異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

 俺達は海を楽しむ。なんだか楽しみ方が違ったけど。

 俺達は最初、泳ぐことにした。

「向こう岸まで行ってこっちまで戻ってきたやつが勝ちな」
「んー? あそこ? 近くない?」

 近くない? って……100メートルはあるぞ。俺自身水泳を習っていたので泳ぐ事は出来るけど距離がある。しかも、外と中の施設じゃあ全然違うだろ。

「近いって……海を舐めちゃいけませんよ? 俺、夏休み中に溺れ死ぬとか嫌なんですけど……」
「安心しなよ。ライフセーバーの人もいるし」
「鈴菜……他人に迷惑をかけるな!」
「もしかして、泳げないのかなーぷぷっ」
「違うわ! お前らの事を思ってなんだけど……なら、いいよ。泳ぐか。危なくなったらすぐ辞めろよ」
「危なくなるって……何? まぁいいか。よーいドン!」

 全員が一斉にスタートする……?
 学と鈴菜は何かを用意し始めた。
 どこかで見たことがあるものを作っていた。そんな2人をぼーっと眺めてスタートをしようと振り向くと隣にはまだスタートしていない陽葵さんと翼がいた。

 2人も何をしているのか気になって止まっているのかな……?
 2人は目を閉じ、一気に見開く。
 水泳アニメでよくあるような感じだ。
 すると、陽葵さんの足からは黄色のオーラ。翼の右手から腕にかけては赤いオーラが出ていた。
 陽葵さんと翼は一旦、後退し小ジャンプをしダッシュをかける。
 すると、翼の右手から大きなサーフボードのような物が出てきた。
 翼はそれに乗ると後ろに付いているターボのような物から一気に火と煙が出る。

 ザブーン

 波飛沫を上げ猛スピードで前に進む。
 あー。泳いでないけど何でもありですもんね。
 この状況に慣れてしまった俺は既に異常なのだろう。
 陽葵さんの方を見てみる。
 海が近いのに何故そのまま何も出さずに走っているんだ?

 ザッザッザッ


 すいすい泳ぐアメンボのように水面を走っていた。すいすいといっても水飛沫が立つボートのような速さだ。それなのに水飛沫は全く立っていない。
 もはや人間技じゃないな……足が何かを纏っているたけどそういう事か。
 すぐに俺はまともな2人だと信じて後ろを振り向き2人を確認する。

「……はぁ」

 やっぱりそれか。最初の時点で大体は分かっていたんだけどな。

「出来たー!」
「……早いですね」

 2人とも何を作っているのかが分かったので『俺は』泳ぎ始める。
 1人寂しく海に入り、下半身がほとんど水に潜った時に
陽葵さんがほとんど波飛沫をたてずに帰ってきた。

「危ないっ!」

 このままいくとあの早い速度で俺に直撃する。
 ……気絶して溺れていたら助けてくれるよな。
 陽葵さんはそのまま俺の頭上を跳び越え砂浜まで辿り着いた。

「到着ー! 1番!」

 と、こちらを振り向きグッドポーズをする。
 1番じゃないよ……。ていうか、当たり前だ!
 その後も嫌々俺は進む。
 翼の乗っていたサーフボードはそのまま前に進んでいた。
 100メートルは超えていそうだが……。
 何かを叫んでいるのは分かるが声までは届かない。
 しばらく歩き肩が水面に潜りそろそろ泳ぐか。と思っていると後ろから爆発するような音がした。
 ふぅ。ついに発射されたか。
 頭上に恐らく鈴菜の乗っているロケットが超えていった。
 おい、明らかに100メートルは超えてるぞ。
 このまま本気で泳げば意外と勝てるんじゃないか。
 俺は水泳を習っていた実力を示すようにスキルなどは使わず(使えないだけ)泳ぐ。
 おっ……波が弱いからか? すぐにスピードが乗ってくる。
 スピードが乗っていたので50m近くまですぐに到達した。
 よしっ! このま……
 前方からかなり大きい波がきた。押し寄せられる。こんな波に負けてたまるか!
 俺は全力で足を漕ぐ。
 ボキッ
 痛っ! 最近ダラダラしてたのに急に泳いでたら足が吊った……ゲホッ。
 顔が水に潜り始める。誰か助け……て。
 意識が遠のく。
 死ぬっ……やば……い……ゲホッ。


――――――
――――
――

「……きてっ! 大丈夫?」
「……? 神?」
「しっかりしろ!」

 肩を持たれその場に座るように起こされる。

「痛たっ! 痛たたた」

 あまりの痛さに俺は我を取り戻す。どこか折れてなくてもかなり打撲してる気が……する。
 とりあえず痛さを我慢して冷静に場所を判断する。ここは海だ。溺れた時にに誰かが助けてくれたんだろう。
 でも、かなりの距離があるから凄いなんて問題じゃないよな。

「ぐす……良か、良かったよー」
「ぐはっ」

 俺の胸に鈴菜が飛んできた。普段なら嬉しいがめちゃくちゃ痛いのでやめてほしい。

「ごめんね……私がっ」

 その後、翼と学に肩を貸してもらいながら治療室で腫れが引くような薬を塗ってもらい部屋に戻った後に話を聞いた。
 俺はかなりの間、眠りについていたらしい。
 俺が溺れてすぐに学が助けてくれたそうだ。方法としてはロケットに乗り俺の近くに落ち、水力で上げられロケットに思いっきりぶつかった俺をキャッチしたそうだ。……って、あれ? 打撲したのこれのせいじゃない? 鏡で見たところ俺の背中は目立つような青ざめた色で腫れていた。
 まぁ、命の恩人だし感謝すべきだろう。

「そっか……まぁ、助けてくれてありがとな」
「いえ。別に大丈夫ですよ」

 その後は他愛も無い話をし夕食を取った後に疲れていた俺達は睡眠をとった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能)

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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