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雪見だいふく

残酷

 バイクを動かし始め数分すると荒地と敵の姿が見えてきた。
 昨日、来た時には活発に活動していた街並みはしーんとし、ほとんどの建物は半壊もしくは全壊していた。
 敵は何個かのグループになり一気に襲いかかっていた。
 見た感じ奥にもかすかに見えたりと100人は優に超えているんではないだろうか。
 だが、それに対抗するようにこちら側の防衛軍の姿も見えた。こちらもたくさんはいるが相手には明らかに劣っていた。なのでここまで攻められているのだろう。
 必死に抵抗しているがやはり人数が足りない。もしくは朝が早すぎて来るのに手間取っていると思われる。

「酷いですね……」
「余計なことを言ってないで早く行きましょう」

 そう言うとエミリーは走って加勢しにいった。それに続き俺も走って向かった。
 こちらの最前線の一部を守っていると思われる場所に行くと見慣れた顔があった。

「……ッッ! ひ、久しぶりだな……何故いるのかは分からぬが加勢を頼むっ……!」

 久しぶりに見る顔だった。その人は俺に世界を救う。みたいな目的をくれた光彦さんだった。
 そして、後ろから走ってきた俺達に対し、目の前にいた敵を片手剣でさばきながら話しかけてくる。
 彼は1人で戦っていたのだ。

「もちろんです! こちらには強い女性もいるの……ってあれっ??」


 何故かは分からないが彼女の姿が無い。
 俺が辺りを見渡すように左右上下を確認すると上にいた。
 それも跳ぶというよりは飛んだが正しいくらい上に。

「スキルっ! リーフホールド!」

 初めて見るスキルだな……。リーフターンでは無いんだな。
 と、何だ何だと気になりみているとそのスキルは壮大だった。
 俺の付近が暗くなる。
 敵は影に包まれていた。
 なんと……敵の上空に巨大トラックくらいの大きさのキャベツが飛んでいたのだ。
 そしてそれは勢いよく敵を潰す。
 中の様子は分からないがきっと凄いことになっているのだろう。

「スキル! みじん切り!」

 そして彼女は俺を何度も切ろうとした剣でキャベツを切り刻む。
 その中では血がドレッシングのように滲み大量の敵が人とは言えない形になっていた。
 とてもじゃないけどこんなのを豚カツとは添えたくない。俺は気持ち悪くなりすぐに目をそらした。
 そして空中から地中に戻り話しかける。

「ぼーっとしてないで戦ってください! ……私がほとんどの敵は倒したはずです。範囲に入りきらなかった敵をお願いします」

 そう言うと他の場所へさっさと去っていった。
『強い騎士を1人』とは言ってたけど強すぎだろ!
 そう思いながらも焦がし焼きマスターなどで地道に敵を焦がしていく。
 人を焦がしてるみたいで凄く嫌なんですか……。
 焦げていく姿はあまりに無残で見ないようにした。
 俺……本当に戦争してるんだ。戦うってやっぱり残酷で悲しいことだ……。
 吐きそうなのを我慢しつつも敵を倒していくがあっさりとその周辺にいた敵は倒してしまった。
 きっと雑魚中心のグループだったのだろう。

「……助かったぜ」
「いえ。1人でここを守ってたなんて……」
「仕方ないんだ……ここは今まであまり攻められなくて人数も減っていたからな……と、余談はここまでだ。早く他の所に行くぞ!」

 そう言われ俺も光彦さんに付いていく。
 すると、また近くにも攻め込んできている場所があった。

「次から次へと湧きやがって……雑魚が!」

 そういい剣を持ち突っ込んでいく光彦さんを俺は呼び止める。

「早くしないとなんだって……!」

 焦りからか言葉遣いが荒い。俺はそれを落ち着かせるように話しかける。

「どうせ雑魚しかいないんですよね。なら……任せてください! 俺のあっちで覚えてきたスキル!『おっぱおビーム』」

 すると目の前にいた敵はバタリバタリと倒れていった。

「……すげぇな」
「とんでもないです」
「あの一緒にいた女を含めてお前らがいたら百人力だ! 野菜地区で何を覚えてきたのかは聞かないでおくが凄いな……ははっ!」

 俺はこのスキルを駆使し雑魚を一気に一掃していく。そんな俺を止めるように敵が立ち塞がった。

「……我が部下を大量に殺したのはお前か」

 そこに立ち塞がったのは左目を眼帯で隠し、指だけ出ている手袋を付けた俺より少し背の低く髪の長い男だった。そして背中に付けた黒い翼。と、いっても鳥とかではなく悪魔が付けそうなものだ。
 こいつは恐らく中二病というやつだろう。そいつを見ていたらこっちが恥ずかしくなってきた!

「ふっふっふ。我が来たからにはお前らには死あるの……」
「『おっぱおビーム』」

 こういうのって相手のセリフを待ってあげるのがセオリーなのかもしれないけど俺はそんなことをしない。
 殺せる時に確実に殺す。格好は痛いけど強そうなやつは特にだ。
 俺がビームを打った辺りは煙に包まれていたがその霧を払うように男が出てくる。
 やっぱり生きてたか……。はぁ。

「先制攻撃とは小癪な……我の怒りに触れたな」
「対人は俺に任せろ。サポートを頼む」

 と、俺を守るように光彦さんが件を構え前に出る。

「まずはお前からだな」

 サポートをしながらもこいつが何の使い手か。まずはそれを見極める必要がありそうだ。

 ――俺達にはこんなやつに手間取っている暇はない……!

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
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