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雪見だいふく

神『前編』

「うわあ!」

 何だよ。魚が喋ってたからか土偶が喋ってても違和感無いな。

「よぉ。散々、馬鹿にして挙句の果てには燃やしてくれたなぁ……!」

 つまり、こいつはオクト様か?

「しょうがないだろ! あんなのが攻めてきたら守ろうとするわ!」
「「「「そうだ! そうだー!」」」」
「お前らの息の合い方は何なんだ……まったく」

 やれやれとぶつくさ言いながら腕を曲げる。

「いやいやいや! 土偶みたいなやつのくせに『冥府に送ってやる』とか、厨二病ですかぁ? お前の方が何なんだよ! 土偶なら土偶らしくそこに立ってろよ!」
「ちっ。お前ら舐めた態度ばっかり取りやがって……俺の手に斯かれば一瞬だぞ?」

 そういえばさっきそんなこと抜かしてたなー。
 なら、俺じゃあ倒せないかな。うん。倒そう!
 俺は突然、胸を強調するような動きをする。

「おっぱおビーム!! ふぅ。終わったか」

 俺は勝ちを確信し、額を拭う。

「よし! いくか!」
「今日のご飯は何だろうねー」
「楽しみですね。今夜は何が出るのでしょうか」

 今日の夕食の話をしていると鈴菜が俺の肩をトントン叩いてくる。

「ちょ……やめ、痛い、痛い。てか、だんだん強くするな!」
「ねぇ……なんで、倒したとして、ここに土偶の破損された物が残ってないの?」
「それは……あれ、仕様だよ。ゲームなボスキャラ的な?」
「それにしては弱かったけどね!」
「陽葵さん。流石にそれは言い過ぎでしょー!」

 と、俺達が笑い合っていると金縛りのように体が突然動かなくなった。周りの4人も同じような反応を示していた。

『地獄の底まで……って言っただろ?』

 脳に直接、話しかけられるように声がする。同時に頭もズキズキする。

『うるさい!』

 翼の声が聞こえる。つまり、この中では会話が出来るってことか……?

『おい。聞こえるか?』
『聞こえます』

 4人の声がそれぞれ聞こえる。
 その場を仕切るように土偶の声がする。

『お前らの命は俺にかかっている。いひひひひ。冥府送りにされたく無いなら俺の質問に答えるんだな』
『質問って……そもそもお前が何なのか話せよ』
『おっと……そんな態度で良いのかな? 足から順に切り離していくぞ?』
『すみませんでした』

 こいつの言っている事は恐らく本当だ。実際に金縛りにだって合っている。
 下手したらこのまま殺されてもおかしくない。

『じゃあ、まずご希望通りに自己紹介からしてやるよ。聞きたいか?』
『聞かせてください。お願いします』
『そうか。そうか。なら、してやるよ。俺は魔法と冥界の神のカナロア様だ。そして、海の神。海神でもある』

 こいつは何を言っているんだ。他の4人も恐らく、そう思っただろう。

『神様だってー』
『凄いなー』

 訂正する。天然の陽葵さんと翼を除く2人もだ。
 間に受けてどうするんだよ。

『で! 本題に入るんだけどー。1週間前にこの海を荒らしたやつ。誰? 海神として許せないんだけど。他の魚で息を引き取ったやつとかもいてさー。非常に困ってるんだけど。何か知らない?』
『……』

 1週間前……1週間前。確か、俺はゴリさんに連れられて特訓をしに行ったんだっけな。いや、それは6日前か。
 ってことは……俺は気絶したんだよな。
 あれ、なんで気絶したんだっけ――あ。

『知りません』

 俺は気の抜けたような声でそう言う。

『そうそう。私も知らないなー』

 他の4人も誤魔化すようにそう続ける。

『何だか浮かない声だね。怪しいから嘘を発見できる魔法でも自分にかけてみるよー。その方が君達のためにもなるでしょ?』

 全然。なりません。魔法の使い手の癖に冥府の神とかチートですか? あなたは。そういうやつが主人公をしてればいいと思うんですよ。
 海神が周りの魚と楽しく人間を潰しながらも過ごすお話。
 普通にいいと思いますよ?
 俺達は死ぬと思うので次回作にご期待下さい!

『そうか。そうか。君達は嘘を付いてるね』
『はい。すみません』

 俺達は嘘をついても仕方ないので言葉を濁らせながら最後まで経緯を話した。

『君達……人間はまたそうやって。残念だ。死ね』
『そんな、暴言キッズみたいな事、言わないでくださいよ。神なら許してくださいよ……』
『暴言キッズ? 良くわからないけど馬鹿にされている気分だ。君達、独断の理由で魚は何匹死んだと思うんだい? 100を優に超える。少しはその事を分かっているのかな?』
『……』

 そんな事を言ったら生きていけないじゃん! でも、確かにあちらの言い分にも納得はいくんだよな……。

『まぁ、君達は海神の逆鱗に触れた。死ね』
『辞めてくれ!』

 俺達は泣き言を言う。
 こんな所で人生終わりたくねぇよ! もう、2回目なんだぞ?

『ごめん。もう、遅い』

 うっ……金縛りの中に首だけ締め付けられている感覚がある。
 だんだん、意識が遠き力も抜けていく。


 ――死にた……く、、ねぇ……よ。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身)

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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