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ポーションを売ろう③

 
「…人が少ない」

「さぁ、ポーションをたくさん売るぞ!」と意気込んでお店を出したはいいが、朝~昼の時間帯はフィールドに出ている時間帯らしく人通りが少なかった。多少の人通りはあるものの、いきなり現れた見慣れぬ怪しい私の店を遠巻きにチラッと見て通り過ぎるだけだった。

(このフードのせいもあるのかな?)

 私がフード付きマントのフードを深くまで被り、顔が見えていないためより一層怪しさを引き立てているので、そのせいもあるだろう。今は警戒して客が来づらくても、時間が経てば興味の方が勝ることもあるだろうと思いもうちょっと待つことにした。


「すみません、ここってなんのお店ですか?」


 小一時間くらいが経過し、このまま待ってても客が来る気配もなく暇なのでポーションの追加でも作ろうかなと思っていると、一人の客がやってきた。


「えーっと、ここで売っている商品は……あれ、ヒロキ?」


 ようやく一人目のお客さんが来てくれて、なんだか聞き覚えのある声がするなと思い、視線を上げてみるとやっぱりヒロキだった。


「は?誰だお前?何で俺の名前を…ってその声マチか!?お前こんなところで何してんだ?」


 初めての客が知り合いで、私もびっくりさせられたが、まさか私が露店を出しているとは思って居らず、面食らったような顔をして口を開けているヒロキを見て、私は思わずクスっと笑った。


「何って店を出してるんだよ。見たらわかるじゃない。まだ一つも売れてないんだけどね。あ、そうだヒロキ。何個か買ってってよ」
「あ、あぁ。買うのは構わないが、何を売っているんだ?この瓶に入った奴。まさかとは思うがポーションだなんて言わないよな?プレイヤーは誰も作れていないんだぞ?」

 瓶に入った液体を見極めるように眺めるヒロキに私はニヤっと笑って見せた。


「…まさかなのか?」
「そのまさかだよ!スキルで作ったわけじゃないよ。手作業で作ったんだから!」


 エッヘンと腰に手を当てて胸を張って自慢する私を見たヒロキは手を顔に当てて、「はぁ~」とため息をついた。

「お前…、これが重大な発見だってわかってないだろう」
「いや~、それほどでも」
「いや、褒めてねえから」


 ポーションの重要性についてはミーシャからも教えてもらっているから、一応わかってはいるつもりだ。ポーションがあれば今まで勝てなかった敵にも即死しなければ勝てる可能性が出てくるようになる。


「お前が教えても良いって言うなら、俺が作り方を掲示板に書き込んでおこうか?後々、公開しておかないと、お前だけがポーションを作れるって広まったらめんどくさいことになるぞ。レシピを聞くために最悪武力行使とかもありえるな」
「うわ、それは勘弁だね。レシピに独占したいとは思わないから、公開するのお願いしていい?作り方は教えるから。ただ、誰に教えてもらったのかは秘密にしておきたいんだけどいい?」
「ああ、匿名で書くよ。俺も変な厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだからな」


(たぶん、ヒロキが心配してるのは私のことなんだろうけど、私が心配してるのはアルバさんの方なんだよね。アルバさんに教えてもらったと公開してしまったら必ず、他にもアルバさんに教えを請おうとするプレイヤーは出てくると思う。それに……アルバさん気難しいからな~。まともに相手してもらえるとは限らないけどね。私も初対面のときに冷たくあしらわれたし)


「そういえばヒロキは何をしにフェンハイルに戻ってきてたの?昨日、メタルジュエルワーム倒して次の街にいる予定じゃなかったっけ?」
「いや、実は昨日メタルジュエルワームを倒しに行けなかったんだよ」
「え、そうなの?」
「あぁ、途中で予想外の事態に遭遇してな。ボス攻略は明日でいいだろうって話になったんだ。このあと攻略しに行く予定だ」
「そうだったんだ。じゃあ今は準備中ってとこなんだね」
「そういうことだ。と言うことで、売り物がポーションなら喜んで買わせてもらう。いくらだ?」
「一瓶100Gだよ」
「なら40瓶くれ」
「毎度あり。攻略頑張ってね!」
「おう、任せろ!」


 その後、ヒロキが去っていった後、遠巻きにやり取りを見ていたお客さんがぽつりぽつりとやってきてポーションを買っていってくれたお陰で、用意したポーションは全部売り切れた。


(次売るときはもっと作ってこないと足りなくなりそうかな)


 ポーションを売っていると広まったら、もっと買いに来てくれる人は増えるだろうから、今回用意した1000瓶じゃすぐになくなるはずだ。それに、今日は居なかったが大量にまとめ買いする人も出てくるだろうから制限を設けなければいけないなと思った。




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