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雪見だいふく

お泊まり会

 俺達は今お泊まり会をしている。

「最初は何する? まずはこれだよねー!」

 鈴奈は多分初めてなのかな。物凄くテンションが高いし。
 なんて、考えていると俺の顔面に枕が飛んできていた。

「痛っ! やったなー!」

 手が滑った。枕は鈴奈とは反対の方向に飛んでいく。テレビに向かって飛んでいく。

「危ないぞぉ。うおおおお」

 翼が結構ガチで叫んでいる。
 当たってしまった。テレビは机の上でグラグラ揺れている。
 頼む! 落ちないでくれ!
 テレビはなんとか持ちこたえた!

「危ないわ! 次当てたらぶっ殺す!」
「ごめんごめん。じゃあ別のことをしよう」
「べっ、別の事って何するの? まっ、まさか探偵を倒しに行くとか?」

 今日の陽葵さん挙動不信みたいにビクビク震えてて可愛いわぁ。
 そんな事はどうだっていいんだった。俺は布団と共に用意した棒と縦長の箱のような物を用意する。

「これだぜ!『王様ゲーム』」
「いいねぇ! 盛り上がるから俺は好きだぜ」
「やってみたかったのよー!」
「私も皆さんがやるならそれでいいですよ」
「わっ、私も楽しみ……」

 こうして俺達の王様ゲームが幕を開けた。
 序盤はデコピン、しっぺ、ハグなどが行われていたが段々とそれはエスカレートしているような気がした。

「おっ、俺か。2番が俺の耳を咥える」

 ふふっ。夜のノリに任せてしまった。こういうのもいいよね!

「……私ね」

 キタコレ! 男ならどうしようとか焦ってたけど陽葵さんとか当たりも当たり大当たりじゃないか!

「いいなー! お前、俺を置いていったよな!」
「それとこれとは別だ」

 その、陽葵さんは浮かない顔だった。
 単純に俺にそんな事したくない! だったらいいんだけど。もこのテンションの低さは異常だ。もしかして、的外れなことしちゃったかな……元気にしようと思って俺も夜のテンションを出していたんだけど。
 本当に探偵が怖くて……だとしたら俺は最低だ。
 ……この人ならあっさりしてきそうだ。よし! 俺が陽葵さんを安心させ、落ち着かせてあげよう。

「やっぱりいいです。今日も皆疲れてると思うし寝ませんか? 色々ありましたし」
「つまんねえなぁ! 怖気づいたか?」
「俺だってしてもらいたいけどさ……な? 今日は寝ようぜ。初目的は探偵が怖いから。だろ?」
「変態のあなたが大人しく寝ましょうだなんて意外ですね。私は全然いいですが。お泊まり会なんていつでも出来ますしね」
「いつでもしてくれるんだよね……? なら、私もいいよー!」
「俺は嫌だぜ!?」
「陽葵さんもそれでいいですよね?」
「ありが……うん。いいよ」
「で、お前は?」
「皆がそういうなら仕方ないな……」

 俺達は大人しく今日は寝ることにした。あまりうるさくして下の階とかから苦情がきても嫌だし。

「皆、布団に入ったので電気消しますね」

 俺は近くに置いておいたリモコンで電気を消す。

『おやすみなさーい』

 一時間くらい経ったのだろうか……周りからはスースーと寝息が聞こえるが、俺の目はギラギラと冴えてしまっている。

 ちくしょうッ!  自分から寝ようぜとか言ったのにこれじゃあ医者の不養生じゃないか!

 ーーはぁ。
 最近は徹夜ばっかりだったからかな。少しづつ生活リズムを整えていかないと。

 寝付きのいい体勢を探し寝転んでみる。

「ーーッッ!?」

 思はず大声を上げそうになってしまった!  
 目の前僅か数センチに鈴奈がいたからだ。
 ドギマギしながら硬直していると、鈴奈の濡れた目とばっちり合ってしまった。
 そのまま何も言い出せずじっとしているとーーあろうことか、鈴奈は俺に腕を絡ませ、ギュッと引き寄せた。

 それでそれで、俺の大して分厚くもない胸板には柔らかなソレが押し付けられていた……!!

 俺がオーバーヒートしていると、更に後ろから追撃が。
 それは陽葵さんだった。
 更に俺の背後から背中にしがみつくように抱きついてきた。
 豊かな胸が俺の背中に押し付けるように当たる。

「「一っ……」」

 瞬間、さっきまでの歓喜の感情は跡形もなく消え去り、後には薄紫色の感情が入り込んでいた。

「……ごめん、辛かったよな」

 俺はそっとだけ鈴奈を抱き締めると、その温かみで微睡みに呑まれていったーー

「……わぁ!」
「何だよ……翼うるさいな」
「だ、だ、だってお前ら……」

 陽葵さんと鈴奈の腕を優しく離し俺は布団の上から状況を確認する。
 俺に抱きついてた陽葵さんのパジャマははだけ俺の顔に近かった鈴奈の気持ちよさそうな寝顔も完全にアウトだったのだ。

「お前……刑務所行くか?」
「俺は何もしていない。単なる事故だろ……それより、学さんは?」
「俺も知らないんだよ。犯罪をしている奴がいるのにな」
「だから違っ……」

 ピンポーン

「誰だよ。こんな時間に……面倒臭いからお前出てくれよ。それで、誤解は見逃してやるから」
「おう。約束な」

 俺は支度も何もしていない寝ぼけた顔で玄関へ向かい扉を開ける。

「……何だよ。悪戯か、誰もいないじゃないか」
「ここにいるぞ! お前はどこに目をつけている」
「はぁ……」
「僕を見た瞬間ため息とは失礼だな!」
「帰ってくださいよ。こんな時間に迷惑です!」

 俺が時計を確認すると、まだ5時半近くだった。

「ぎゃ、逆にこんな時間にお前が何故男の部屋に……? 夜もいたけど……」
「そっ、それは!」
「すみません! また後で来ます!」

 俺は誤解を生んでしまった……最悪だ。ある意味これでもう来ないかもしれないけど。
 俺が部屋に戻ると陽葵さんも鈴奈も起きていた。
 俺は翼が余計な事を言わないように睨みつける。

「誰ー?」
「……なんか通販の人です。翼がエロいのを頼んでたっぽいっすね。また、別の時間に再送してもらうようにしましたけど」

 俺は陽葵さんに気を使うように適当な嘘をついておく。

「俺……そんなの頼んだか!?」

 それから、翼に長々と文句を言われたが俺はなんとか落ち着かせることに成功した。
 それから俺達は朝食等を済ませ陽葵さんと約束した通り鉄菜をする事にした。

「どうせなら皆で大会しません?」
「よっしゃ! いいな! 俺が本気を出したらお前らボコボコだぜ?」

 ……ふっ。舐めるな。俺が負けるはずが無い。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能)

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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