異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

ただいま!

 ガタッ
 船が物凄い勢いで揺れ俺は一気に目を覚ま……したはずなのだが何故か暗い。
 夢で寝てたのかな? 夢の中でも船に乗っていたのかな。そう思い俺は動かず、そのまま倒れている。
 すると再び上に揺れる。

 おっと……!

 俺はそこにあった何かに捕まる。柔らかくて気持ちがいい。その衝撃で更に下に落ちたがなお気持ちいい。
 なんなら一生このままでいいくらいだ。

「ふぅ……」

 と安心したように俺はその状態のままほっと一息吐く。

「ひゃっ……!」

 ……! こ、これは俺が今、掴んでいるのは……!? 俺が今、顔を埋めているのは!

「お・ひ・……ゲホッ」

 ――――――――
 ――――――
 ――――
 ――

 誰だよ。俺の頬をペチペチ叩いてくるやつは。
 気になるのでゆっくりと目を開く。
 ……顔近っ! 女騎士が俺の顔をじーっと見つめていた。
 俺は恥ずかしいので咄嗟に目を閉じる。
 頭が気持ちいいな……この感触はきっと膝だァ!
 すると俺の首に息が当たるような距離で話し始める。

「殺しますよ?」
「……あれは何かの手違いです!」

 恐怖のあまり目を開くことが出来ない。
 どんな顔をしているんだろう。とか、剣を俺の顔に向けているんだろうか。みたいなことを考えると尚更、目を開けなくなる。

「そのっ……割にはかなりっ刺激的っでしたよ……! 別に嬉しかったわけではないですけど……」

 何だ。ただの変態女騎士だったのか……女王様が大好きな百合だと思ってたのに。

『続きっ……しますか?』

 一瞬、頭が真っ白になったが俺は冷静に考える。
 あんだけ罵倒してきたような人が急にコロッと態度を変えるか?
 絶対に裏があるだろう。この発言を本当にしているんだとしたらあちらの世界にいた時のアニメキャラを含めて1番のチョロインだぞ。
 そうだ……こいつは女王様が大好きなはずだ。それなら必然的に姉も狙ってくる。
 そこで俺と恋人的立ち位置を見せつけサン・チュを華麗に自分のものにする。そんな所だろう。
 俺は一気に目を開く。

「しません!」

 彼女は嘘でしょ……童貞が? というような驚いた表情をした後にいつものムスッとした顔に戻す。

「……そ、そうですか。ゴリさん私の負けですねー」
「おっ。やはりそうきたか! 俺はこいつを信じていたぜ」
「……は?」
「いやぁ……一はしてくれると言った女性に対し本能のままに襲うのかなーって賭けをしてたんだよ」

 無駄に悩んだ俺の苦労を返せ!
 まぁこんな賭け1つで揉んだこととか諸々忘れてくれるなら最高だけどな。
 俺はそう思い船から降りた。



「こっちですー!」

 俺はこちらの世界での実家を案内する。見慣れた街並みをのんびりと歩く。その間に名前は聞けなかったがこの女騎士とも少しは仲良くなれたのではないだろうか。
 そして遂に到着する。

「ここでいいんですか?」
「もちろん」

 俺は扉を開く。時間的にまだ営業しているのではないだろうか。

 ガラガラガラ

「いらっしゃ……って一君!?」

 山崎が受付をしていた。

「よっ! 久しぶりー」
「あなたという人は……女王様では飽き足らずたくさんの女性を……!」

 と、後ろからぶつくさ言ってくる。

「久しぶりなのはいいんですけど……後ろの方は彼女さんか何か……!? もしかして帰ってきたってことは結婚でもするんですか!?」
「殺します。殺します。殺します」

 後ろから囁くように耳元で連呼してくる。

「いや、今のは俺じゃないだろ!?」
「や、やっぱり仲良いんですね……! サン・チュさんとか、そのいろいろ呼んできまーす!」

 と、早足で店の奥に去っていった。

「何だか騒がしい店ですね……私とあなたは恋人で結婚するんですか? 生理的に受け付けないんですが」
「別、正直に話せばいいだろうが! おいおい何だ? 本当は俺と結婚したいのか? え? このクソビッチが!」

 生理的に受け付けないとか傷付くようなこと言いやがって!

「殺しますよ? 少し仲が良くなったと勘違いして調子に乗らないでください」

 と、剣を構える。

「店の中だからとりあえず落ち着こう。な?」

 彼女が剣をしまうのとほぼ同時に後ろからズカズカと足音が聞こえる。

「「一、結婚するの!?」」

 奥からサン・チュと焼男さんが来て、そう叫んだ。

「いや違……」
「そうなんですー」

 彼女はサン・チュの顔を見た瞬間にチャンスと伺ったのか俺の右腕に抱きついてきた。
 まだ名前も知らないんだが……それは一体どうしろと?

「ほ、本当だったんだ……」

 サン・チュは少し悲しそうな顔をした。
 おい! 俺は泣かせたくないんですけど困るんですけど!!

「まぁとりあえず焼肉でもゆっくり食べてから話そうぜ」

 そう言うと焼男さんは俺達2人を歓迎してくれるかのように『後1時間でーす!』と叫んだ。
 俺は女騎士に部屋を案内した後に店を手伝うことにした。

 そして俺は着慣れた制服に着替え「よろしくお願いします! そしてただいま!」と店内に響く下手したら迷惑くらいの声をあげた。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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