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sun

 ゴーレムを倒した私は、ウルバ鉱山の頂上まで来ていた。ここに来る前にギルドで受付のお姉さんから聞いた話だが、ウルバ鉱山の頂上から入れる坑道にはメタルスライムがごくまれに現れると言う。
 メタルスライムと言えば、某ゲームに出てくる経験値がうまい奴のことである。


 坑道に入って一時間近く探したが、情報どおりごくまれにしかでないこともあって、見つけることができなかった。だが、ここで何故かスイッチが入った私は、さらに四時間近く探し続けた。それでも見つけることができずに変なテンションになってきていると、目の前に奴が飛び込んできた。

 「ふふふ、やぁっとぉ~みつけたわよ~。
さあ!大人しく私の経験値になりなさい!」
 「…!?」
 「あ、ちょ、逃げるな!私の経験値!」

 やっと見つけた経験値に微笑んでいると、急に奴がこちらを振り返った途端、表情がないはずな顔にまるで、化け物にでもあったかのような表情を貼り付けて、目の前から脱兎のごとく逃げ出した。
 
 「ふふふ、さぁもう逃げ場はないわよ〜。」
 「…!」
 「っ!」

 なんとか見失わずに追いかけ、行き止まりまで追い詰めた私は、逃がさないようにじりじりと距離を詰めていった。だが、ここで突然、奴の雰囲気が変わり、体が光に覆われていった。危険を察知した私は急いでその場から飛び退いた。少し遅れて私がいた場所めがけて奴が突進し、激しい爆音と砂煙が舞い上がった。
 砂煙が収まるのを確認してからその爆心地を見ると、小さなクレーターが出来上がっていた。既に奴の姿はなく、衝突の衝撃に耐えきれずに消滅したのだろう。
 あの場で咄嗟に飛び退いていなかったら、私がバラバラになっていたのかと思い背筋をブルりと震わせた。
 奴がいなくなってしまったため、諦めて地上に出ようとした瞬間、地盤に罅が入った。やばい!と思って咄嗟に回避しようとしたが、逃げる間もなく地盤の崩壊とともに落下していった。





 ――――ぺちっ、ぺちっ

 「うぅ~ん」

 ――――ぺちっ、ぺちっ

 「あと、もう少し…」

 「なにがあともう少しじゃ!いつまでひとの尻尾の上で寝ておるんじゃ!」
 「ふぎゃ!」

 いきなりの浮遊感にびっくりしたあと来た衝撃でカエルがつぶれたような声をだしてしまった。

 「さっさと起きぬか!まったくひとの尻尾の上ですやすやと気持ちよさそうに…」
 「気持ちよかった。最高だった」
 「そうじゃろう、そうじゃろう。妾の尻尾は最高なのじゃ!…って違う!」

 と、ここで私は誰と話しているんだろうと思い、まだ眠気が残る重い瞼を開け顔を上げると、そこには純白の体毛に覆われた巨狼が私を見下ろしていた。

 「して、主はなぜこんなところにいるのかえ?」

 神秘的な巨狼の姿に見惚れている私に、巨狼が質問してきた。
 私は、ここまで来た経緯いきさつを目の前にいる巨狼に話した。





 「……ぷっ、あっはっはっはっはっは!なんじゃ主は奴に一杯食わされたのかえ!………はぁ、はぁ、主よこれ以上、妾をわらわせないでくれ!」
 「他人事だと思って…」

 人がひどい目にあっているのに、それを聞いて笑っている巨狼に口を尖らせて睨んだ

 「すまん、すまん。メタルスライムはすぐ逃げ、追い詰めても自爆攻撃をしてくる一筋縄じゃいかないモンスターだからの。見つけた瞬間にすぐ倒さねばならぬ故、厄介な奴じゃ」
 「うぅ~私の経験値~!次は必ず倒す!」




 「そういえば、まだ主の名を聞いておらんかったな」
 「私の名前はマチよ」
 「妾の名も教えたいところなんじゃが、あいにく名を持っておらん。たみからはフェンリルとよばれておる」

