異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

どうしてこうなった『前編』

 ……何故、こんな事になったんだ?
 俺は今、たくさんの市民の前に立たされている……と、いうより吊るされている。
 キリストが殺される……のとは、少し違うが両腕を横にして、縛られ十字架を作るような形になっている。

 ……え、マジで何で?

 俺は、どうしてこんな事になってしまったのか。
 それは数時間前の話になる。

 ――――――
 ――――
 ――

 エドワードは「大臣と話をしてもらう」と、伝えると俺らを逃がさないようにか見える位置で電話を始める。
 小声で話していたので、何を話していたのかは分からなかった。

 ……何を話しているんだ? 大臣……か。

 と、考えるが見当もつかない。
 しばらく考えていると、前のドアかガチャっと開かれる。
 そこに立っていたのはエドワードの様なしっかりとした格好の人ではなく、どこか、お父さんのような軽い私服を着た、金髪で少しぽっちゃりの若そうな男性が立っていたのだ。

「お疲れ様です。ポテト・バスチアン様」

 と、エドワードが頭をぺこりと下げる。

「はっはっはっ。そう固くならんで良いぞ。ところで、、こいつらが……」

 おいおい……野菜地区の騎士団長だぞ? 何だこの扱いは。

「そうです。こいつらです」
「そうか。そうか。話を聞かせて貰っていいかな?」

 と、机に両手をあげて上から目線で話しかけてくる。

「……別に構いませんが」

 エミリーがめちゃくちゃイライラしているのが分かる。
 机の下に少し見える手はぶるぶると震わせ、遠慮なしに剣を向けたい。
 そういう風に見えた。

「別に構いませんが、だと? じゃなくて『お願いします』だろ? はっはっは!」

 と、嘲笑う。
 エミリーは怒りが爆発したのか机を勢いよく叩き、前のめりになった所で俺はエミリーの裾を掴み止める。
 我に返り、頭を下げて座り直す。

「お、お、お願……いします」

 その声は震えており、相当悔しかったんだと思う。

「よろしい。それじゃあ、話を進めよう」

 大臣は、そう伝えるとエドワードが座っていた所に座る。
 それを合図にするかのようにエドワードは部屋から退出した。

「で……君達は人探しのために来た。服装は赤いタンクトップに――――
 で、そいつの情報を聞きたいが、何のために探しているのかは答えられない、と」
「そうです。先程、そちらの騎士団長様にその話をしたところ、あなたと話をしてもらう。との、事だったので……」
「ほうほう。大体の話は分かった。だが、もう一つ。聞きたいことがあるんだろ? 第一の質問に答えるのも、それからだ」
「分かりました。単刀直入に言わせてもらいますと……人がまるっきり居なくなっていた場所があったんですけど……それは?」
「何だ? それは分からないな」

 と、本当に不思議そうな顔をする。
 いっても大臣だろ? 何で、こんな大事なことを分かって無いんだよ。

「……そうですか。では、一つ目の質問をお聞きしても良いですか?」
「……断る。お前らは怪しすぎだ」
「……は?」

 俺は思っていたことが、つい口に出てしまった。

「理由も話せないのに赤いタンクトップの情報を教えろだ? お前ら……『野菜地区か何かのテロ集団』だろ」
「違います……!」

 そもそも、意味が分かんねぇよ!
 赤いタンクトップって、そんなに禁句みたいな感じだったのか?

「戯言は聞いてられん」

 そして、扉を開ける。

「こんなのは判断の基準とくそもいらん。連れていけ!」
「はっ!」

 そう言うと、他の騎士達も呼んでいたのか、この狭い部屋に十人ほど一斉に入ってくる。

「……まずいですね。逃げますよ!」
「うん!」

 エミリーはスキルを使用するために手を前に突き出す。

『……リーフターン!』

 まとまっている騎士達を一気に縛り上げる。
 すると、後ろからも声が聞こえる。

『キャンディーフィールド』

 俺達の周りが、ねちょっとして動きづらくなる。
 それのせいで行動はしづらくなり、動きにくくなり、相手の方に目を向けられなくなる。

「大人しく捕まってもらおう」

 この、狭い場所では小回りの効く技を使えないエミリー。
 最近、スキルを大量に使ったせいで今はあまり、戦力にならないサン・チュ。
 なら……俺が戦うしかないだろ!

『ホールケーキ!』

 ……戯言を抜かしてたせいでワンテンポ遅れた。
 すると、俺らを中心にするように大量のクリームが降ってきて捕えられてしまう。
 中は少しだけ、空洞になっている。
 殴ったりしても、びくともしないがスキルだったら何とかなるんじゃないのか……?

「俺がスキルで、このケーキを焼き尽くす。相手がこれに気を取られてる隙に、ここから逃げよう!」
「分かった」

 俺は右手にスキルを使うような形で構える。

「スキル!『焦がし焼きマスター!!』」

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品