異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

女王様『中編』

 俺と鈴菜が歓談を初めて丁度1時間くらい経っただろうか。
 遊具で酔いながらも遊んでいた3人は疲れと目眩かぐっすり眠っていた。
 そんな時、チューリさんが呟くように「そろそろか」と、言うと俺達を呼び先程と同じような感じで扉の前に並んだ。もちろん呼んだり並んだりの間に酔っぱらいとの死闘があったがそこは省かせてもらう。

「女王様ー! 会いたい――」

 丁度、1時間くらい前に見た光景と同じような感じで話を進めていく。
 しばらくの無言が続いた後にスピーカーの方から声が聞こえてくる。

「ふにゃっ……?」

 それは可愛らしくどこかで聞いたことのあるような声だった。そして、とても馴染み深い声でもあった。

「会いたいと申されていた5人を連れてきました」

 さっきの眠そうな声とは打って変わって明るく元気な声が聞こえてきた。

「本当に! やったー! はっ……失礼しました!」

 これが本当に女王様なのか……? 威厳なんてものは一切感じられない、いかにも幼稚な雰囲気だった。それと同時に物凄い強キャラオーラも放っていたのだが。

「今から開けますね」

 そう言うと前の扉が横にスライドするように開く。

 ――そこに立っていたふわふわのパジャマを体にまとった美少女は『サン・チュ』だった。


「ふぇっ!?」

 俺は驚きのあまり自分でも信じられないくらいの裏返った声を出す。

「どうかしたんですか……?」

 だが、サン・チュは俺を知らない。もしくは知らないふりをしているかのような態度をとる。
 その場にいた全員が俺を不審がるような目で見てくる。
 そうか……陽葵さんもサン・チュにしっかり会ったことは無かったっけな。それか忘れてるのか。
 確かに、俺が知ってる限りサン・チュとしっかり接触したのは自分だけだ。
 サン・チュにもきっと事情があるのかな……本当はもっと喜びたい場面なのだが空気を合わせるように俺は初対面の人と話すような口調をする。

「失礼しました……知り合いに似ていたもので」
「そ、そうですか……」
「えっと……私から説明させて貰います。こちらはこの国の女王様である『サン・チェ』様です」


 ――サン・チェ……様?

 何で名前を変えているんだ。考えれば考える程に謎は深まっていくばかりだ。
 そもそもあいつが何故ここにいるんだ?

「よろしくねぇー!」
「よろしくぅ! サン・チェ!」
「コラ……! 辞めなよ……相手は女王様なんだから」

 と、初対面なのにも関わらず軽く付き合おうとする酔っぱらい。本当に何がしたいんだろう。

「……」
「女王……様?」

 彼女は俯き無言だった。
 もしかして怒ってらっしゃる? でもサン・チュはこんなやつだったか?
 すると彼女は涙を見せて爽快に笑い始めた。

「……グスン。いえ何もありません……よ? こんなに軽く付き合ってくれる方が久しぶりだったもので」

 するとチューリさんが真剣な顔で見つめて「今回は良かったが無礼のないように」と、忠告してきた。

「そんな必要はありませんよ? 久しぶりに気軽に話してくださる方がいて嬉しいですから」

 久しぶりっておかしくないか? 少なくとも俺があそこから出ていったとして多く見積もったとしても2ヶ月くらいのはずだ。

「そんはあなた達にお願いしたいことはですね……あの、その……」

 長い髪を恥ずかしがるように指で回すようにいじり始め内股になり顔を赤く染める。


「私と遊んで貰えませんか??」


 それは無邪気な子供が遊びたがっているのと同じような感覚にも取れた。

「私、その……忙しくて息抜きがしたいなって。もちろんサン島を救ってくださったお礼もしますよ」
「しょんなのいいに決まってるじゃん!」

 酔っぱらいはこういう時に役立つんだな。と思った。
 もちろん俺も遊ぶのは全然大歓迎なのだがサン・チュとの関係が気になってしょうがない。
 確かに生きてる内に2、3人……似たような顔の人がいるというのは聞いたことがある。だが、名前まで似ているのを偶然と捉えていいのだろうか。
 だいたい俺も初めてサン・チュに会った時にはおかしいと思っていた。
 1人だけ名前の感じが違うのだから。焼男さんって関係無いよなと……。

「早速だけど何かしたいことはあるかな……?」

 鈴菜が目線を合わせるようにしゃがみ話しかける。

「……! まずは鬼ごっこっていうのをしてみたいです!」

 だが、俺1人だけがこの場で楽しまず考えている。というのもおかしいと思った。だから俺もこの場を純粋に楽しむ事にした。
 小学生中学年くらいに戻った感覚でただただ遊びを楽しんだ。
 その後もだるまさんがころんだやばば抜きなど様々な遊びを楽しんだ。
 そして疲れた彼女は「本の読み聞かせをして欲しいです」と、言った。
 俺達は交代で本を読み聞かせることにした。
 そして最後に読み聞かせるのは俺になった。
 それまでの間、そこら辺にある本を読んでいると難しい経済の事が書いてあるのもたくさんあった。その、それぞれに付箋などが貼られてあった。
 この子……本当に偉いな。
 俺はこんな難しい本は読む気にもなれないのでこの世界の簡単そうな童話を読んでいると俺の番になった。
 向き合うような形で俺は椅子に座る。

「どの本を読んで欲しいですか?」
「これ……!」

 と、俺がさっきまで読んでいた童話を取り出した。

「よろしくね!」

 そう言うと俺に本を手渡した。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品