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雪見だいふく

ライバル出現!?いや、俺じゃあ話にもならないや……

1
 チッチッチックルシューナイ
 いつの時代の人間だ!まぁ、いいや、壁が気になるけど、仕事に行こう。俺の神経は図太くなったと思う。なぜなら、もはや、壁が気にならないからだ。
 トントン
「おはよ!一!」
 サン・チュ毎回来てくれて嬉しいな。
「おはよ。サン・チュ」
 挨拶をし、俺は下に降り支度をしすぐに仕事に行く。
 ――5分後
「おっはよー!」
 陽葵さんと……紫樹もいるな。
「おはようございます。先輩」
 あれ、ここ何もなかったっけ。他の店があった気がするんだけど。
「えーっとね……見てわかるとおりほとんどの食べ物が消えたの」
 ……何が起きた!?
「何が起きた……って顔してるね。まぁ、簡単に説明するとテロだね。テロ」
 テロって!?
「テロって誰がしたんですか?」
 と、俺は冷静に聞いてみる。ていうか、頭の整理が追いつかない。だって、紫樹をこっち側に率いれたんだから。
「それが分からないのよ。赤髪で黒い眼帯を左目にしていて、波動を放つらしいわよ。特に常に食べているインスタントラーメンが伸びるとか」
 ラーメン伸びるって意味わかんねぇよ!ここで紫樹が何かを言おうと手を上げる。
「あ、あのそれたぶん僕の元『弟子』です……」
 弟子!?まぁ、あれだけ強ければいてもおかしくないけど、人付き合いとか一切して無さそうなのにな……
「僕が唯一弟子にした奴かと……しつこすぎて仕方なく……でも、そいつかなり強いですよ。」
 まぁ、とは言っても紫樹がいれば勝てるだろう。
「どんな技を使ってくるんだ……?」
 これだけは把握しておきたい。戦う際において大事なことだからだ。
「それは……なんといいますか、僕達のタイプではなく、その……一さんや陽葵さんと同じタイプだと思います」
 つまり、俺達と同じ食べ物を守る側の人間ということか……。
「そいつを説得することは可能だと思うか?」
 元々こっち側なら出来ればこちらに率いれたいしな。
「……無理だと思います。あの人相当人間を嫌ってましたし……まぁ、僕もあの頃はただ滅ぼしていたので、あの人は私に仕えようとしたんでしょうね……でも、あの人は私のスキルも取得しているはずです……かなりの時間一緒にいたので」
 ……あのスキルを取得するって凄いな。相当な強者か……?
「まぁ、そんなことよりそいつを倒しにいくわよー!」
 準備が大切なんじゃ……と思いつつも陽葵さんに引っ張られ敵地がいるところまで転送される。……っていうか、陽葵さん最強じゃね!?なに転送スキルって。この人主人公になれよ……
2
 そこで、転送された場所は焼肉屋の前だった。あれ、ここ親父さんの家近くね……親父さんの家はここから、500メートル近くにはあるだろう。
「あ、あのこれって、肉ほとんど支配されてませんか……残すのは焼肉とすき焼きって所じゃないですか……」
 そして、俺らが転送された所の後ろを振り返るとすぐ目の前で男が戦っていた。砂煙が上がりよく見えないが俺はすぐに誰かわかった。戦っていたのは親父さんだった。
「親父さん!大丈夫ですか!?肉はほとんど支配されちまった。不甲斐ないな。とりあえず、今1人で支配しにきやがったこの野郎をぶっ倒すから待ってろ」
 親父さんめちゃくちゃ強え。
「あれ、あなたの親父さん!?強すぎない!?」
 といいながら、陽葵さんは後ろから眼帯の男にスキルを放つ。
「こ、これ本当に1人でよかったわね。強いやつと一斉に攻めてられていたら終わってたわよ」
 確かに、あの親父さんですら割と押されているもんな……
 相手は大剣?(巨大大根)を振り回しそこから、レイザー(麺が混ざっている!?)のような波動を放っている。親父さんは強化系スキルで防御に専念し、陽葵さんが遠距離系のスキルで後ろから援護してるといった感じだ。
「ほら、一君に紫樹君くん!戦って!」
 ……紫樹ならまだしも、俺に出来ることなんてあるのか……考えろ……考えろ。相手のスキルこの、フィールドの地形……全方向大剣を振り回して弾かれるのなら……上か下か!
「なぁ紫樹。上から水をあいつにぶっかけてくれないか?俺は下から炎をあげる流石に上下両方からの攻撃は防げないんじゃないか……?」
 と、俺は1人では無理と判断し紫樹となら……と考えてみたのだ。
「は、はい!分かりました。じゃあ、まず僕がスキルを放ちます!スキル『水流』」
 大豪雨の日に傘がさせなくてかかるくらいの水量が相手を襲う。俺も負けてられないな……
 スキル
『焦がし焼きマスター』
 このスキルの特徴は最初の威力は普通の火傷くらいなのだが、対処を疎かにすると皮膚呼吸が出来なくなるほどに綺麗に焦げてしまうのだ。つまり、奴の体力を奪う作戦ということなのだ。
「ちっ。分が悪い。紫樹さんもなんだ?そいつといるせいか?レベルが落ちたな。必ず紫樹さんをお前らから取り返してやる。特にそこのなんもしてなかった奴。紫樹さんに何をして取り入れたのかは知らんがお前は絶対に殺す」
