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雪見だいふく

攻城戦『後編3』

 俺はとりあえず時間を確認する。外が騒がしいのは無視しておこう。現在時刻午後10時。あっちの世界にいたから気づかなかったけど結構経ってる。暗いところの見すぎでそこら辺は全く気づかなかったんだけどね。俺はとりあえず午前5時を目処に起こしに来てもらうことにした。

「514号室です。午前5時に起こしに来てください」
「……すみません。失礼ながら起こしに行くことが出来ません」
「え? 何でですか……」

 もしかして、このだらけ過ぎた生活がバレた……?

「部屋の外を確認して貰うと早いかと……」

 ……? 俺はとりあえず確認したらかけ直すことを話し。扉に手をかける。

 ガチャ

『そこに広がっていたのは怒り狂う女性達だった』え……? 50人はいるだろうか。ナイフだとか武装してるんですが。

「出てきたよ!」
「やっつけろ!」
「うわぁ! 何ですか!」

 俺はすぐに扉を閉める。そして、急遽防犯システムを稼働する。軽い電気ショックを放つ装置。痺れが走る程度の毒針を放つ装置など。部屋に閉じこもるように付けた防犯システムがここまで活躍するとは正直思わなかったな。
 まぁ、これでとりあえず帰ってくれるだろう。そうしたら女性に気をつけながら明日は翼に関する情報収集をしよう。
 それより何故に女性達が怒り狂ってるんだ? 思い当たる点がな……あったわ。

『はあっ!? ふざけんなよ。雑魚が』

 この言動のせいだな。もう最悪だわ。しかも、あいつに勝ったし……部屋から出たくても出られない。明日もこんな感じなら『引きこもらせ』になるんだな。『引きこもり』じゃないからいいよね! まぁ、ある意味引きこもる人達は引きこもらせられてるとも言えるのかな。
 と、明日は早く探そうと思うし早く電話をかけてとりあえず寝るか。
 万が一の事を考え俺は電話で起こしに来てもらうように頼み睡眠を取った。

 プルルルルル

 電話がかかってきた。つまり起きろということだろう。凄く眠いが俺は電話に出る。

「5時になりました。眠そうですけど……本当に大丈夫でしたか?」
「ふぁあぁ。いえ、すみません。ありがとうございます。ついでみたいで本当に申し訳ないんですけど朝食もお願いします」
「少しだけ遅れるかもしれません……」
「は、はい?」

 遅れることだってあるよな。しょうがない。しょうがない。言い方が凄く怖いんだよなぁ。
 とりあえず俺は着替え等を済ませ時刻を確認する。シャワーを浴びたりした関係上、時刻は5時半を回っていた。
 ここのフロントの方々にしては朝食持ってくるのが遅いな……。

 トントントン

 窓を叩く音がする。確認するとウエイトレス姿の男がいた。
 俺は何事かと窓を開ける。

「お持ちいたしました。朝食です」
「な、何故に窓から!?」

 地味に顔があまり見えなくてホラーゲームみたいだから辞めてほしいんだが……サプライズ? か何かなのかな? エイプリルフールみたいな馬鹿なことしていい日なのかな?

「単刀直入に言いますと女性達があなたに怒り狂っていますよ」

 ……わお。サプライズだぁ。まだあいつらいるの!?

「ありがとうございます! 迷惑をかけました。すみません!」
「浮気か何かなら早めに記者会見をした方がいいですよ……」

 余計なお世話だし。そんな事じゃねぇよ!
『腹が減っては戦はできぬ』とあるし、俺は飯を食う。
 飯を食べ終わり時刻は6時42分。……とりあえず考えよう。今日は晴れているし土下座で眩しくしてそのまま逃走するか? いや……でも危険だしな。もしくは設置したビームで撃ち殺すか? それはもはや犯罪だしな。それを設置させてくれたこの城は犯罪予備軍なのかもしれないがな。
 作戦がまとまらねぇ……扉を開けてとりあえず話してみようかな。

 ガチャ

「出てきたぞー!」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

 ガツッ

 扉に女性の足が引っかって扉が閉まらない。防御システム稼働。マジックハンドの様なものが壁から出てきて女性を引き剥がし、それ以上の侵入を防いだ。

 ガチャ

 俺はなんとか扉を閉めた。

「ふぅ」

 怖い怖い怖い怖い。これはまるでホラーゲームじゃないか。暗かったら恐怖で死んでるわ。まぁ朝日があまり当たらず充分に暗いんだけど!

 トントン

 窓を叩く音がする。ウエイトレスさん……? 何の用だろ。
 窓から下を見ると女性達が梯子で上まで登ってきていた。俺はすかさずリーフターンで落ちた時に衝撃がそこまで走らないように下に落とす。なにこのホラーゲーム。俺が起きる時まで待ってくれる辺りも良心的だし。
 それからかなりの時間が経った。窓のところには防犯設備をしていないので落とすのが大変だったし、なんとか扉に辿り着く者を自らの手で更に追い返したりと、凄い作業ゲー見たいな事をしていた。女性達を追い返すために窓と玄関の行き来をかなり繰り返し疲れていた。
 このままだとやばいな……。
 動いてないし寝不足で辛すぎる……吐きそう。

「おえ」

 現在時刻午前8時。
 この城を守ってかなり経ったな。もう疲れた。翼を探しに行かなきゃいけないのに……。もう何なんだよ!

 ドンドンドンドン

 サイドの壁……? これは陽葵さんの部屋。陽葵さんまであの男のファンだったのかよ。
 本気でぶち破られて終わりだな。

 バキッバァンッ!

 物凄い音が城に響いた。予想通りその壁を壊し立っていたのは陽葵さんだった。

「早く! 私の腕に掴まって」

 俺は恐る恐る陽葵さんの腕に手を伸ばす。

「じゃあ行くよ!」

 俺のことを陽葵さんはお姫様抱っこの様に抱き抱える。
 陽葵さんは俺の部屋の窓から城の外に向かってジャンプをした。着地は完璧。俺の方への負担はゼロ。これじゃあ俺が攫われる姫みたいじゃないか……超恥ずかしいんだけど。
 そして、下にいた女性達は陽葵さんが頭の後ろを軽くトンッ。とすると、気絶した。あれだけじゃ、気絶なんてするはずないのに……。なんて事だ。もう色々と人間離れしすぎて驚きを隠せないんだけど……。
 腕に乗ってる本人も理由の分からない程の速さで城から気がつくと出ていた。
 城の廊下で色々な人にお姫様抱っこを見られたのが凄く恥ずかしかったんだけどね。
 こうして俺は自分の城を守ることは出来なかったが命を守ることは出来たみたいだ。

「陽葵さん。ありがとうございます! 翼の情報をさっさと集めましょう!」
「翼なら、もう何処にいるか分かったわ……付いてきて! 行くよ!」

 俺は言われるがままに陽葵さんに付いていくことにした。
 もちろん俺の走るペースに合わせてくれた。

「何処にいるんですか?」
「それはね――」

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

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