声が聞こえる。

「殺しますね。そこを離れろ。外道が」
「ちっ。来たか。こいつがどうなってもいいのか? さもないと犯……」
「うるさいです。黙りなさい」

 俺の体にも血が吹き飛ぶ。
 その首が華麗に飛んでいるのも見えた。
 すると、エミリーが上から眺めるように俺を見る。

「……! あなたはあの時の。大丈夫でしたか?」
「ありがとうございますぅ!」

 俺は涙ながらに感謝する。
 神様! 仏様! エミリー様ァ!!

「汚い血が飛んでしまい、すみません」
「そんな事ないです!! あなたがいなければどうなっていたか……。本当に感謝して……ます」

 疲れと恐怖が一気に取れたのか体に力が入らなくなる。
 そして、目の感覚が無くなり気が緩んでいく。

「大丈夫ですか!? 大丈……」

 ――――――
 ――――
 ――

 俺は目を開く。
 そこには白い天井と見たことの無いカーテンがベットの周りを覆っていた。
 俺の体は胸の辺りがそことなく重く。女の体で倒れていたみたいだ。

「……起きましたか。良かったです」

 俺の顔の前にギョロっと顔を出したのはエミリーだった。

「ありがとう……ございます」

 だが、そのエミリーの顔は少し悲しそうで優しい顔をしていた。

「お……いや。私って何であんな所に縛られていたのか分かりますか?」
「あなたも戦っていたのなら分かるはずですが食べ物を支配する人達です。あなたはその人達の乗っていた船に連れていかれてました」
「何で気づいたんですか?」
「いえ。こういった言い方は何ですが。気づくつもりはありませんでした。ただ、奴らを殺そうと……うぅ」

 すると、彼女は突然涙を零し始めた。

「どうしたんですか……? 大丈夫ですか?」
「いえ、何でもありません」

 彼女は涙を拭き取り、ニコッと笑った。だが、その笑いが無理をしていたことは一目瞭然だった。

「……大丈夫じゃないですよね。私で良かったら話を聞きますよ」
「その理由は……ですね」

 俺は唾をゴクリと飲み、彼女の話をしっかりと聞くことにした。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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