召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた女神さまを召喚することにしました

触手マスター佐堂@美少女

第1話 キャラクター設定


 俺は退屈していた。



 十二歳から株を始め、中学を卒業する頃にはそれなりの金額の金が貯まっていた。
 中学を卒業し、一人暮らしを始めてからもう二年になる。
 高校に行くわけでもなく、就職するわけでもなく、地方の町で購入した一軒家に引きこもっている。

 一人暮らしを始めると伝えたとき、母親は何も言わなかった。
 両親はすでに離婚しており、俺への態度もあまり暖かいものではなかった。
 義務教育さえ終わらせればいいと考えていたのだろう。

 最低限の世話をしてくれたことには感謝しているが、それ以上の感情はない。
 最近は親しくしている男もいるようだし、心配はない。

 元々学校は休みがちで、友達と呼べる人間もいない。
 ましてや彼女などいるはずもなく。
 特に大きな問題もないまま、こんなところまで来てしまった。

 真面目に働くなど馬鹿らしい。
 もう一生暮らしていけるだけの金は十分にあるのだから、働く必要はない。
 しかしなぜか、それが無性に物寂しかった。

 そんなことを考えながら、俺はパソコンでネットの海を散策する。
 何か面白いゲームはないものかと探す。

 少し前まではパソコンやスマートフォン向けのゲームに熱中していた時期もあったが、どれも長続きはしなかった。
 中途半端に課金したりもしたが、すぐに冷めてしまう。
 こればかりは性格なので仕方ないのかもしれない。

「ん?」

 ふと、とある広告が目に留まった。
 『新しい世界で生きてみませんか?』という誘い文句の背景に、ファンタジーチックなイラストが描かれている。
 MMORPGの類か。

 思えば、オンラインゲームというものにはほとんど手を出したことがない。
 たしか以前少しだけやったことがあったが、すぐにやめてしまったような。

 少し興味が沸いたので、そのバナーをクリックしてみる。

「ふーん」

 色々と書かれているが、特に可もなく不可もなく、といった感じだ。
 魔王の野望によって混沌に陥っている世界を舞台に、プレイヤーたちは魔王の討伐を目指して戦うらしい。

 ざっと目を通したが、スキルやジョブ、レベルなどのシステムも存在する。
 このあたりはあまり詳しくないので理解するまでに少し苦労するかもしれない。

 この類のゲームにしては珍しく、ガチャもあるようだ。
 精霊石というアイテムを消費することで、レアな武器・防具などの装備品や、使い魔などが手に入るらしい。

 偶然にも、サービス開始は明日の午前十二時だった。
 つまり、あと数時間後ということになる。
 今は事前登録の期間というわけだ。

「……やってみるかー」

 普通に楽しめそうだったので、登録してみることにした。
 まあ飽きたら辞めればいいだけの話だ。
 軽く触るくらいならいいだろう。

 設定のページに飛ぶと、なにやら見慣れない単語が目に飛び込んできた。



 おめでとうございます!
 あなたは10万人目の事前登録者となりました!
 特典として、通常10の女神ポイントを10倍の100ポイント贈らせていただきます!

 女神ポイント 100



「なにこれ」

 なにやら当たったらしい。
 ラッキーだな。
 通常の10倍のスキルを設定できるのだから、喜んでおくべきだろう。

 その下にはジョブやパラメーター、スキルや装備品に関連する単語がずらりと並んでおり、横にチェックボックスのようなものがある。
 これで設定しろということか。
 女神ポイントという名称は謎だが。

 とりあえずジョブから設定してみることにする。
 剣士や魔法使い、冒険者や盗賊など、それらしいものが並んでいる。
 珍しいものとしては弓兵や槍兵、召喚士などもある。

 試しに魔法使いをジョブに設定しようとしたら、なぜかチェックボックスに反応がなかった。

「あれ?」

 何回押しても反応がないため、仕方なく剣士の横のチェックボックスにチェックを入れると、こちらはしっかりと反映された。
 それと同時に、一番上に表示されている女神ポイントが98になった。
 ジョブの設定でもポイントを消費するようだ。

 試しに他のジョブにもチェックを入れてみたが、チェックを入れられるものと入れられないものがあった。
 剣士や冒険者、召喚士にはチェックを入れることができたが、魔法使いや盗賊、弓兵、槍兵にはチェックを入れることができなかった。
 イマイチ条件がわからない。

 無難なのは剣士か冒険者か。
 だが、MMORPGをやるなら魔法系の職に就きたいと考えていた俺にとって、それはあまりよろしくないジョブだ。

 悩んだ挙句、召喚士にチェックを入れた。
 召喚士であれば、まだ魔法系の職と言えなくもない。

 次はパラメーターの設定だ。
 INTやSTRなどの三文字のアルファベットの横に数字が表示されている。
 初期値はどれも一桁か二桁で、最高はINTの18だった。

 INTの横に表示された値を、18から20に書き換えてみると、女神ポイントが96になった。
 女神ポイントを消費すると、数値を増やせるようだ。

 だが、レベル制を採用している以上、レベルの上昇によるステータスの上昇もあるはずだ。
 女神ポイントは基本的に10なわけだし。
 ここで女神ポイントを消費するのはもったいない気がする。
 そう考え、INTの値を18に戻すと、女神ポイントも98に戻った。

 次はスキルの設定のようだ。
 こちらもなにやら単語が大量に並んでいる。

 だが何の説明書きもないため、よくわからないスキルが多い。
 適当に眺めながらスクロールしていく。

 途中の召喚術というスキルには、勝手にチェックがついていた。
 召喚士のジョブになると自動的に取得しなければならないのだろう。
 となると、一つのスキル取得に必要な女神ポイントは1だろうか。

