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雪見だいふく

決意

 俺はサン・チュが女神様として活躍する意思を伝えてくれたため部屋着から私服に着替える。
 エミリーには何かあるまで待機してもらうことにした。
 焼男さんには悪いがサン・チュを連れていかなくてはならない。

 どうしたものか……。

「私、お父さんとしっかり話してくるね……!」

 と、少し悲しそうな気持ちを醸し出すが最後は心配させまいと声のトーンを上げていく。

「お、おう!」

 どうやら俺は出るまでもないみたいだ。
 すると少し奥にいる焼男さんのところまで走って向かう。
 そして二人で話し始める。
 何を話しているのか口の動きで探ろうとしたが残念ながら分からない。
 だんだんと焼男さんの顔も渋くなっていく。そして遂には涙が出てしまっていた。
 その後も五分程、真剣そうな顔をし話した後、最後は笑ってサン・チュの頭を優しく撫でていた。
 それに対して渋い顔をしていたサン・チュも笑い焼男さんに抱きつく。それを焼男さんも優しく受け止めていた。

「家族……か」

 俺は元の世界にいた時の家族を思い出す。
 反抗期だったこともあり散々言ってきたがこういうのを見ると悪かったな……と、思う。
 少し懐かしく思い色々と考えさせられているとサン・チュと焼男さんがこちらに向かって微笑みながら俺の方に向かっていた。
 そして話をつけ終えたのかサン・チュは歩いてこちらに向かう焼男さんを置いて走って俺の隣に付く。

「いいよっ!」

 躊躇っていた雰囲気も決意と変わったのか返事は明るかった。
 すると俺達の前まで歩きながら来ていた焼男さんが俺の肩に手を置く。

「サン・チュのことは任せたぞ! お前を信用してるぜ!」

 と、それ以上は話さず俺の肩に乗っけていた手を離し背中をトンと押し出してくれた。
 それに応えるよう、扉を開け外に出る。

 ……と、別れ際のような演出をしたがエミリーを迎えに来たり色々あるので、また帰ってくるだろう。

「じゃあ行こー!」
「おう!」

 俺はそんなテンションの高いサン・チュをバイクの後ろに乗せてギルドへ向かう。
 その道中、防衛軍の事を説明をしながら向かう。
 そして、しばらくするとギルドに到着する。

「はい、到着」
「ここ……? 何も無いじゃん。喫茶店だよ……?」
「秘密基地みたいになってんだよー」

 と、自慢げに伝える。

「凄いね……!」
「そうだろ?? まぁ行くぞ!」

 そう伝え、俺を先頭にして喫茶店に入っていく。
 喫茶店の中はガランとしていて誰もいなかった。

「お前……今日も来たのか? それと隣のお嬢ちゃんは誰だ? 新しく防衛軍に入るやつか……」
「それでだいたい合ってるかな」

 と、一応サン・チュのことは伏せておく。
 上の人が全員に知らせるかの判断もしていないのに話すのは辞めた方がいいと思ったからだ。

「そうか?」
「そうだ。まぁ開けてくれよ」
「はいよ」

 そう言い、少し不安そうな顔をしたもののギルドへ入るための扉を開けてくれたので、その階段を降りる。

「段差少しあるけど気を付けろよ」
「うん!」

 と、好奇の目を向けてくる。
 秘密基地って言ったのが不味かったのかなぁ……。
 と、思いつつ下に降りていく。そして、すぐに受付のある部屋に到着する。
 昨日、司令があったりしせいか人も多く雰囲気も少しどんよりしていた。

「はい。ここだよ」
「す、凄い! 本当に秘密基地みたいだね」

 それとは正反対にサン・チュは最近までの重い感じが無くなっていた。
 少し騒ぐ俺達を気にするようにチラチラと見てくるが気軽にサン・チュと接しられているので別に気にしないし凄く嬉しい。
 そう思いながら妹を見守る兄のようにサン・チュを見つめる。
 そんな俺を呼びかける声がしてくる。

「……ん! 一さん! 一さん!」

 段々と声が大きくなっていく。
 その声は受付の方からしていた。声の出どころが分かった俺は急いで受け付けに向かう。
 すると厳しい顔をし来たそうそうに怒られる。

「関係者以外を連れてきちゃダメですよ……!」
「あ、すみません……そういう風に見えてもおかしくないですよね。説明したいんですけど……その、ここだと話しづらいというか何というか」
「何ですか?」

 と、今度は睨むようにグッと強い視線を向ける。

「まぁ大事な話なんで別室でお願いします!」

 説明の仕方も分からないし、どう言えばいいかも分からない俺は頭を下げた。

「大事な話なんですよね……ならいいですよ。内容によっては少しあれですけどね。まぁ活躍は知っていますし信じてますよ」

 そう言うと睨んでいた目を優しい目に戻した。

「ありがとうございます!」
「ではすぐに話をしましょうか。ここまでの話の内容的にあそこの女の子も関わってくるんですよね?」
「そうなりますね」
「分かりました。では、そこにいる女の子を連れて私の後をついてきてください」

 そう言われたので俺はサン・チュを呼び受付のお姉さんに付いていくと一つの部屋に案内された。
 部屋の中は本当に話をするためだけに作られた感じでエアコンが端に付いており、それ以外はパイプ椅子と丸い机が一つだけだ。
 ただし壁だけは防音設備のようなものがされていた。

「こちらでいいですよね。私がこのまま話を聞きますよ」
「分かりました」

 と、言い指し示されたパイプ椅子に俺とサン・チュは腰をかける。

「で……要件は何でしょうか?」
「それは……ですね――」

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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