異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

記憶

 彼は優しく笑いかけるように話をしてくれた。
 大まかにまとめるとこんな感じだ。

 1つ目1人目の女神様(俺にとってはサン・チュ)を見つけだし記憶が戻らないかを確認すること。
 2つ目はひたすら探し続けるながらも今まで通り守り続けること。
 なので肉地区からは多くの人が各地区に移動させられるらしい。

「結局、ろくな作戦も立てられないし不利なことには変わりないですよねー……」
「だな。とりあえず俺達は探し続けるしかないってことだからな」
「それよりこんな遅くに色々と教えてくださりありがとうございます!」
「いえいえ。また何処かで会えるといいな」
「ですね」

 そう言いながらハイタッチを交わし別れを告げた後、家に帰る。

 とりあえず俺だけは女神様が誰か分かっているんだ……。
 明日の朝にでも聞いてみないとな……。


 案の定、家に着くと夜遅く、疲れていることもありぐっすりと眠っていた。
 暗い家の階段で音を立てないようにと慎重に上り部屋に入ると、すぐ布団に入り目を閉じた。

 俺は夕方もぐっすり寝ていたせいか五時頃には目が覚めていた。

「ふぁあぁあ」

 俺は大きな欠伸をし、昨日帰ってから入れなかった湯船に体をつける。
 今日することは……サン・チュに話を聞いたり……か。
 と、考えながら体を洗い再び湯船に戻る。
 そして頬を軽く叩いて力を入れたところで風呂から上がり大きな部屋に向かう。

「おっ……おはような!」

 後ろから焼男さんの声が聞こえる。
 店のために早く起きているのだろうか。凄いな……。

「おはようございますー!」

 と、後ろを振り返り元気な挨拶をする。
 そして再び前を向き大きな部屋に入る。
 すると気持ち良さそうにエミリーが寝ていたがそんなことは気にしない。
 俺はこの部屋にある冷蔵庫から勝手に食材を取り出し朝飯を作る。
 順に野菜と肉を炒めていく。
 油が多少跳ねるような音と共に野菜の風味やごま油の匂いが部屋に漂う。
 そして、黄金色に焼けた野菜が更に食欲をそそる。

「完全ー!」
「こ、これは!? 私も食べていいんですか?」

 あれ? さっきまで寝ていたはずのエミリーが俺の両肩を揺らす。

「子供みたいだな。匂いにつられて起きるなんて……」

 と、多少煽りながら料理を盛り付ける。
 今日の朝飯は簡単に作った野菜炒めと白米だけだ。
 だが、その分野菜炒めは多めに作っているので確かにあげてもいいのだが。
 ただあげるだけではつまらないだろう。

「……!? 怒りますよ? 死ねばいいのに……」
「そっか。なら死人が作る飯はいらないな。うん」
「嘘です。冗談です! 食べさせてください」

 俺に服従するようなエミリーを見てニタニタと笑いながら飯を口に運ぶ。
 米が噛めば噛むほど甘くなり美味しい。何杯でも食べれそうだ。
 そんな俺を羨ましそうな目で見つめてくる。
 すると『ぎゅるるる』とお腹のなる音がする。それと同時に顔を真っ赤にし目線をそらす。
 そんなに腹が減っているなら自分で飯を盛ればいいのにとも思うのだが。俺は馬鹿にすることを止めない。

「今の可愛らしい音はなんだろうなー」
「し、知りませんよー? ……死ねばいいのに」
「それならこれはいらないよね! ふふっ」

 と、箸で掴んだ野菜炒めの肉と野菜をエミリーの方に向ける。

 すると……パクっ! と一口。
 俺の箸で掴んだ野菜炒めを食べてしまったのでした。

「あの……これ俺の箸なんですけど」
「知ってます……お腹が減りすぎて……その……死ねばいいのに」
「あの……今更こういうのも何ですけど食器、自分で用意すればよかったんじゃないですか?」
「……! お、お腹が減っていたから……その」

 と、ぶつくさ言いながらも食器を用意し一緒に飯を食べた。

『エミリーの箸で』

 と、そんな夫婦喧嘩みたいな事をした後に飯を食べていると階段を降りる音が聞こえてきた。
 恐らくサン・チュだろう。
 よし……話を聞くか。
 しばらくして部屋に入ってきたのはやはりサン・チュだった。

「お前も食べる??」

 と、気楽な感じで普通に話す。

「うーん……食べる!」

 そう答えたので食器を用意し前に並べる。「私の時は……」とぶつぶつ文句を言っているやつがいるが気にしない。
 その後、会話を弾ませ飯を食べ終わる。
 そこで俺は本題を切り出す。

「なぁサン・チュ……? 突然だけどさ記憶……戻ったりしないか?」
「それが……ね。私は回復の力を受け継いだって話はしたよね……だから記憶も戻ってきているの。そして1人だけ面談をした女王様の名前を思い出したよ……」
「……マジか。色々疲れてるかもなのにごめんな」
「それは『お菓子地区のチェコ女王様』だよ。
 髪は……ツインテールの茶髪。目は吊り目気味の黒色で白だったかな……の服に赤いタンクトップの女王様にしては馴染みやすい格好をしていたよ」

 ……俺の頭の中では〇コちゃんが浮かんだぞ。
 それにしてもお菓子地区か……楽しそうだな。
 後、防衛軍は女神様を探してるんだっけ……。サン・チュが嫌なら無理矢理連れていく気は無いからな。

「ありがとう。それと……防衛軍がな。お前……いや女神様を探してるんだけど会ってもらってもいいか、、?」
「それがこの国のためになるなら……うん! いいよ!」

 そう言うとはにかむように笑った。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く