異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

交渉

 とりあえず、交渉の前にこの人が起きるまでは牢に入っておこう。
 俺は警備兵をなんとか引っ張って牢の外に出しておく。
 なんだか、他の人が『頭大丈夫?』と、言わんばかりに見てくる。まぁ、自分から逃走したのに戻ってきて警備兵を元いた場所まで頑張って引っ張っているんだからな。
  俺は、ガラ空きとなったもはや牢として機能していない牢へ戻った。横の部屋の男達は、そんな俺の姿をみてかニヤニヤと笑っている。

「あー、お前勿体ないな。せっかく逃げたんだからわざわざ戻らなくてもいいのに」
「いいんだよ。別に俺は何も悪いことをしてないんだから」
「いや、してんじゃん……俺らは見てたからな」
「いや、あの、それはな……」
「んー、俺ら全員の口を黙らせたいなら、俺ら以外のこの列の残り6人分の鍵、持ってこいよ」

 これは俺、詰みゲーになってないか?
 こんなの助けたら『重罪』とか、そういうレベルじゃすまないぞ。

「俺は断る。そんなことはしない」

 しっかり説明すればなんとかなるだろう。後は金を積……。ゴホン。今のはなかったことにして欲しい。

「そうだな。よぉし! 皆でこいつを罪人に陥れる作戦を考えよー!」
『おー!』

 お前ら6人息合いすぎか!

「おいおい。弱い者同士で落とし合いみたいな哀れなことはやめないか?」
「んー、そうね! 根の葉もない嘘をついて陥れてもいいんじゃない?例えばそうねー。警備兵のパンツを被って喜んでいた……とか!」
「人の話を聞け! ていうか、それは俺が色々と社会問題になるからやめろ。どんな、性癖の持ち主だ……全く」

 と、俺はやれやれと首を振る。

「なら、これはどうですかな。この、男は玉ねぎをたくさん食べたいから窃盗する為に脱走したと」

 あんたは超能力者か!?それ言われたら証拠がありすぎて本当に捕まるぞ?

「玉ねぎって……そんな事のために逃げ出すか!」
「んー」
「だから、お前らは人の話を聞け!」

『ツッコミ大変じゃない?』

「お前らのせいだ!」

 なんだよ。このプチコントみたいなのは、もう、一層の事この牢獄で『罪人ピーポー』みたいな演劇団作るか?
 なんだかんだで、プチコントもどきを1時間くらいしていると、警備兵が目を覚ました。

「ふぁな……ぴたっ! ぷぎゃさまぁはぁ……だべだ?なじぇとびらがぁはひらふぃている?ふぇいうか、とひらは?(鼻……痛っ! 貴様はぁ……誰だ?何故扉が開いている?ていうか、扉は?)」

 警備兵はどうやら山葵の威力が強すぎたようで記憶が見事に飛んでいた。あと、今のをなんとなくでも聞き取れた俺は『天才』だな。と、勝手に喜んでみる。

「とりあえず、その何者かがした山葵を取ってくるのはどうでしょう?」

 すると、警備兵は、

「逃げるなよ! 絶対に逃げるなよ」

 と、言い。通路を右に曲がっていった。
 それより、こいつらは何故本当の事を話さなかったんだろう。

「俺らは、一緒に話した仲じゃないか」
「あんたにはあの馬男をぶっ倒して欲しいからね」
「お前ら……ありがとう!」

 と、俺は感動する。
 場が場なので全然雰囲気はないんだけれど。しかも、こいつら全員、牢の鉄柱をガシャガシャやってるから雰囲気も何もうるさいだけだし。

――数10分後……

 俺が山葵を鼻に詰めた警備兵が帰ってきた。

「あの、大丈夫でしたか?脱走した奴がやっていったんですよ。勝手に扉は破壊されて濡衣を着せられるところだったんですよ?本当です」
「お前は、それでずっとこの牢に入っていた……と。そういう訳か?だがな、その脱走した男とはなんだ?」

 そこの記憶も消えてるんかい!

「あなたは脱走したやつを止めようとして山葵を鼻に詰められたんですよ。それで、記憶が少しばかり消えたのかと……」
「分かった。とりあえず、お前は俺に付いてこい」

 と、扉のある方とは反対側へ向かう。
 え?どこに連れていかれるの?
 1番奥に行き左側に曲がる。すると、扉があった。もしかして、尋問とかないよね。俺の色々な部分から汗が滝のように出てきていた。
 警備兵は扉を開く。
 そこにはエレベーターがあった。エレベーターあるのかよ! これで、たくさん走ったこと自体が無駄になった。

「お前変な顔してどうした?何かあったか?」
「いえ、何も」

 警備兵は5階のボタンを押す。
 何をするかは知らないが5階に連れていかれるようだ。

「5階。到着しました」

 少しだけ歩き。別棟のようなところに連れていかれた。
 その扉には『取調室』と、書かれていた。

「お前にはここで何があったか話してもらうからな」

 警備兵はそういうと、俺を椅子に座らせてその場から去っていった。

「それでは、お願いします」

 という、先程の警備兵の声と共に10円ハゲが特徴的なおっさんが入ってきた。

「それでは話をしましょう」

 口が臭い!

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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