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雪見だいふく

お疲れ

 一歩ずつ、進む俺達の足元に剣が刺さる。

「……!?」
「ちょっと待てよ。てめぇ。本当に味方なのか? 裏切ってんじゃねぇだろうなぁ!」

 俺達を止めたのは団長のペコさんだった。

「もう少しで勝てるって時に裏切られたらたまったもんじゃねぇからなぁ」
「裏切ってません。第一、俺が裏切り者なら序盤のうちに決めているでしょう」
「分かった。なら、てめぇは信じる。だが、その女は何だ? 俺らの仲間を数人倒したんだぜ?」
「私は事情が分からず、戦わせられてただけです。信じてください。絶対に、こっちが有利になるように攻めますから」
「……確かに、効果を打ち消されて埒が明かないからな。単体でもパワーがあるやつは嬉しい……。お前を信じるぞ」

 俺と陽葵さんは交戦している所に近づき、相手を一人ぶっ飛ばす。
 正確には、俺は近づいていっただけで、何もしてないのだけれど。

「貴様……! 何をしている! 我々を裏切るのか?!」

 聞き覚えのある、声が鳴り響く。

「裏切るも何も間違っていることを正すのに理由はいらないと思うんだ」

 ひ、陽葵さん、めちゃくちゃ格好いい。

 そして、エミリーも一人の騎士を相手取り、倒していた。前線でまともに太刀打ちしていたのはエミリーだけだったのか、疲労に満ちていた。

「後は俺たちに任せろ」
「はぁはぁ……。ありがとうございます」

 他の奴らは何をしているのだろうか。
 いや……効果が打ち消されるから、勝てないのか。
 逃げるのが吉。その通りだ。
 戦ったって、勝てないんだからな。
 だから、あの効果を打ち消す奴を俺達がぶっ倒して、一気に攻め落とす!

 俺はさっきと同じ様に後ろに下がり、援護に徹する。
 支援を受けた直後に後ろから狙うだけだ。
 そして、陽葵さん。あの強敵の中でも一番強いのか、敵を薙ぎ払っていく。
 強すぎて、ポカーンとしてしまうものがほとんどだった。
 サン・チュは裏で傷ついた、こちら側の人達を回復させていた。

「……これなら、余裕で勝てそうだな」

 俺も胸からビームを打ち続ける。
 すると、混戦状態から、あっという間に敵が全滅した。

「さぁ! 城を開け渡せ!!」

 団長が叫ぶ。

「ぐぬぬぬ……許さん。許さんぞ!」

 すると、指揮を執っていた男が「すみません……。ですが、諦めましょう」と、言い、現国王は負けを認めた。

「「「「「「よっしゃぁ!!!!!!」」」」」」

 そこにいた、全員が歓喜の声を上げる。

 この支援魔法は、正直言って、『最強』だよな……。と、改めて実感し、『元女神』かもな……。と、思う。だが、サン・チュの時のようにはいかず、何も起きない。
 やはり、違うのだろうか……。

 そして、城の所有権が移り、元々いた貴族達を牢にぶち込んでいた。
 これから処分を決めるそうだ。

 色々な片付けが済み、城のスピーカーから国内全体に放送をする。
 もちろん、その声はペコさん。団長の声で。

「この国には活気が戻される!! まず、税を減少させ……」

 と、おかしなきまりが次々に変更されていく。
 これから、国の再構築ってところか……。頑張ってくださいよ。ペコさん……いえ、ペコ女王。
 城も取り返したし、俺達の手番は終わりだ。
 何も起きなかったので、女神様では無いんだろうしな。
 そして、放送が終わった、ペコ女王に「お疲れ様でした」と、伝える。

「お前がいなれば負けていたかもしれない。感謝する」

 口調は落ち着いていた。

「俺達の出番はおしまいですね。それでは、さようなら」
「いや……ちょっと待てよ。一日くらい城で休んでいけ」

 こういうのは「はい」と答えるのがいいんだよな。この人が好意で言ってくれているんだし。

「分かりました。お言葉に甘えて……」
「とは言っても、国を立て直すんだ。あまり、期待はすんなよ?」
「もちろんです」

 今日は一日、ここで休むことをサン・チュ、エミリー、陽葵さんに伝える。

「分かったよー」

 そう言い、案内された部屋でのんびり休む。
 元々、金遣いを荒くして、作られた部屋だけある。物が豪華だ。
 部屋……。と、いうより家のような大きさのところに案内された俺達はソファーやベット、好きなところで各自、だらーんと寝転がる。

 疲れたから……そのまま寝てしまおうか。と、思ったが、陽葵さんに事情を聞きたい。

 俺は立ち上がり、陽葵さんのいる場所まで向かう。

「あの……陽葵さん。少し話したいんで、どっかで話しませんか?」
「ん、もちろんいいよー」

 俺は陽葵さんと一緒にいない間、何をしたかをのんびりと話しながら、どこか話せそうな場所を探す。

「……ふふっ。そうなんですか」

 一緒にいた仲間達の笑い話が聞けて、とても面白い。

「あ……! あそこなんてどうかな?」

 陽葵さんは金で出来ているベンチを指さす。
 座りにくいなー……。

「ま、まぁ、いいんじゃないですか?」

 ベンチに座ったら、笑い話は一時中断だよな。
 これから、真面目な話をしなくてはならないことに、少しだけ気が引ける、俺だった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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