異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

幸せ

 俺達は船に乗り行きと同じ部屋に向かう。

「楽しかったねー! ところで……お腹減ってない?」

 確かに腹が減った。挨拶回りとかしてて昼は食べてないしな。

「確かにそうですね。ここから6時間食えないのは辛すぎます……」
「何か食べれるか聞いてみようよー!」

 と、いう訳でじゃんけんで聞きに行く人を決めて負けた俺はゴリさんのいる操縦席へ向かう。

「失礼しまーす」
「お? どうした」
「何か食べれるものありませんかね……」
「そう言うと思って用意しといたぞ! 調理室に道具とかも置いてあるから船の上で食っててくれ」
「何の食べ物なんですか?」
「それは見てからの楽しみだろ! 出来れば俺にもくれると嬉しいかな」

 俺は「わかりました」と、伝えて調理室に向かった。
 何だろう……と、思いながら調理室に入る。

「そういう事ねぇ……」

 そう思い、俺は笑顔で準備を進め早々に終わらせた。そして全員を呼びに行く。

「遅いよー!」
「すまん、すまん! だが飯はあったぞ。今日は俺が作ってやろう!」

 と、グッドポーズを作りニッコリ笑う。
 全員が船の上に集まる。

「あはは! 確かにこれは一君に任せるしかないね!」
「私は野菜を用意しますよー」
「なら、俺は魚を……」
「私は酒を……」

 なら俺の本気を見せてやろうじゃないか!

『俺の……いや、俺達の焼肉パーティだ!』

 この場なら俺のスキルは輝く。俺は次々にバイトで鍛えた知恵を使い美味しい焼き方をしていく。
 そして、焼きながらこんなことも思う。
 ……本来、焦がし焼きマスターは内蔵肉のハラミなどを綺麗に焼くスキルだ。攻撃スキルでも何でもない。
 そして、今は一向に使っていないカルビ名人。これもいつか応用出来ればいいのだが。カルビの焼き方で……何かねぇ。
 これとあのスキルはサン・チュが教えてくれたんだっけな。なんだかあまり時間が経っていないのに懐かしく感じる。
 ……今はこういう風にサンチュを巻くことだって出来るんだけどなっ……!
 そう頭で思いながらサンチュを肉に巻く。

「よしっ! カルビにはサンチュが合うので勝手に巻いちゃいましたけどいいですかね……?」

 本当はサン・チュの事を考えてたらノリで巻いちゃったんだけどな。今、どうしてるんだろう……普通に生活してるか!

「ん……まぁいいよ! 美味しいし」

 そう言うと微笑み幸せそうに肉を食べる皆を見てなんだか俺も幸せな気持ちになった。
 皆の分の肉も安定してきたので俺もサンチュを包み肉を食べる。

 シャキッ ジュワァ……

 口の中でサンチュがフレッシュな音をたてる。そして少し脂っぽいカルビをサンチュがいい感じに口の中で包容し見事なハーモーニーを醸し出す。

「いやー! 美味い!」

 その後も俺が自分で言うのも何だがかなり上手に肉を焼いていく。その時、ゴリさんが「食べたいなー」的なことを言っていたのを思い出す。
 よしっ! 俺なりに何か食べやすそうな物を作るか!

「あの……俺、少しゴリさんにお礼を含めた料理を作ってあげたいんで食べててください」
「ん、分かったー! 肉最高……へへ。本当にありがと!」

 俺は笑い返して調理室へ向かいながら何を作るか考える。
 んー……肉かぁ。凄く美味しい店で出してくれたまかない(俺にとっては夕食の時もあった)を作ってみるか!
 俺はまず準備を始める。
 使う材料は適当にあった豚バラと牛バラ肉、それに適当に持ってきた人参、キャベツ、玉ねぎ。それに卵。
 焼肉のタレとサラダ油も用意する。それと『鶏ガラスープ』を用意する。調理室なだけあって先ほど少し探したらあったので安心した。
 よしっ! 作るか!
 俺はまずフライパンに油を引き、肉を炒める。
 いやー! いい匂い! ただでさえ高級そうな肉を用意してくれているからこれだけでも美味しそうだ。これを作る前に食べてなかったら迷うことなくつまみ食いをしていただろう。
 それがいい感じに焼けてきたので皿に開ける。
 そのフライパンで火の通りやすい順に野菜を炒める。そろそろ全てに火が通ったかな……。そのタイミングで俺は肉を戻し鶏ガラスープを入れて混ぜる。
 煮立つまでの間、卵を溶かしておく。
 スープが煮立ってくる。それを少し味見をする。
 ……よしっ!
 最後に焼肉のタレを軽く入れて溶かしておいた卵で閉じる。
 後はこれを上から取ってきたホカホカのご飯の上に盛って……完成!
 肉のいい味に野菜と卵が絡んで美味しいんだよなぁ。
 そう思いながら俺は箸と一緒にゴリさんの元へ向かい部屋に入る。

「失礼しまーす! 作ってきましたよ……これ!」

 俺は誇らしげにそれを見せる。

「おおっ!! 凄い! ありがとな」
「いえいえー」

 そう言いながら微笑み食べるゴリさんを見て、また幸せな気持ちになる。

 ――やっぱり俺は人が笑顔で食べてるのが好きなんだな。

 これもそれもあそこで拾ってくれたサン・チュや焼男さんのおかげなんだな。

 そう思える1日だった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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