異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

変態!?

 いやいやいやいや。有り得ませんって! 自ら、女になる意味無いから!

『でも、君、女の子状態の方が強いよねぇ』
『……』
『ほらぁ。図星でしょ? だから、いざとなったら使ってね』
『いや、でも、そのアイテムを失くしたかもしれないんで……』
『はぁ。仕方ないなー』

 俺の手に失くしたものと同じ道具が置かれる。
 ……無ければよかったのに。

『持っているだけで、効果は出るから』
『分かりました』
『あと、さっき見せたポージングを間違えないでよねぇ……』
『何でですか?』
『男に戻ろー! って、思った時に戻れなくなるから』
『怖っ!』


 ――――――
 ――――
 ――


「……きろー!」
「んっ……」

 俺を起こしていたのは陽葵さんだった。
 時計を確認すると、寝てから五時間くらい経っているのが分かった。時間の感覚が違うのか? 全然寝た気がしねぇ……。

「そろそろ起きないと、夜寝れなくなっちゃうからねー」

 ソファーから降りて立ち上がると、ポケットに物の重みを感じる。
 あー……。それらしきものが本当に入ってるし。

「でさー、さっき話してたんだけど、一君は知らない?」
「何をですか?」
「私が服を貸した、めちゃくちゃ可愛い女性です」

 と、エミリーが陽葵さんに変わって言う。

 ……。多分、それ俺だわ。なんて、言えねぇよなあ。パーカーはどこかに失くしちゃったし。

「わ、分かんないです」
「なんで目を逸らしてるのー」

 おい、サン・チュ。余計なことを言うな!

「もしかして……」

 と、エミリーが剣に手を当て、怖い顔を向ける。

「ち、違いますって」

 ? と、三人が不思議そうな顔をする。何も言ってなかったしな。しくじったー!!

「きっと、その人がエロかったから、思い出して動揺したんでしょ」
「……はぁ。あなたって人は」

 エミリー! 俺を見捨てないで! おまえが居なくなると寂しいし、戦力が格段に落ちるから!

「まぁ、いいです……。ところで」
「何だ?」
「私達三人で話してたんだけどさー。この街には女神? の手がかりが無さすぎるから、他の場所で先に見つけ出そうよ」

 と、サン・チュが提案する。
 確かに、ペコ女王は女神では無いらしいけど、めちゃくちゃ強いし、安心して任せられるからな。

「……だな。なら、次はどこに行く?」

 サン・チュは一応、野菜地区の女王だから……。

「肉地区に魚地区。それに炭水化物地区? に飲み物地区か?」

 本で調べた、情報を少し濁らせて聞く。

「んー……。魚地区なんてどうかな?」
「いいねぇ! 刺身!」
「陽葵さんも嬉しそうだし、魚地区に行くか……」

 俺達は次の目的地が決まった。
 今日は別れの挨拶をしてこよう。

「なら、俺。挨拶してきますね」
「一人で行ってらっしゃーい」

 あれっ。付いてきてくれることに期待してた訳では無いけど、意外な反応。
 俺は一人、ペコ女王の元へ向かう。

 周りに人がいない気がするけど、気のせいだよな。
 そして、大きな椅子に座るペコ女王の背中が見える。
 まだ、飲んだりしてるのか……。周りには飯と大量と人がいた。

「女王様ー!」

 俺がそう叫ぶと、ペコ女王を囲む数が増える。
 コソコソと人が話している。何だよ。
 この陰湿ないじめみたいな行為は。マゾじゃないので、全く嬉しくないんですけど。

 すると、椅子に座りながら後ろを確認する。

「おぉ。変態じゃないかー」
「気軽に話しかけると、変態がうつりますよ……!」
「なら、お前には変態がうつっているな」
「うっ……」

 言葉責めで周りにいた人を一人倒す。
 いやいや、別に倒したい訳では無いんですけど!

「少し話がしたいんですけど、いいですか?」
「構わ……」
「危険です! 変態にどんなプレイを強いられるか!」

 うわぁ!! あいつらが付いてきてくれなかった理由が分かった! これは酷い! もう逃げ出したいもん! 

「何もしませんから!」
「……安心しろ。こいつは変態だが、頼り甲斐のある変態だ」
「ペコ女王……」

 周りの俺を蔑む目と違って、しっかりと正面から顔を見てくれた……。
 それだけで有難いよ。

 そして、周りが楽しんでいる場所から離れたベンチに座る。
 夜風が肌に当たり、肌寒い。

「ペコ女王。今まで、お世話になりました」
「どうした? 改まって」
「いや……。俺達、この地区から離れようかなと」
「そうか」
「今まで、本当にありがとうございました!!」

 と、頭をきっちり下げる。

「そ、その……。こっちこそ世話になったな。今まで、楽しかったぜ。また、会えるといいな。変態」
「そう……ですね!」

 それ以上は何も言わずに、部屋へ戻った。
 本当は宴に参加したかったけど、この街で人前に立つのは恥ずかしいからな!

「ただいま」
「案の定、早かったねー」
「あぁなるのを予想出来るのなら先に言ってくださいよ!」

 この後は、可哀想? な俺のために三人が飯を一緒に食べてくれた。
 たらふく食べた俺たちは、布団も敷かず、その場に倒れてぐっすりと眠った。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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