異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

私『後編』

 痛い……と、いうよりも何だか懐かしさが出てきます。
 こんな事をどこかでされたような、されていないような分からないけど懐かしい。そんな不思議な感覚でした。
 私の各部分太ももやらふくらはぎやら色々な部分から血が滲んだり吹き出しているのに懐かしい。違和感がある。気持ち悪い。そんな感じでした。痛みを感じない時点で何かがおかしいのは分かっていましたが。

「あ? 何かあまり痛くなさそうだなぁ……!」

『痛み』この言葉が凄く懐かしく何かを思い出しかける。

 それが何なのかは全く分かりませんが――

 そんな事を考えていたせいで表情に隙が出来て読み取られてしまったのでしょう。

「痛さよりお前……何かを気にしてるだろ? もしかして奥で倒れてるお父さんか? お前が死んだ後にボコってやるから感謝しろよ」
「そ、それだけはやめてっ……!」
「いいね! いいねぇ! 弱々しい表情! さっきまでのは演技臭くて気持ち悪かったんだよ。こうなってくると苦しむ表情を見たくなるよなぁ!」

 と、お父さんの方へ1歩ずつゆっくりと向かいます。

「これを見るのが1番苦しいんだろ?」

 そう言うとお父さんの足に木の棒をぶち刺します。血が噴水のように吹き溢れもう少ししたら死んでしまうのではないでしょうか。
 嫌です。絶対に嫌です。

「うわぁぁぁ!!」などの悲鳴をあげていたお父さんも徐々に声はかすれていき小さくなります。
 弱っているのでしょうか。

「おっと……やり過ぎて死んでもらっちゃぁ。困るからなぁ!」

 と、また私の方へ近づいてきます。
 とりあえずお父さんが助かり少し安心していると先程とは桁違いの威力でぶち刺してきたのです。
 刺す。という表現より細胞を全て破壊する。の方が正しいのではないでしょうか。

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 さっきまで全然痛みを感じなかったのに急に痛みが走ります。それは全身をめぐるように。

「……ふはははは! 調子に乗って大人を舐めてるからだよ……!」

 と、激痛が走る部分に思いっきり蹴りを入れられます。

「や、やめろ……」

 お父さんが死にかけの体を起こし私のために相手を止めます。
 勝ち目はない。

 そう分かっているはずなのに――

「お前は用済みだから死ね」

 と、お父さんの方へ向かう足を這いつくばりながらも私は止めていました。
 私もお父さんと同じだったんでしょう。次の一撃を受ければ間違いなく死にます。
 それでも……! 助けたかったのです。

「しつこいねぇ……その歯向かうような表情は嫌いじゃねぇけど飽きた」

 と、木の棒のようなものを思いっきり上に振り上げます。
 恐らく数秒もしないうちにその木の棒は私にかざされてしまうのでしょう。
 ですが走馬灯のように様々な思い出が蘇ってくるのが不思議です。もう振りかざされていてもおかしくないのに何故か意識があります。
 焼肉店で色んな人と働いたりするのは楽しかったな。
 辛いことも苦しいこともたくさんあったけどそれ以上に楽しかった。
 ここでずっと暮らしていたい。そう思えた。
 そんな所に突然来た死にかけの犬みたいなやつ。一。最初は要らないと思っていたけど優しくてそれなのに不器用で馬鹿で。
 なんだかんだ言って最終的には『好き』になっていた。
 お父さんも大好きだった。本当の親じゃないことなんて知っていた。

 私には前の記憶が無いことも――

 それでも優しくいつも守ってくれた。

 私はここで生活して色んな人と出会い助けられ本当に楽しか……った。

『それがお前の本心か?』

 私の脳に直接語りかけるように何かが話しかけてくる。

「そう……だよ?」

『お前には忘れた記憶があるはずだ』

「知らな……いよ」

『ならここで死んでもいいんだな?』

「それは嫌だけど……」

『お前が死んだ後に好きな人が死んでもいいんだな?』

「嫌だ……よ」

『なら思い出せ。力を使え――』

「私のき……おく」

 その瞬間、脳にたくさんの情報が加えられるように頭が痛くなる。

 ……!

「全て……思い出した」

 私は以前女王様だった。
 そんな私が駄目なせいで起こったテロを大好きな人達のために終わらせた。
 そんな力がどこにあるのかって?
 私は野菜地区の管理者として母親から力を受け継いだ。

『神の力。守る力を』

 私は全てのものをあるべき姿に戻せる。力や体力が必要だけど。
 今までたくさん蓄えていたから大丈夫……。

 さすがに死体は無理だけど――

 これが分かるのは受け継いできた私だけ。
 出来るのも私しかいない。

『なら……するしかない!!』

 私の目に映る映像が再び動き始め相手が木の棒を私の心臓に振りかざしてきていた。
 それを私は浄化するように右手から波動のようなものを出す。
 すると相手の木の棒は弱体化したのか刺さっても何も起こらない。
 そして私は自分の体にも波動をかざす。
 すると、たちまち服も元通り。傷も完全に収まり何も無かったかのようになった。

「な、なんだ……!?」

 相手は驚き戸惑っていた。

「殺す気はありません……ただし倒れていてください」

 私は相手を気絶させた後にスキルを使い草でぐるぐる巻きにして縛り付け何も出来ないようにしておく。
 そして気絶していたお父さんも回復させ寝たままの状態で避難場所までワープさせる。
 私は空を飛ぶようにして移動する。何かを振りまいているのか通った部分は全ての建物がほぼ再生されるように治っていく。
 その分。私の体力も削られていったけど。

 この時。私はもう人間とは言えなかったのだろう。
 神々しく光り輝くオーラを放ち背中からは天使の羽のようなものも生えていた。
 それは既に『女神』とも言えたのだろう。
 そして私は最前線に到着する。

「……あ、あれは」

 私が相手の敵を一掃するように全て草で縛り付けると守ってくれていた人達が幻覚を見ているのではないかと目を何度もこすっていた。

 でもそんな事を気にしている場合ではないので他の部分へ向かう。
 そこでも力を振りまいたが怪我をしている人が多い。
 私はここ周辺に一気にオーラを放つように全力でフォロー吹き飛ばす。


「か、体が元に戻った……?」

 幼少期の姿に戻っていた俺は今までの姿に完全に戻っていた。
 何故かと思い一旦止まり周りを見渡すと……そこには翼を生やし力を振りまく『女神』のような人がいた。

 周りが騒いでると思っていたけどそういうことか……。

 戦況は1人の女神様。たった1人の女神様により変わっていくのが分かった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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