異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

厄介

 こういうやつ……本当に嫌いなんだよなぁ。
 キラキラパワー飛ばしてきやがって。内心では馬鹿にしてんだろ!?

「よ、よ、宜しくお願いします。俺の名前はい……」
「そうですか。あなた方は?」

 と、後ろにいた二人に近づく。
 やっぱり、ただの女たらしだったか……。俺の目に狂いはなかったみたいだな!
 キメ顔をしてみるが全く嬉しくない。

「私が野菜地区の騎士団長を務めさせてもらっているレータ・エミリーです。宜しくお願いしますね……死……ゴホン。何も無いです」

 おい! この人、相手の騎士団長に向かっても暴言吐きかけたぞ。腹立つのは分かるけども!

「このような綺麗な方がですか……! そして、そちらの方の綺麗な女性は……」

 と、サン・チュの方を指さす。
 範囲広いな! ロリコン説が微弱浮上しつつあるぞ。

「わ、私はエミリー様の護衛をさせて頂いているサン・チュです」

 サン・チュがここまで自分の名前を言うのに抵抗を覚えているのも久しぶりに見るな。
 嫌がっているのが目に見えるように分かるぜ。

「そうでしたか。あなたも綺麗ですね! ……で、お前は何ですか?」

 態度、悪っ! 俺が騎士団長じゃないと知った瞬間にこれか?
 しかも、さっき自己紹介しようとしたぞ俺!

「一 一でーす……。宜しくお願いしまーす。エミリー様の護衛をさせて貰ってまーす」

 俺は無愛想な挨拶をする。
 エドワードはイラッとしたのか、俺を睨んでくる。
 睨み返したいところだがニッコリと笑い返す。

「では、こちらへ……」

 と、一人で歩き始める。

「何だ、あいつは死んでしまえばいいのに……」

 俺にノリで言ってくる『死んでしまえばいいのに』ではなく、本当にイライラしている感じだった。

「こ、怖いよ……大丈夫だよね?」
「た、多分、大丈夫なはずだ……っと、そろそろ行かないと怪しまれるぞ」

 俺達三人は急ぐようにエドワードの元へ向かう。

 その後も少し歩き続けたが、案内なんてものは入ってこなかった。
 どいつもこいつも腹が立つ。全員、呑気なものなのだ。
 遊戯をしたり……酒に溺れていたり、スラム街のような姿もあるのに、信じられないやつらだ。
 他の二人の表情から取るに同じことを考えていたのだろう。
 その表情は呆れ、ゴミを見るような目に変わっていた。
 俺らが軽く失望していると、話す場所に到着したのかエドワードは立ち止まった。

「ここです」
「……そうですか。『ここは』非常に裕福そうですね」
「怖い顔をして、どうしましたか? 裕福な街ですよ」
「怖い顔……そんな顔になってましたか。……謝ります。それでは、話を始めましょうか」

 と、笑いかけた。

「もちろんです」

 そう言うと扉を開ける。
 すると、そこには暗い部屋で通路のように細い道になっていた。
 俺達はその細い道に入り、エドワードに続くよう、右に曲がる。
 そして、手前から二番目の部屋に入った。
 そこには大きな机に椅子が置いてあるだけの、不格好な部屋だった。だが話すには丁度いい感じだった。

「そちらにお座り下さい」

 と、俺以外の椅子を引く。
 四つ椅子が置いてあり、扉側を向く方に俺。右側にはエミリー。左側はサン・チュだ。
 手前……扉側はエドワードだ。逃がさない。と、いう事なのだろうか。

「まず、お聞きします。あなた方は本当に野菜地区の人間ですか?」

 会って、初めて見るエドワードの真剣な顔だった。
 要するに、俺達を怪しんでいるのだろう。
 外交なんて、約束もしていないのに来ているんだから。

「それは事実です」

 エミリーはキッパリとそう答えた。

「そうですか。なら、要件は何ですか?」
「聞きたいことがあってきました」
「ほう。面白い。そのためだけに騎士団長が……ねぇ」

 喋り方も小馬鹿にするようで腹が立つ。
 俺はイライラするが、両手をグッと握り我慢をする。

「信じていないのなら、別に結構です。質問は二つあります」

 口調が荒れて険悪なムードになっていく。

「聞きましょうかね」
「まず、一つ目。私達は人を探して、ここまで来ました。赤いタンクトップに――」

 と、話を進めていく。
 今回のエミリー、超かっこいい。

「……分からないこともない。その代わり、こちらからも質問させて貰っていいかな?」
「それに答えれば教えて頂けるんだな?」
「もちろんだとも」

 と、からかうように笑う。
 こいつ……本当に教えてくれんのか?
 エミリーは少し困ったように一つ間を置き、女神ということは伏せて話し始める。

「接点があり、探す必要がある。それだけだ」
「そうか。そうか……。なら、情報は教えられない」
「何故だ!? 私は答えただろ」

 と、軽く机を叩く。
 納得がいかない。そんな感じだった。もちろん俺も……だが。

「どうしても……だ。まず、この地区の大臣と話をしてもらう。話はそれからだ」

 何だか厄介なことになってきた……。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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