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雪見だいふく

火照っているのは熱中症!!

 俺は彼女達の顔が火照っているのを見ながら、ただただ水をかける。
 ……何これ。凄いシュールな絵だ。

「……!」

 陽葵さんの目が開く。その瞳はとてもうるうるしていた。そして、顔を真っ赤にさせながらジト目で俺を睨んでいた。
 その際、パーカーのファスナーを上にあげて口を隠す仕草がなんとも可愛い。
 だが、そんな悠長なことを考えている暇は無かった。

「……一君? だ、大胆……だね」
「ふぇっ!? いや、違いますよ。看病です! 熱中症で倒れたんですよ!」
「んっ……」
「何で唇を寄せてるんですか!? 勘違いもいい加減にしてください!」

 いや、俺は全然良いんだけど色々とアウトです!

「とりあえず寝ててくださいね……」

 と、ため息混じりに返す。

「ね、寝るっ……うんっ……」
「いや、違うからなぁ!? もう、そのノリいいから!」

 俺はテンションの上がっている陽葵さんに水をかけて黙らせる。
 そして、他の二人にも水をかけた。
 一人、体調が戻ったんだし、これは治るってことかな……。

「ぶ、ぶっかけっ……」

 俺は面倒なので無視することにした。
 気にしない。気にしない。
 だいたい、そんなセリフは顔が火照っている時に言うのは絶対に駄目だと思うんだ。俺のもムクムクしてくるしな!
 そして、何か変な妄想をして喜んでいる陽葵さんを無視し続けて数分。
 俺が水をかけた先がシューっという音を立てた。

「……ど、ど、ど、どんな仕打ちなんですか」

 エミリーが膝をガクガクさせながら立ち上がる。
 そして、すっかり元気になったくせに格好だけはエロいままの陽葵さんが余計なことを言いやがる。

「ぶっかけてたよっ!」
「ちょ……」
「そうですか……。そうですか……。ははははは! 死ね」

 部屋の端っこに置いておいた炬燵が飛んでくる。
 これは比喩なんかではない。飛んできたのだ。
 俺の小指に凄い勢いでヒットする。

「痛っ!!!!」

 日常生活でよくある、部屋の角や炬燵の角に足を思いっきりぶつけたとかでは全然済まないくらいの威力だ。身体強化スキルを使っていなければ足が吹き飛んでもおかしくないだろう。

「サン・チュお嬢様!! お、お、おぇ。お前はナニをしたんだっ……はぁはぁ」
「熱中症で具合が悪いはずなんですから寝ててくださいよ……」
「寝るっ……だと? ま、ま、ま、まさか! サン・チュお嬢様がこんなに火照っているのは……」
「違うわ! いい加減にしろ!!」
「あぁ。そうか。そうなのだな! はぁはぁ……さ、サン・チュお嬢様では飽き足らず、陽葵さんにも……その、エロい事をして……だから、あんなにエロい格好を元気なのにしてて……」

 と、服を段々と胸に寄せて恥ずかしそうに話す。
 これはこれで良き。でも、色々と勘違いしているな。早めに説得しないと、面倒なことになりそうだ。

「あの。色々と勘違いをしています。まず一つ目。サン・チュも熱中症です。そして二つ目。陽葵さんは単なる変態で一人でエロい格好をして喜んでます」
「なっ……!」
「う、嘘はいい加減にしろ! しかも、その……。え、エロい事をする時、わ、わ……私がさ、最後だなんて……ゆ、許さん!」

 え、そこ!? 何なの? やっぱりツンデレなの?! 絶対にツンデレ+ヤンデレだよなぁ!

「怒るところおかしくないか!?」
「うるさい! うるさい! うるさーーい!」
「仲良いねー。お二人さん! 私の入るところなんて無いよー。ふふっ」
「わ、笑わないでくださいー!」

 そう言うと、エミリーはバタリと倒れてしまった。全く……こいつもこいつで飛んだ馬鹿だな。
 その数分後。
 海人が戻ってきて、陽葵さんにまでホモ疑惑を疑われつつも何とか看病を続けて、何事も無く? 看病は終わった。

「はぁ……疲れたー」
「ところで……急にめちゃくちゃ熱くなったねー」
「そうなんだよ。ここの島は気温差が急に激しくなったりしてな」
「す、凄く大変だな……」
「ところで……晴れたから。お前らは……その。出ていくのか?」
「そう言えば、そんな話だったな」

 俺らは女神を探してて……それで。あ! 女神。台風が流れるのと一緒に完全に忘れてたぜ。

「この地区ってのは。お前しかいないのか?」
「いやー……。そんなことは無いんだぜ。ほとんどの人が山を越えたところで生活してる」

 つまり……。そこに女神はいるってことだよな。よし! 探しに行くか。

「じゃあ、私達はそこに行こうかー」
「そうだねー」
「よしっ。なら、そこに行くぞ! 今まで……。その、何だかんだありがとな」
「こ、こちらこそ」

 握手をしようと出した右手を海人は震える手で握る。ガチホモ疑惑だけは解いてから、この場を去りたかったな。

「じゃあ、ここからのルートだけ教えてくれるか?」
「その……。あれだ! 俺も食材調達があるから付いていくよ!」
「お。分かった。助かるぜ!」

 一時ではあるが、俺たちの仲間に海人が加わった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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