 なるほど、シグファルドと同じでこの巨狼フェンリルにも名前がないのか。

 「ほう、その腕輪…。主は竜の奴にあったのじゃな」
 「竜?あぁ、うん、シグファルドからもらったの」

 一瞬、竜が何かわからなかったが、腕輪を見て言ったのですぐにシグファルドのことだと思った。シグファルドも名前を持っていなかったし。

 「む、シグファルドの奴は名をもらったのか、一人だけずるいではないか……。」

 一人でぶつぶつと思案していたが、急に顔を上げた。

 「主よ、妾にも名をつけてくれぬか?」
 「え、いいの?」
 「構わぬ!」

 フェンリルって確か、ロキと女巨人アングルボザとの間にできた子だったはずだから…その間をとって…

 「…ロキア」 
 「ロキアか…。うむ、いい名じゃ!」

 内心で気に入ってもらえるかドキドキしていたが、気に入ってもらえてホっと胸をなでおろした。

 「ふむ、マチは既に一度竜シグファルドの力を使っておるようだの」
 「え?何のこと?」

 「む、気づいておらんのか?お主の中に宿る神獣の力を」

 (神獣の力ってなんのことだろう…。神獣の力って多分スキルのことだよね?そんなスキルあったかなぁ)
 疑問に思いつつも自分のステータスを開いてスキル覧を見てみると…

 「……あった…」
 「どうやら見つけたようじゃの」

 そこには前回確認したときはなかったスキルが出現していた。

 《※※※※※》lv2

 「そのレベルに達しているならば、この宝玉を使うが良い。腕輪に近づけるだけで良いぞ」
 「っ!眩し!」

 ロキアから純白に輝く宝玉を受け取って腕輪に近づけると、宝玉と腕輪が反応し目を開けていられないほどの光量が襲い掛かってきた。
 光が収まった後、徐々に目を開けて、腕輪を見ると腕輪の手の甲の中央部分に純白に輝く宝玉が嵌ってあった。

 「あの…これは?」
 「今のマチならば妾の力を暴走せずに使うことがきるだろう。竜の力は今は使えないみたいだが…。気になるならば確認してみると良いじゃろう」

 ロキアに言われた通りに確認してみると、

  ・《神獣降臨(フェンリル)(ファフニール:封印)》lv3

 さっきまで文字化けしていたがしっかりと表記され、lvが2→3に上がっていた。

 「ふむ、どうやら時間が来たようだな」
 「え、ちょっと待って!まだ聞きたいことがあるのに…!」
 「次は蛇に会うとよいじゃろう。あやつもきっと名をほしがると思うぞ…」

 薄れゆく視界の中で、くつくつと笑うロキアの笑顔を最後に、視界が暗転した。



 目を覚まして起き上がった後、あたりを見渡すと、そこは瓦礫が散乱していた。どうやら、落下した場所に戻ったらしい。
 どうやって地上に戻ろうか考えていると、不意に殺気を感じたためその場から退避して警戒していると私がいた場所から何かが出てきた。ステータスを見てみるとジュエルワームと書いてあった。

 ・ジュエルワーム:坑道などに住み着き、そこにある鉱物を主食とする。消化しきれなかった鉱物がそのまま体表に現れる。

 「《神獣降臨(フェンリル)》!」

 ロキアにより強化されたスキルを試す相手には丁度良いと思い、スキルを発動させた。
 すると、体全体が光で覆われた。光が収まった後、違和感に気づいた。まず、目線の高さが高くなっている。足元を見てみると、純白の体毛で覆われ、鋭い爪を覗かせる足があった。

 ————アオォォォォォォォォォォォン!

 ジュエルワームの方へ向き直ると、私の叫び声によって怯えて逃げようとしていた。
 逃がすつもりはないので、足に力を込めてとびかかった。予想以上のスピードに攻撃し損ねそうになったが、足の爪を振り抜いた。紙のように飛んで行ったジュエルワームは壁に衝突して消滅した。
 どうやって地上に戻るか考えた結果。爪を使って坑道を掘り進めることにした。地上に戻る途中で再び奴に再会したため、今度は逃げる間を与えずかみ砕いた。
 しばらく、掘り進めて行くと、ようやく地上にでることができた。街へ行こうと歩き出して、ふと自分の今の姿がなんであるかを思い出して足を止めた。そして、どうやって元の姿に戻ればいいのかわからずに途方に暮れた。


 「どうやってもどればいいのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 
 その悲痛な叫び声が、誰もいない鉱山で木霊した。













 マチ
 レベル12
HP:73
MP:22
 STR:61(10)
DEF:49(10)
 AGI:64(20)
 INT:34
 DEX:22

装備
頭  :
体上 :初心者の服
体下 :初心者のズボン
腕  :
足  :初心者の靴
アクセ
頭  :
顔  :
首  :
腕  :ファフニールのパンジャ
足  :
耳  :

スキル
【刀】lv9 【察知】lv1 【STR上昇 】【取得経験値上昇(微)】 《赤熊レッドウルステアーの爪》 《神獣降臨(フェンリル)(ファフニール:封印)》lv3 


残りスキルポイント:16
残りアビリティポイント:8

称号
 《ファフニールの友人》
 《森の王者赤熊を討伐せし者》
 《フェンリルの友人》

 


 
   

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