異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

チームワーク

 鈴菜の手前で葉が燃え散る。
 その地面に落ちた葉をオクト様は嫌がるように腕が避ける。
 火が苦手なのか……? でも、単純な攻撃だとダメだし。

「わぉ! ありがと! 危なかったよー」
「私の出番ですかね……『ワインシャワー』」

 ワインの滝がオクト様の頭上に降り注ぐ。

「タコタコタコ! 気持ちがいいタコー! この程度で酔うなんて思わないで欲しいタコ」

 と、腕を思いっきり後ろに引き学に殴りかかる。
 俺は守るように焦がし焼きマスターを使用する。
 タコの腕は急停止ししてそのまま戻っていった。

「どうせ死ぬのにウザいタコね!」
「死ぬとしても抵抗するのが普通だろ」
「それすらも仲間は許されず死んでいっタコけどね!」

 怒り俺に殴りかかる。
 俺はもう1度焦がし焼きマスターを狙って打つ。

「タコォ! 熱いタコね!」

 ダメージ的には入っていないのだろうが動きは完全に停止していた。
 この程度の火力ではダメってことか……なら! このメンバーで何が出来るというんだ。
 俺はタコの動きを止めながら考える。

 鈴菜さんの力。
 だが、この相手では活かしきれない。
 しかも、傷付いてる陽葵さんをそこまで動かすわけにも行かない。

 鈴菜の力。
 せいぜい草を上手く巻き付かせて俺と一緒に動きを止める程度だろう。

「止めてるのはいいけどどうするの?」
「今、考えてる鈴菜は待っててくれ……」
「わ、私も考えてみるよ!」

 と、鈴菜は俺をじっと見つめた。
 皆のためにも何かないのか!
 最後は……学の力。
 酒……か。そうだ! アルコール!
 よく、料理人がフライパンの中に酒を入れて高火力にしているじゃないか。
 直接ダメなら周りを囲む……フライパンのやつを応用して……鈴菜が一旦、動きを止めてくれればいける! この作戦なら完全にいける!
 タコを中央の料理と考えて周りを酒で囲むようにして火を起こせばいいんだ!

「良い作戦を思いつきました!」

 俺はオクト様には聞こえないよう全員に話す。

「まず、鈴菜がタコの動きを止める」
「うん! 分かった!」
「その、動きが止まった場所を中心点として円を描くようにアルコール濃度の高い酒を降らせます。その時の円はオクト様に当たらず近い位置で頼む」
「分かりました」
「で! まぁ、最後は俺の番ってわけ。その円を一気に燃やす! それだけだ!」
「あのー……私の出番は?」
「オクト様をお、押さえつけるとか? その辺のことをしててください」
「……分かった!」
「じゃあ、作戦開始!」

 俺は火を尚も放ち続ける。オクト様の動きが止まっている間に腕を1本、1本、薩摩芋のつるのようなもので縛り上げていく。
 残す腕は2本となった。

「おっけー! 大体の位置は決まったよ! 学、お願い! 一君はスキルをもう辞めてもいいよ!」
「ふぅ」

 後は学の作った円に火をつけるだけだ! 順調に行き過ぎて怖いくらいだな。

「『ブランデーシャワー!』とても、濃度の高い酒を周囲に撒きました。後は任せましたよ」
「離せタコ! こんな所で死にタコないタコ!」
「それは無理だなぁ。話だけならしてやってもいいぞ? この素晴らしい作戦を1から聞きたいか? え?」
「頼む……タコ」

 俺は得意気にこの完璧な作戦を語り出す。

「――で! お前を何にして食べ……痛っ!」

 目にすみを飛ばされる。視界がなかなか安定せず痺れるような感覚がある。

「痛いー! スキルの効果弱まってきたかも! 早くしてー!」

 他の3人も喚き始める。どうやら、全員すみを顔面にかけられたようだ。
 だんだんとすみは充満するように空気中に広がっていく。
 やばい……見えない。でも、早くスキルを使わなくちゃ! 俺はここだ! と、思ったところに火を飛ばす。
 火の弾ける音がする。
 どうやら無事に倒せたようだ。危なかったー!

「ねぇ! よく、分からないけど私のスキルのつるが燃えてる気がする!」

 俺はつるを燃やしていたみたいだ……じゃなくて! やばい。これで負けたら責任が……うわぁあ!!
 オクト様が叫ぶ。

「海の怒りを知らしめるのだ!」
「オクト様! 今、このつるを切ります!」

 前からつるの切れるような音がする。
 何が攻めてきているんだ……?

「とっ、とりあえず後方に下がるぞ!」

 俺は走って後ろに下がる。すると、何かにぶつかる。俺はそれが何かを確認するため叩くように何回も触る。
 こ、これは……多分壁だ。
 どうやら、ホテルまで攻められてしまったようだ。

「ホテルだけは辞めろって言ってんだろぉぉぉぉ!」

 遠くから叫び声がする。
 すみが晴れるかのように周りが明るくなる。
 オクト様を中心にその周りには100匹もの魚人がいた。サメだけではない。ウツボが元のような形。サンマが元のような形。姿、形も十人十色だった。

「はぁはぁ。俺を置いていったってのになんだよ、このザマは! 後で魚奢ってもらうからな!」

 魚を奢るというセリフに過激に反応するように大軍が翼の方を向く。
 なんだか、こいつらのしたいことがわかったような気かした。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身)

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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