異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

ペコさん

 ……死んだのか? 絶対に嫌だぞ!?
 落ちていく感覚があった時は恐怖で五感が働かず、周りの声は全く聞こえなかった。だが、何故か今は聞こえる。
 神様か何かになって空にいるのだろうか。でも、その割には何かにささえられているような……。
 俺は段々と目を開く。

「おい。てめぇ、なかなかやんじゃねぇか」

 え? 死ぬのがですか? 凄くも何とも無いよ!?

「な、何を……って、ええ?!?!」

 俺は発狂してしまった。
 めちゃくちゃ驚いたからだ。
 いやいやいや。おかしいって! この人、人間じゃない!?

「あのー……何で落ちていった、俺がここで生きているんでしょうか」
「助けてやったのに、そんなこと言いやがんのか? ぶっ殺すぞ」

 そう。俺を助けてくれたのはペコさんだったのだ。
 それで驚いていたんだけど……実はもう一つ理由がある。
 何で俺。お姫様抱っこされてんの!?!?
 この人の力はどうなっているんだ? あの高さから落ちたところをお姫様抱っこでキャッチ!? 意味わかんねぇよ! 後、それだとしても俺に損傷が無いのは何故!?
 重量、どこにいったんだよ! いや、嬉しいんだけど、返せ重力!!

「助けてもらって何ですが……力。凄いですね」
「あぁ? まぁ、そうだな。力だけはわっかんねぇけどあっからなぁ。
 そんなことより、お前。ここで降ろしてやっから、そこで城の方でも見てろ。面白いことしてやっからよ」

 お姫様抱っこをされていた体を降ろされる。
 見てろって……城、結構遠いなぁ。
 ……って、えぇ!?
 もう疑問点しかない。あれから時間は全然経っていないはずなのに何でこんな遠くに俺はいるの?

「おい、お前。やるじゃねぇか!」

 そう言われ、後ろから急に肩を叩かれる。
 振り返ると宿屋のおっさんがいた。つまり、ここは泊まっているスラム街のところか……。

「やるじゃねぇか……って、死にそうでしたよ!」
「いやぁ……。そうだとしてもな。国にあんなことを言えるなんて凄いぜ、だがな、これから、もっと凄いもんが見えると思うぜ」

 ペコさんが何かをやらかすのか?
 確かに、ここ周辺の人が昨日の夜みたいに外に出ているけど……。
 昨日の夜中……? いや、人がなんだか多いような……。

「やぁやぁ。皆様、こんにちは」

 スピーカーを通した声でペコさんの声が聞こえてくる。

「私が今! 助けた男。あいつが何をしたってんですかねぇ」

 おっさん曰く、これは城の方にも聞こえているらしい。

「おやおやぁ? 黙り込んでどうしましたか? 『大臣様』ぁ!」

 と、まるでショーをするように大臣を煽る。

「あれ? まだ黙り込むんですか。この街全体の怒りを買いますよぉ? 何にも無い人を殺そうとしたんですからねぇ」
「……あいつは、た、確かに罪を犯した!」

 さっき、俺を殺すことを報告したのと同じスピーカーか何かで声が聞こえる。

「へぇ……何を?」
「そ、それはだな! お前のことを知ろうとしたからだ!」

 早口でそんなことを抜かす。
 街の人からしたら訳が分からないのではないだろうか。実際、俺も訳が分からないし。

「あれれ? お前が『奴隷』としか認知してない町人共は私のことを知らないんじゃ無いのかぁ?」
「……し、しまった」
「大臣さん。声、入ってますよ。はっはっは!」

 ごめん。全く訳が分からない。後で事情を聞くか。
 その後もペコさんの煽りはあったが、これと言って有意義な情報は無かった。

 話し始めて数十分後……ようやく話は終わった。

「いやぁー……面白くなってきたな!」

 何がだよ! 説明しろよ! 分かんないよ! 宿屋のおっさんが言っていることは分かんないよ!

「あのー……全く訳が分からないんですけど、教えてもらえませんか?」

 と、俺は質問をする。
 何故、俺があんなことをしたのかも全て話した。女神様を探していることだけは伏せて。

「そうだったのか……。なら、俺達の計画……と、いうより作戦を教えてんよ!」

 ……作戦? 何のだ?

「お前は人がまるっきりいなくなっていた事が気になった。って、言ったよな」

 そう。あの人の消え方は異常だからな。

「あれをやったのは俺達だ」
「は!?」

 嘘だろ……俺を助けてくれたのは犯罪集団でそれで……最悪だ!

「安心しろ。あそこには人が倒れてなかったろ?」
「た、倒れてませんでした」
「それはな。元から壊すことを伝えていたからだ」

 だから、あんな貼り紙が? そんな馬鹿みたいな話があってたまるか。

「その証拠にあそこにいた人達はここにいる」
「え、え? 何でそんなことを?」
「この国では異常な程の税を取られる。だからな、儲かっているように見えるところも実際は損しかしてないんだ。だから逃げるために破壊した」

 つ、つまり夜逃げみたいなもんか?
 なるほど。分からん。

 ……この話を理解出来る時はくるのだろうか。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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