異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

お菓子地区

 爽快な音と共に船が出港する。
 焼男さんに今度こそ本当に見送られ船が動き始める。
 今回はギルドと無関係なので他の一般客と共にお菓子地区に向かう。

「……いやー! 実家はやっぱりいいな」
「そうですか。それは良かったですね……でも私もあの街嫌いじゃないですよ」
「ふふっ……何だか私も嬉しいなー」
「卵焼き。また作ってくださいね……!」
「もちろんだよー!」

 周りの客もいたので声を小さくしていたが会話を楽しむ。
 お菓子地区まで二時間はかかるので、船に酔ってきた俺は話した後、睡眠をとった。


 ――――――
 ――――
 ――


「てー……起きてー……!」

 と、肩を揺らされる。
 俺は大きなあくびをする。

「もうそんな時間か……?」
「そうだよー」

 乗り物とかに乗っていると時間って早く感じるよなぁ……と思う。
 そして周りの客に続いて後ろを付くように降りる。

 船から出るとそこに広がっていたのは甘いもの好きにはたまらないだろう光景だった。
 俺達を出迎えるように通路脇に生える、ポ〇キーのようなチョコを先にまとったお菓子で出来た木。
 枝分かれしているポ〇キーとか神だろ。
 そのポ〇キーから生えるようにポテチのようなスナック菓子が葉のように繋がり木の実にはゼリーが吊るされている。
 その奥にはたくさんの通路に分かれる道がある。
 だが、遠くから見ても分かるくらいのお菓子がある。
 巨大プリン何かも置いてある。

「すごい……天国だ」
「ですね……死んでしまえばいいのに」
「ん? ここでなら死んでもいいぞ」
「死なないでくださいよ!?」

 何だ。ツンデレか? ツンデレなのか?

「これ……食べていいのかな?」
「食べちゃいます……? バレませんよ。グヒヒ」

 と、悪そうな顔をする。
 だがこの会話にサン・チュが入ってこないのは珍しい。
 どうかしたのだろうか。

「……サン・チュも食べるか? バレなきゃ犯罪じゃないんですよって言ってるやつがいたんだからいいはずなんだぜ?」
「……ち、違うの。ここに来てから何かが近づいてる気がするっていうか……」

 と、不安そうな顔をする。

「女神の勘ってやつか……?」
「そ、それになるのかな」
「じゃあ道草食ってないであてもなしに探すか……!」
「く、悔しいですがそうしましょう」
「じゃあサン・チュ。その……女神様が大体どこにいるとか分からないか……?」
「ごめん……私のスキルで人探しは無理かな」
「なら地道に探すしかねぇな!」

 そう言い俺は左右に分かれる道を左に曲がる。
 道を進むと商店街の店が全てお菓子と言っても過言ではないくらいに大量のお菓子が並んでいた。
 外に出ている人。店員。様々な場所に目を向け〇コちゃんみたいな感じの人を探す。
 街を歩きかなり奥の方に来たのではないだろうか。
 段々と店数も少なくなり、周りの人も怪しそうなやつばかりになっている。
 そんな時、目を凝らしてみた人の中に後ろが三つ編み……ツインテールの茶髪でタンクトップを着ている人がいた。

「お、おい! あれじゃないか??」
「確かにそれっぽいな」
「サン・チュ……どうだ?」
「見た目はそれっぽいけど何だか怪しい雰囲気を漂わせているっていうか……なんというか」

 油断していたため全く気にしていなかったが敵察知スキルを使用すると周りも含めて危険な雰囲気を漂わせている……だが、あの女の子? は特にすごい力を放っていた。
 話しづらいけど話してみるか……。

「あの……俺、話してきますんで何者かに襲われそうになったら助けてください」
「わ、分かったぞ」
「あのー……すみません」

 すると、その女の子はこちらに振り向く。 

 ギロッ

 睨む目が怖い。と、言うより目つき悪っ!
 折角の可愛い顔が台無しになっていた。

「何だよ……喧嘩売ってんのか? あぁん?」
「ち、違いますよ……実は探してる人がいてその人かなーって……」
「それで俺と勘違いってか? 俺を知らねぇってことはここの街の奴じゃねぇな? なら名乗ってやるよ」
「え、あ、はい」
「俺の名前はペコだ。舐めた真似してるとぶっ殺してやるからな」

 ほ、本当にペコだったぁ!!

「は、はい。すみませんでした……人違いです」

 そう言われ本気で睨んでくるペコちゃん、いやペコさんから逃げるように二人の元に戻る。

「こ、怖すぎますって……あれ」

 最初のエミリーよりも下手したら怖かったぞ。
 目つきが悪すぎる。

「まぁ、あんなに怖い人が親しみやすい女王様だったとか無いと思いますよ」
「……確かにそうだね。あんなに怖いオーラ放ってる人が元女王様はないよね!」
「こっち方向はそろそろ切り上げないか? もう何も無いと思うし」
「うん……だな」

 と、明らかに手入れが行き届いていないスラム街のような所から別の方角へ向かう。

 ――あの人は本当に女王様じゃないよな……。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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