 と、言い男はスキルを使い去っていった。その後町を徘徊するとほとんどの店が壊されていた。他の場所でもそのような事が起きているそうだ。ちなみに、俺達は肉ゾーンを担当しているがその他の魚や野菜といった所も様々な食べ物が実際的に現実でなくなっているらしい。全てを復活させるには支配軍のリーダーを倒さなくてはいけないらしい。
「……また、食べ物が減っちゃったね。他のところ人達も頑張ってたから支配軍も減ってきてて、それで本気を出してきてるのかな」
 と、陽葵さんは重そうな声で言う。そして最後には
「和解できればいいのに」
 と。それに関しては同感だ。なぜなら、紫樹みたいに絶対に話が通じるやつはいると思うからだ。そして、俺はこの世界を救い。また、平穏な日々をこの世界で過ごすことを目標にまた、頑張ることにしたのだ。
3
 後日、緊急で敵の進軍をとりあえず引かせそうということになり、強者が各地に派遣された。俺も自分の力を評価され、野菜地区に派遣されることになった。それにより、とりあえずは紫樹とは別れるみたいだ。何故か陽葵さんとまた一緒だけど……上の人から言うところの
「君たち相性いいから!」
 みたいな、理由だそうだ。ちなみに、紫樹は眼帯男の討伐があるという理由でここに残るそうだ。俺は紫樹に挨拶をするために陽葵さんと挨拶をしに向かっていた。親父さんとサン・チュはこの挨拶回りの後だ。
「また、一君と一緒かーよろしくね!」
 なにこの、あんま嬉しくないな感。
「僕は嬉しいですよ?」
 正直な事実を話した。ペアが変わるとなにかと、面倒いし。
「んー。そうね、私も嬉しいかな」
 満面の笑みで返してくれたので嬉しかった。なんだかんだ言って話したことがない、地球で何をしていたか……みたいなたわいのない話をし盛り上がっていたところで紫樹がいるというギルドについた。
「へぇ。ギルドってやっぱり俺らがいたところだけではないんですね」
 と、言った当たり前なことを話し。本題に入った。
「紫樹ありがとな。俺達3人で生きて焼肉でも食べに行こうな!」
 陽葵さんも『うんうん』と言った感じで頷いている。
「よし!また会えるんだし、長い話はやめてまた会おうよ!」
 と、陽葵さんがこの悲しい雰囲気を和ませる。そして、紫樹が、
「ですね!また会いましょう!陽葵さんはもちろん、一さんには特に感謝してます!本当にありがとうございました!それじゃあ、またどこかで!」
 と、俺らは別れを済ませ。
「よし!じゃあ、私はとりあえずあしたの準備するから、一も準備とか?あるのかな?そのためにとりあえず別れようか。船乗り場に3時間後集合ね」
 と、いった感じてとりあえず別れる。俺も親父さんをはじめとした焼肉屋のみんなに挨拶に行こう。凄くお世話になったしな。
 俺は爽快にバイクを飛ばし……といっても運転はしてないがすぐに焼肉屋デザートダンシングに到着する。
 ガラガラガラ
 と、俺は焼肉屋のドアを開ける。すると、店番をしていた、サン・チュが
「どうしたのよ、一?今日はやけに早いわね。仕事が嫌になって逃げてきたの?」
 俺はサン・チュの顔を見ると若干の涙を浮かべ
「ありがとな」
 と、挨拶をした。サン・チュさんは若干引きながらというより、気持ち悪がりながら
「一?どうかしたの?なんかいつもと違って気持ち悪いんだけどー……」
 と、問いかけてきた。俺は
「もうここにはいられないんだ……」
 と、あのアニメのように泣きながら言った。
「ど、どうしたのよ」
 サン・チュは頭大丈夫?といった感じだった。俺は例の件を説明し、そこにいるお世話になった方に挨拶をした。
「親父さん。本当にお世話になりました。親父さんの優しさがなければそこら辺で行き倒れてもうこの世界にはいなかったと思います。あと、親父さんには絶対に言わなければならないことがあります。俺の部屋の壁半壊してます。山崎、お前からはスキルを教えてもらったかな。結局使わなかったけど……ありがと。田中さんとその他従業員の先輩さん。なにも結局教えてくれませんでしたね。まぁ、面白かったです。そして、サン・チュお前にはなんだかんだ言ってかなり世話になったな。まず、俺を拾ってくれたよな。あれがなきゃ死んでたわ。あと、色々店のことを教えてくれたのもお前だよな。なんだかんだ言って朝起こしてくれたり本当にありがとな」
 と、俺が言うと。サン・チュが泣きながら抱きついてきた。
「ば、馬鹿っ!あんたなんか知らないんだからねっ!絶対に戻ってきなさいよ……」
 と、泣きながら俺を何回も何回も優しく叩いてきた。そして、しばらくしサン・チュが離れると親父さんが
「お2人さん!いちゃいちゃしているところ悪いんだけど、家の壁半壊させたんやろ?それなら、責任とって敵を倒してから絶対に戻ってこいよな!」
 と、いい笑顔で俺の肩を押してくれた。俺はサン・チュに
「ありがとな」
 といい、頭を撫でこの場を離れた。
 そして、準備をし約束の時間になったので船乗り場に向かった。
「陽葵さん!じゃあ、そろそろ船に乗りましょうか」
 といい、俺は陽葵さんと船の前まできた。船はかなり大きく、乗ると仲間の人達が既にたくさん集まっていた。
「よし!じゃあ行くぞ!」
 という、掛け声と共に船は出発した。

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