異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

女性に何しとんじゃ!

 俺はゴクリ。と、息を呑む。絶対、真面目な話だもんな。

「これは、最近のことなんだが……俺達の住んでいたこの街は人間共に全て滅ぼされた。それにより、アジ田さんやハマチーニさん等死んでしまった……」

 ……アジやハマチが消された可能性あるな。これ。

「で、でも、俺達のように助けようとした人間もいたんじゃないですか?」
「それがな、居なかったんだ。か弱いあいつらは皆、殺された」
「で、一人生き残ったと……」

 何で? どうして生き残ったんだ?

「俺は山の方の街へたまたま旅行してて生き残ったんだがな……はぁ。俺がいれば全員蹴散らせたかもしんねぇのにな……」

 と、ため息をつく。

「あの……失礼かも知れませんが一つ聞いていいですか?」
「何だ?」
「その……あなた一人になってまで、ここに残った理由はあるんですか?」
「あ? 俺の同僚を殺した人間をぶっ殺すためだ」

 そうは言っても、一人じゃ無理なのでは……。

「一人で……倒せましたか?」
「あぁ。今のところな。何百人も来てるが全員ぶっ殺した」
「……!?」

 ど、どんだけ強いんだ? 確かに俺も幻惑のようなものに惑わされたが……。

「驚いた顔をしてどうした? 実際、お前も幻惑を体験したろ。俺は負けねぇ……。どんな事があってもな」
「す、凄いっす……。一人になっても戦うなんて」
「……当然だ。それより、お前らの事は信用した。嵐が止むまで止めてやる」
「ありがとうございます!!」
「じゃあ、外のヤツらの幻惑を解いてくるか」

 と、立ち上がる彼に俺も付いていく。
 風が寒いなぁ……。

「よっ……と」


「「「んっ……」」」

 三人の幻惑? とやらが解かれると、三人とも顔を真っ赤にして倒れ込む。

「どうだー? 気持ち良かったか?」
「あの……。初対面で何ですが、どんな幻惑をかけたんだよぉ!!」
「少し『エロい』のを……」
「もういいわ!」
「大丈夫ですか……?」

 と、三人に駆け寄る。

「キャッ……」
「はひっ……」

 エロ過ぎんだろ!
 顔を赤らめ、汗を垂れ流している。

「とりあえず、許可は貰ったので家に入りましょう。外は寒いですよ……」

 こうして俺は無事に三人を室内へ連れて行くことに成功した。
 しばらく時間が経ち、興奮が収まった? 三人は寒そうに体を震わせていた。

「ヘクチッ……。暖炉、暖かいんですけど。やはり冷えますね……」
「悪いな。風呂はあるっちゃあるんだが別の場所に建ててあってな。台風のせいで、そこまで行けねぇ」
「いえ。大丈夫です」
「まぁ、これでも食えさ」

 と、俺の座っていた椅子の前にある、大きな机に料理を並べる。

「ほら。そこで寒がってる、お前らも食べろよ。軽く作ったから量は少ないが温まるはずだぜ?」

 そう言って、持ってきた料理は二つ。
 一つ目はシチュー。人参、じゃかいも、玉ねぎ、帆立。様々な品が入っている。
 様々な旨みのにおいが鼻に入り、物凄く美味そうだ。
 そして、もう一品……。ジャンクフードみたいなのが出てきたぞ?!
 皿にこぼれんばかりに盛られた、ポテトフライに何かを揚げたものが置いてある。

「これは何ですか……?」
「あぁ。白身魚を揚げたやつだな」

 あ、何か聞いたことあるかもしれない。フイッシュアンドチップスだったかな……?
 まぁ、何でもいいが美味そうだ!

 俺は冷えた体を癒すため、最初にシチューを口へ運ぶ。

 ……なんだ。これは!!

 俺はスプーンを皿に落としてしまう。

 肉の旨み。海鮮の旨み。野菜の旨み。全部、合わせているからこその味わい……。牛乳といい感じに調和していやがる!!
 凄い、凄すぎる! ミックスパネェ!!

「す、すみません! めちゃくちゃ美味いです!」
「本当にそうだね!!」
「そうか? ありがとな」

 だが、これだけで終わりではない。
 もう一品あるのだ! 俺はスプーンを置き、フォークに持ち替える。

 ザクッ

 ポテトの表面から音が鳴る。
 これ、絶対に美味いやつやん!
 近づくにつれて、幸せな思いとマ〇クのポテトを連想させる。

 パクリッ

 うまっしゃァァァ!!
 何だこの味は……! ジャガイモの旨み、甘み最大限に活かされていやがる! その味は塩に潰されることもない! それにして、塩も引き立ってる。
 これは……最高級のポテトや!!

「美味いっすねぇ……」
「お、おう。お前、目の色をめちゃくちゃ光らせてんな」
「はい! こんなに美味いんだから当然っすよ!」

 次は白身魚のフライ!

「……ゴクリ。いざ食す……!」

 な、何だこれは?! 本当に白身魚のフライなのか?! 口に入れた白身魚は噛めば、噛むほど味わい深くなる。
 柔らかいし食べやすいよー……! この魚のコクと旨みが揚げ物と完璧にマッチしている!

 最高です! の意を込めて彼にグッドポーズを向けた。

「こ、こ、この魚は何を使ってるんですか?!」
「それはなぁ、穴子だ!」
「あ、穴子!?」

 あの、タレとか付けて食べる寿司のネタがこれに何のか?!

「か、感動しました……」
「泣きついてくんな!」

 その後も俺の気持ち悪いほどのハイテンションは止まらず、少ないと言っていた飯を満足するまで食べ尽くした。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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