異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

フラグ

「あーもー! このタコめちゃくちゃ硬いなぁ!」
「私のスキルも全然です……」

 見た感じもう少しで学が周辺に酒を撒く作業が終わるだろう。
 私は場所を変えてみたりして何度も何度も殴り続ける。

「タコぉ! 痛タタタコね! 怒っタコ!」

 どうやら急所か何かに入ったようで動きを止めている。スキルもすぐに使えないくらい痛がっているのだろうか。
 私はその急所部分を何度も殴る。

「痛いタコ! い……」

 喋れなくなるほど痛がっているようだ。
 すると、遠くから声がした。

「準備が出来ましたよー!」

 痛がってこのまま停止しているなら……!

「一君! とりあえずこっちに猛ダッシュで来て! そこら辺の雑魚は翼に任せさー!」






 何だ何だ? 俺を呼んでどうしたんだ? でも、確かにオクト様が停止しているような……もしかして何かをしたのか!?

「翼! ってことで任せた! 呼ばれてるからしょうがないよなぁ……じゃ!」
「ちょ! また、俺だけかよー!」

 俺は全力で走り、翼が止めていることもあるのか魚人を全て撒き陽葵さんのいる元へ着く。

「はぁはぁ……陽葵さん。何か攻略法を!?」
「はぁはぁ……疲れたなぁ。私が今、こいつを殴り続けて動きを止めているからそこに火を付けてさっさと炎上させて」

 ……さっき、俺のせいで失敗したやつか。今回こそ情けとか舐めプはいらない!

『スキル! 焦がし焼きマスター!!』

 学の付けた酒に着火しオクト様の周りが一気に燃え上がる。歴史の教科書でみた焼畑のようだ。
 ふぅ。これで……焼きタコになったかな。たこ焼きにならないから残念だけどこれはこれでいっか。
 オクト様は苦しそうに最後を告げるように嘆く。
 無駄にも関わらず、それを助けるように沢山の魚が火に飛び込む。

「……ぐおおおお! こんな所で死ぬタコか……?」
「そうだ。残念だったな!」
「最後まで人間というものは……力も出ないタコ。何も出来そうにないタコね……負けを認めるタコ……」
「やったの!……!?」
「そうだよ! 陽葵、私達の勝ちだよー!」

 2人は抱き合って喜ぶ。
 少し遠くにいる翼も歓喜の声を上げる。
 走ってこっちまで戻ってきた学もいつものクールな感じとは一変して喜ぶ。

「やりましたね!」
「そうだな!」

 俺も普通に喜んでいた。手を上げて勝ち誇るように。
 他の魚人達はビビって逃げるか、「オクト様と一緒に!」という形で焦げていった。
 ふぅ。わざわざ飛び込まなくてもいいのにな……あのサメは忠義が強いように見え……って、逃げてるじゃねぇか!

「俺達が軍を作りまた来るからな!」

 サメ達はそう言い残すと走ってその場から去っていった。走るといっても海に飛び込んだんだけどね。
 なんだか、厳つい雰囲気が終わりダラっとしてると燃え盛る炎の中から声がしてきた。

『――その程度で死ぬとでも……?』
「おい。誰だか知らないけど下らない冗談なら今すぐやめろよ」
「「「「違うわ!」」」」

 えっ……? 確かに、「やったの!」とか、「やりましたね!」みたいな生存フラグを立てたかもしれない。……けどさ、こんな中で何で生きてるの? もう、それはタコじゃないじゃん。タコの形をした別の生き物だろ!

「はぁ」
「逃げ……よっか」

 賛成だ。こんな奴に勝てるわけがない。俺達がこの島を開け渡そうと関係ないよな……? 別にいいよな?
 他の人達は逃げてるんだし。ていうか、今思ったけど戦ってるの俺達だけじゃん。
 皆、諦めてるんだし俺らも逃げよう。英雄になんてなる必要ない。
 なんてったって俺は『最弱』なんだから!
 こういう時の最弱は便利でいいなー!

「皆、逃げよう! こんなのに勝てるわけないじゃん! 俺達の仕事じゃねぇよ! ホテルもしょうがない! 他の人達も諦めてるんだし。許されるに決まってるだろ!」

 嫌がる、翼と学を陽葵さんに引っ張ってもらい全力で逃げる。
 と、いってもホテルの方は一応辞めて、闘技場の他の人も沢山いそうな所へ向かう。

「逃がすと思ってるのか? 地獄の底まで追いかけてやるよ」

 あれ? このタコ。こんな強キャラ感を出すような喋り方だっけ? ていうか、馬鹿らしい語尾は?
 俺は遠くに離れているかを確認するために後ろを振り向く。
 それを見た瞬間に俺は立ち止まった。

「あれを見ろ!」

 タコは炎の中にはいなかった。
 あれ? つまり、偉そうに脅かしてきただけで死んでるってこと?
 なーんだ。

「なんか、分からないですけどもういないので大丈夫ですね」

 俺達は火を消すために元の場所に戻る。
 すると、後ろの方から声が聞こえた。

「地獄の底って言っただろ?」
「あ、あれ……」

 後ろを振り返るとそこには土偶の様なものが立っていた。

「死の世界に送ってやるよ……ふふふふふ」

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身)

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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