異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

スカウト

 全然、話が分からないんだけど。

「それで、逃げたところでどうするんですか? 壊されたからって、そこの住人は何を得するんですか?」
「夜逃げしちまえば壊されたと思って、税は取り立てにこない」
「いや、だから探すんじゃないですか? 普通に考えて、こんなにもたくさんの住人が一斉に消えてるんですよ?」
「実はな……。これが面白い仕組みになっていて」
「お、おう?」
「普通はそう思うだろ? だが、国は人なんて金としか思ってない」

 で? 何が分かるんだ?

「そこで逃げる。それを公開しないのには理由があるんだ。こちらの団長ペコ様が予め、裏で手紙を送った。

『こちらは人を集め、必ずしもお前らの国を支配する』

 とな」
「それで?」
「俺達は夜逃げしたいという街を壊すと見せかけて仲間に取り入れている。多いに越したことはないからな」
「つまり?」
「国がその事を公開したらどうなると思う?」
「簡単に潰される街。信用が落ちたり……ってところか?」
「そんな感じだ。街の不安を煽るようなことをして税金を払わず、一斉に俺達のところへ来るのを恐れてるってことだ」

 話をまとめると、

『攻めてくれば不安により税が取れなくなる。攻めなければこちら側は強くなる』

 っていう、循環が出来ているってことか。

「つまりなこちら側にいた方が有利だと思う街が自ら潰すように言うんだ」

『これなら、合理的だろ?』と、続けて言う。

 確かに間違ってはいない。だが、こんな作戦は成功するのだろうか。
 国が本気で潰しにきたら一溜りもないんじゃないか?

「おい。でも、その作戦は明らかに穴がありすぎるだろ。攻めてきたら、どうするんだよ」

「はっはっは!」と、爽快に笑い始めるおっさん。
 今頃気づいて絶望して頭が狂い始めたとか無いよな。

「それは簡単だ。おい、何であんなに若い子が『団長』をしていると思う?」
「最初に軍を作ったから……とか?」
「まぁ、それだけだったら、とっくに代わっているだろうな。あの子は強過ぎるんだよ。驚くぐらいに」

 確かに、それは体で実感した。
 だが、一人の力で勝てるほど甘くはないだろう。

「ここにいる全員が他力本願ってことか?」

 実際には他力本願というより『一人本願』みたいな言葉があっているのか?

「それは違うな。俺達も戦っている。だがな、強いやつもいれば、弱いやつだっている。そこでどうする勝手話だ」
「勿体ぶらないで早く教えくれ」
「そうだな……。それなら、お前も体で実感したはずだ」
「実感……?」

 ペコさんに……か?

「つい、さっき、お前は、あの高さから降ってきて、死ななかったんだぞ? つまりだ……」
「俺の体を触れながら、一気に強化したっていうのか?!」
「正解。確かに、ペコ様はめちゃくちゃ強い。だが、一人で倒せる程、甘くはない。だからだ、俺達も強化してもらい戦うんだ」
「おい……それって、そんな事が出来るのは神様か何かじゃないか!?」

 おいおい……。マジかよ。本気であの人、元女王様……女神かもしれないぞ。

「確かに『神様』のような存在かもしれねぇなぁ。だが、ここでは『団長』だ」

 相当な信頼を受けているんだな。

「ここからの話も聞いてくれないか?」
「もちろん」

「突然だが、この街を見渡してみてくれ。最初は数人しかいなかったが、今はこの数だ」

 と、辺りを見渡す。
 相当、時間をかけたのだろう。数百人……いや、千人近くいるのではないだろうか。

「すごいだろ? 準備は着実に進んでいるんだ」

 準備? 戦争……ってことか?!

「そこで……王族に対して、あんなにも凄い啖呵を切った、お前に頼みがある。
 絶対に強いだろ。お前。だからな……。

『仲間になってくれないか?』

 頼む! あそこの城を乗っ取り、この国の政権を我々に移す! 民がごく普通に暮らせる世の中を作るために!」

 仲間になるのは良いんだけど……凄い期待だな。俺はそんなに強くないぞ?

「……いいですよ。ですが、私にもやる事があるので、城を取り返すまでです」
「ありがとな!」

 ペコさんが女神様かもしれないし、こちらにも色々と好都合なことがあるからな。

「おう。てめぇも仲間になんのか。よろしくな」

 いつ頃から、いたのかは分からないがペコさんが後ろで、こちらを見ていた。
 この人に誘われたら、恐怖で断ってたかもしれないな……。

 そう思い、身構えていると、ペコさんが俺の前で「よし……」と一人でぼやく。

「おーい! みんなー! 聞いてくれー!」

 そう言うと、俺の周りに人が一斉に集まる。

 この人へ対する信頼が凄いな……。

「よく聞いてくれ! 今、来れそうに無かったやつには、後でしっかりと教えといてくれ!」

「はい!」や「了解です!」などの声が上がる。

「それじゃあ、大事な報告いくぞー!」

 このライブステージの新曲発表みたいなノリは何なんだろうか……。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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