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vs蟒蛇 再戦2



 水面まで浮上した私が見たものは、蟒蛇の毒の雨がヒロキ達に襲い掛かる瞬間だった。
 水の中に潜れば私は毒の雨を回避することが出来るが、それだとヒロキ達を見捨てることになってしまう。
 私は【《神獣降臨ヨルムンガルド》】によって使用可能となった【《海竜の蜷局》】を全員にかける。対象を中心として、蜷局を巻くようにして出来た半球状の水のバリアが私たちを包み込んだ。
 蟒蛇の攻撃は毒をそのまま上に吐き出して広範囲に散らしただけのようで、貫通力はほぼなかったようだ。水のバリアがみんなを毒の雨から守ることが出来たようだ。このまま維持していてもMPを消費していくだけなので、スキルを解除してみんなの前に顔を出す。

 「みんな大丈夫?」

 目の前に突然出現した水のバリアに戸惑っているヒロキ達は、私の姿に笑顔を見せる。
 みんなのそばに駆け寄っていきたいが、今はちょっと湖の中から出たくない。

 「おい、どうして上がってこないんだよ?」

 一向に湖から上がってこない私に疑問をもったヒロキが怪訝な顔を見せる。
 
 「えっと…それは…」

 理由が理由だけに口に出すのが恥ずかしくなってつい口ごもる。
 今の私の下半身は鱗のついた一本の足だ。これまでの獣人化は爪が鋭くなり、獣耳や尻尾などが生えて、一部に獣毛などが生えてきたりしただけで人型のままだったため動きに支障がなかった。
 だが、今回の獣人化は下半身が変化してこれまでと違う感覚に、水中の中では特に不自由はなかったが地上で戦うとなると今までと同じように上手く戦える気がしない。
 それに、一番の理由はこの下半身に何も装備がないことだ。獣人化を使用した途端、下半身の装備が全てなくなってしまったのだ。それに気づいて慌てて装備覧を確認したところ、一応装備中とはなっていた。不思議だ…。
 
 「と、言うわけですので、人前に出るのが恥ずかしいから嫌です」
 「いや、全然分からんし、何故敬語に」
 「とりあえず私は水の中から戦うのでみんなは地上でお願い!」
 「理由は分からんが了解だ」

 深く詮索しないでくれたヒロキに感謝しながら蟒蛇に向き直る。倒したはずだと思っていた私が現れたことに、蟒蛇はかなり警戒しているように見える。
 私に注意が向けられるのは、こっちにとっても重畳だ。何故なら――

 「キシャアアアアアアア!」
 
 木の上の辺りが一瞬キラリと光、それが蟒蛇に向かって一直線に飛翔する。グルグルと回転しながら飛んでいくレイの《ジャイロアロー》は、蟒蛇の残ったもう片方の目へと吸い込まれていった。直前に気づいた蟒蛇だったが、もう既に遅い。綺麗に蟒蛇の眼へと命中した《ジャイロアロー》だったが、蟒蛇が大きく体勢を動かしたせいで、脳まで矢が届くことはなく横へと抜けていった。

 「よし、ナイスだレイ!」

 両方の目を潰されてダメージはかなりでかいはずだ。後は大技を決めれば倒すことが出来るはずだとヒロキが確信した時、湖に蟒蛇が再び逃走を始めた。蟒蛇は目を潰されて周りが何も見えていないため、闇雲に湖を目指して暴れまわっている。
 
 「おい、滅茶苦茶だろ…」

 木々をなぎ倒して暴れまわる蟒蛇の光景に、思わずシュンが言葉を漏らす。あんなに見境なく暴れられたら近づいただけでダメージを受けそうだ。
 レイとリンが頑張ってダメージを与えようとしているが、殆ど効いている様子がない。

 「おい、レイ!俺とシュンじゃあいつに近付くのは無理だ。お前のあの技・・・なら倒せるんじゃないか?」
 「確かにあれならいけると思うけど、あんなに動き回られたら外しちゃうわ」
 
 ヒロキとレイが何やら言い合っているのが聞こえる。どうやら、レイにはあの蟒蛇をしとめる算段があるらしい。だけど、それを使うには蟒蛇の行動を止める必要がある。
 この姿はどうやら万能型のようで、高威力の攻撃を全くないわけではないが、蟒蛇に水の攻撃は効果が薄いように思える。
 だが、行動を止めるだけなら出来る。

 「ヒロキ、レイ!私なら蟒蛇の攻撃を止めることが出来るよ!」
 「本当かマチ!」
 「うん!でも、一撃で決めないとあいつは回復しちゃうよ!」
 「動きを止められるなら問題ないわ!」
 「……わかった!任せる!」

 私の攻撃は全て水属性なので、これを使って蟒蛇の動きを止めれば徐々に回復していってしまう。一撃で仕留めないと、満タンまではいかないがせっかく削ったダメージが回復してしまう。そう思ってレイの方を見てみると、自信満々に笑みを浮かべている。レイも一撃で決める自信があるようだ。その顔を見て、私はスキルを発動させた。

 「【《海竜の水牢》】!」

 湖の水を巻き込んで巨大な水球を作り上げる。その頭上に出来上がったその水球を未だ暴れている蟒蛇に向かって飛ばす。ある程度コントロールが可能なので、蟒蛇の動きに合わせて水球を操る。水球に捕らえられた蟒蛇が抜け出そうともがくが、この水球はただの水ではないためそう簡単に抜け出すことは出来ない。
 蟒蛇を水球に捕らえた私はレイに合図を送る。早く倒さなければこの中で蟒蛇が回復してしまう。

 「【《シャイニングアロー×100》】!」

 力強く地面を蹴って空へと跳んだレイは、《シャイニングアロー》を増殖させた。そして、その増殖させた100本の光の矢を巨大な一本の矢へと変化させた。すると、それに呼応するかのように巨大な弓が現れた。
 
 「いっけえええ【《アルテミス》】!」

 人力では引くことのできないそれは、レイが弓を引く動きに合わせて弦がしなり、蟒蛇に向かって巨大な光の矢がゆっくりとした動きで飛んでいった。
 非常に重さの感じる動きで落下していく光の矢は、水球に捕らわれている蟒蛇目掛けて突き刺さり、地面まで縫い付けた。
 地面と衝突した瞬間、【《海竜の水牢》】ごと巻き込んで光がはじけ飛んだ。その激しい光量に目を開けていることが出来なかった。


 光が収まって視力が戻ってきた私は、蟒蛇のいた場所に目を向ける。蟒蛇のいた場所には弾けた水牢の水と蟒蛇の血が混ざりあった水たまりが出来ていた。そのグロい光景に意識を失いそうになったが、なんとか留まる。蟒蛇の破片が散らばなかっただけましだと思えば我慢できる。

 「相変わらずえげつない威力だな……」

 その発言に私も同意する。

 ようやく蟒蛇を倒し終えて一息つけると思ったのもつかの間に、私は異変を感じる。

 「うわ!?」
 「おい、どうした!……ってまさか」

 突然、湖の水が減り始めているのだ。私は急いで陸へと上がり水嵩の減り続けている湖を眺める。水はどんどんと減っていき、湖の底が剥き出しとなる。
 水の無くなった湖底には、人が一人くらい入れそうな大きさの洞窟の入り口が顔を出していた。

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