「お、ボーナススキルがあるな」

 下のほうまでスクロールすると、ボーナススキルなるものがあった。
 アイテムドロップ率5%上昇、経験値2倍など実用的なものが揃っている。
 ただ、こういったスキルこそ課金要素だと思うのだが、まあそれも俺には関係のないことか。

 試しにアイテムドロップ率5%上昇にチェックを入れると、女神ポイントが88になった。
 さすがにボーナススキルというだけあって、ポイントの消費も激しいようだ。

 それと同時に、アイテムドロップ率10%上昇というスキルも出現していた。
 それにもチェックを入れると、女神ポイントが68になった。
 5%上昇のスキルのポイント使用量が10で、10%だと20か。
 先ほどまでと比べると、えげつないほどの消費量だ。

 というか、基本となる女神ポイントが10だとすると、ボーナススキルは通常はつけられない可能性もある。
 ジョブを選ぶだけで残りの女神ポイントが9以下になってしまうからな。
 理由をつけて、基本ポイントを10より少し高い値にしている可能性もあるが。

 ひとまずアイテムドロップ率のチェックを外し、女神ポイントを元に戻す。
 そして、先ほどまではなかった項目が増えているのに気が付いた。



 シークレットスキル

 精霊石入手数2倍
 精霊石使用数半減
 スキル倍化



「これはすごいな。石の入手数が増えるのか」

 石というのは、主にガチャを引くときに消費されるアイテムの総称だ。
 このゲームでは精霊石に当たる。

 ただ、事前登録のボーナスと考えてもやりすぎな気がする。
 シークレットスキルとか書いてあるし、こういうシステムはこれを見つけられなかった事前登録者や後で入ってきた人達の不興を買うのではないだろうか。

 まあそんなことを俺が気にしてもしょうがないか。
 あまり気にせず先に進むことにする。

 精霊石入手数2倍の項目にチェックを入れるが、女神ポイントは98のままだ。
 ポイントを消費しないとかコスパ良すぎる。
 それと同時に、先ほどのアイテムドロップ率上昇と同じように、精霊石入手数2倍の下に精霊石入手数4倍のスキルも出現していた。
 そちらにもチェックを入れると、女神ポイントが97になり、その下に精霊石入手数8倍のスキルが出現している。

 限界まで試してみたが、精霊石入手数128倍、女神ポイント消費32が最高のようだ。
 スキル名が赤色になり、これ以上強化できないことを示していた。

「いや、これ課金させる気ないだろ……何考えてんだ運営」

 さすがの俺でも、これが明らかにおかしいスキルだということはわかる。
 運営にしてみれば、課金はさせればさせるほどいいのだ。
 こんなスキルは企業の寿命を縮めるだけだと思うのだが、まあそれも俺には関係のないことだな。

 冷静に考えてみれば、バグということも考えられる。
 もしくは本当にごく一部の人間にしか表示されないとか。
 シークレットというくらいだし、こちらに黙って使うことを強いているのかもしれない。
 誰かに言う機会もないとは思うが、一応黙っておくか。

 とりあえず精霊石入手数128倍にチェックを入れておく。
 残りの女神ポイントは66だ。

 精霊石使用数半減の項目にもチェックを入れるが、女神ポイントは減らなかった。
 それと同時に、精霊石使用数3分の1のスキルが出現している。

 こちらも限界まで試してみると、精霊石使用数30分の1、女神ポイント消費32が最高のようだ。
 先ほどのと同じようにスキル名が赤色になっている。

 ……さすがにここまでくると、ガチャのありがたみが完全に消失するような気がする。
 まあ、それならそれでいいか。
 どうせいつまで飽きずに続けられるかもわからないんだし。

 課金するにしてもしないにしても、石が多くて困るようなことはないだろう。
 お金は大事だ。

 投げやり気味にガチャ系のスキルの設定を終えると、最後に残っているのはスキル倍化というスキルだ。
 チェックを入れてみると、どのスキルを倍化するのか選ぶように求められる。

 とはいえ、俺が設定しているスキルは二つしかない。
 少し悩んだが、精霊石入手数128倍のほうを選んだ。

 それと同時に、女神ポイントが残り4になった。
 100-1-1-32-32が34だったので、スキル倍化に使用する女神ポイントは30ということになる。
 なかなか重いスキルのようだが、その効果を考えれば納得もいく。

 残り4。
 何を入れるべきだろうか。

「うーむ」

 スキル一覧から適当なのを見繕い、チェックを入れていく。

「よし、これでいこう」



 相馬そうま とおる 17歳 男 人間族

 召喚士


 スキル

 観察眼Lv.1
 語学Lv.1
 隠密Lv.1
 手当Lv.1
 召喚術Lv.1

 (シークレットスキル)
 精霊石入手数128倍
 精霊石消費数30分の1
 スキル倍化(精霊石入手数128倍)


 かなり適当だがこんなものでいいだろう。
 装備品については、ガチャでカバーできそうなのでつけなかった。
 判断としては間違っていないと思う。

 しかし、改めて見るとひどい。ひどすぎる。
 ほとんどガチャを回すことしか考えていない。
 面白いから変えないが。

 サイトからの最終確認のあと、登録画面を閉じた。

「……あれ。そういえば、アバターの設定とかはなかったのか」

 終わってみてから気付いたが、オンラインゲームなのだからそういったものも必要なのではないだろうか。
 まあ、サービスが始まってから作るのかもしれない。
 気にするほどのことでもないか。



 そんなことを考えながら、俺――相馬そうま とおるは日付が変わるその瞬間まで、パソコンの前で適当に時間を潰していた。



 登録した覚えのない本名や年齢が表示された画面に、何の疑問を抱くこともなく。


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