異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

幕開け

 ――翌日

 俺達は翼の裁判を見に行っていた。実際は『異議あり!』と、言いドヤ顔なんて無いよな。

『被告人。中岡 翼さんを無罪とする!』

 ……無事に無罪になったんだな。良かったぜ。で、これからはとりあえず安静に暮らさないとな。罪を押し付けられたらたまったもんじゃないしな。

 午後8時回るくらいに翼が部屋に帰ってきた。

「おっかえりー!」
「おかえりな! 翼!」
「お前ら置いていきやがって許さないからな。あと寿司」
「おかえりなさい。翼さん」

 俺達5人は翼の部屋の床に円を作るように座っていた。

「でも、これから真犯人を探す事情聴取みたいなのあるかもしれないんですよね?」
「そうなるんじゃないかなー。私達山にいたしね」

 もしかして俺の他に山を壊したのは『陽葵さん』って分かっていない?

「そ、そ、そ、そうだよね! 私達はなっ、何も知らないよねー!」
「陽葵さんにしては噛みまくりますね。具合でも悪いんですか?」
「そっ、そんな事ないよー」

 ……めちゃくちゃ怪しいのに何故気づかない。気づいてくれた方が口裏を合わせやすくていいんだけれど。

「あ、そういえば! さっき探偵のような方が来てしよ」
「そ、そうなの!?」
「陽葵さん本当に具合大丈夫ですか?」
「馬鹿力女が風邪引くわけないだろ」
「う、うるさい!」

「「「「陽葵さんが怒って頭を叩かない!?」」」」

「今日の陽葵さんは……」
「別人だ!」

 翼……爆弾発言が多すぎる。ところで探偵のような人が来たらどうなるんだろうな。

「それより翼さんが釈放されたのでまた何処かに行きませんか?」

 俺達は仕事でここに来ていた筈なんだけどやけに遊びまくりだな。そのうち本部の方からお前ら無駄な金使いすぎって来るんじゃないのか? お金を止められたり、この城から追い出されたりしたら俺ら詰むんだけど。

「嫌だ! 辞めろ! 軽く1杯行くだけで許すから」
「そうだなぁ……なら、野菜専門店でも行く?」

 鈴奈は馬鹿なのかな? そんな所行かなくてもここでは野菜料理しか出てこないじゃないか。

 トントン

「こ、こんな時間にだ、誰だろう……」
「探偵の人ですかね? 話を聞くなら明日の正午とかに来ればいいのに……」
「あ、じゃあ。俺が出てきますよ」

 陽葵さんを守れるのは恐らく俺しかいないからな。しかも、このビクビクしてる陽葵さんいつも以上に可愛いし。
 俺はトントントントンうるさい扉を開ける。
 扉を開けると幼児体型の眼鏡をかけた少年が立っていた。

「こんな時間に誰ですか?」
「えぇ!? ぼっ、僕を知らないだと」

 知らないよ。初対面だし。それにしてもこんな時間に子供1人は危ないな。部屋まで送ってあげよう。

「だめだよー。悪戯したら怖い鬼が夜中に君を襲って食べに来ちゃうよー。お兄ちゃんが付いていってあげるから部屋に戻ろうね?」
「うるさいぞ! 無礼者が! 僕はこういうものだ」

 そこにはクレヨンで書かれている名刺があった。
 名刺には、

『何でも解決!
 犯人キラーで有名な加藤かとう 真二しんじ

 と、書かれていた。
 何処かの名探偵さんかな?

「ふざけてないで早く帰った方がいいよ?」
「ふざけてはいない。翼? とかいう犯人はここにいるのか?」

 すると部屋の方から、

「俺の声が聞こえてきたぞー! 誰だァ?」
「どけ! とりあえず俺を入れろ」


 と、俺を押し退け部屋にズカズカと入っていく。

「ちっ。待てよ。ねぇ、君! 『時間』ってわかる? 夜なの眠いのそろっと出ていってくれないかなぁ? そこに入ってるのって立派な『不法侵入』だよね。呼ばれたくなかったら今夜は大人しく帰ってくれないかなぁ」

 と、俺は電話を手に構える。
 少年? は震えながら「覚えてろー!」といい泣きながら帰っていった。
 なんだあの出落ちキャラみたいなやつ。
 俺は部屋に戻る。

「あのー……私扉からチラッとその人が見えたんですけど探偵ってそいつです」
「えっ?」

 まぁ、不法侵入は事実だしいいんだけどね。

「たっ、探偵? 私達捕まるの?」
「捕まりはしませんね。何もしてないので」
「そっ、そうよねー! はははー!」
「なぁ、明日も探偵が押しかけてくるような気がしてならない……だからな、部屋広いここでお泊まり会的なことでもしないか?」

 翼にしては物凄くいい提案をするな女性をさらっと入れてくれる辺り物凄く良心的!
 だが、その心理を女性陣に悟られないようにクールぶって話すか。

「俺は翼の為なら別にいいけどな」
「男女混合とは如何わしいですね……」

 学さん。余計な事を言わないで下さい。

「陽葵は何されるか分からないし嫌……」
「そっ、それは名案ね! 探偵は危ないもんね!」
「ええっ!? 陽葵が言うなら私も……」
「よしっ! なら決まりだな。翼はベッドで寝るとして布団持ってきてもらうな」
「いや、俺も布団で」
「どうしてかなぁ? 探偵が怖いんだよなぁ。ベッドでいいよなぁ」
「そ、それは……! ちっ。別にいいわ!」

 決まった。これで俺が女性の隣になるのも近いな。
 俺は布団を頼むために電話をかける。
 その後、お泊まり会でする事を相談したりしていると布団が届いた。

「よし! とりあえず敷くか! 俺的にはお泊まり会だしどこで寝るかはじゃんけんがいいと思うんだよ」
「とりあえず指差しで決めようよ!」
「私もそれでいいですよ」
「「「「いっせーのーで!」」」」

 俺は確実に女子の隣になる真ん中2つの左側を選択する。
 他の人の手は……頼む!
 それぞれの手を見ると陽葵さんが1番左側、鈴奈が真ん中の右側、学さんが1番右だった。

「よし! 綺麗に決まったな。争いごとが無く何よりだ!」
「ちょっと待ったァ! お前らおかしいだろ! 探偵が怖いから皆でお泊まり会するんだろ? なら、こんなおかしい並びにする意味無いだろ! てか、俺も混ぜろ!」

 心の声漏れてますよ。確かに布団決めで男女混合になっている事自体おかしいとは思うがな。

「何を言っているんですか? 僕はこの布団に運命を感じたからこれにしたんです。逆に何を考えているんですか?」
「くっそ! もういいわ!」

 こうして俺は最高の睡眠スペースを手に入れた。

「まぁいい! 折角お泊まり会をするんだし今夜は遊ぶぞ!」
『おー!!』

 こうして俺達のお泊まり会は幕を開けた。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能)

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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