異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

羞恥心と王の真心

「今日来たのはお前ら二人に少しの間だけ俺の仲間にならないかって事を聞きに来たんだ」
ユートがそう言うとパサルは腹を抱えて笑い転げる
ゼロはそんな姿を見てドン引きしている

「あのユートちゃんがw私に仲間になってほしいってw」
「…まぁ面倒くさいから断るけどね~、ゼロに丸投げするわ」
笑い転げていた筈がスグに冷静に立ち上がり面倒だからゼロに丸投げすると言ってきた

「そんな事言たらワタシも嫌ネ」
ゼロもため息をつきながらユートの誘いを断る

「あ~でも~…ユートちゃんが今度私と一晩中遊んでくれたら考えてあげない事もないわよ?」
「まぁユートちゃんがこんな提案受け入れる訳が…」
パサルがニヤニヤ笑いながらユートにそう提案する
すると、ユートは「構わない」と即答した

「え?イヤイヤ本気で言ってるの?蛇の性欲を知らないの?」
「私本気にしちゃうわよ!?」
パサルは絶対にユートなら渋るであろう提案をした筈が即答されてしまった為…パサルは珍しく焦っていた

「別に、アルカの為なら俺がどうなろうと構わないしな」
「それに…少し前まで毎晩の如く付き合わされたんだ…」
ユートは明後日の方向を見つめて乾いた笑いを見せる

「それで?俺はお前の提案を受け入れよう…」
「お前は俺の頼みを聞いてくれるのか?どうなんだ?」
ユートはそう言ってパサルに迫る…先程絡まれた仕返しと言わんばかりにパサルのあごをクイッと上げる

パサルの困惑する顔を見てユートは一種の優越感を味わう
全く掴み所がなかったあのパサルを手玉に取っている…これほどまでに優越性に溢れたシチュは今までにないだろう…

「…はぁ~わかったわよ…但し、内容次第では断るから」
パサルはそう言ってユートから半歩離れてため息をつく


「で?ゼロは行ってくれる気になったか?」
ユートはそう聞くがゼロは相変わらず拒否している

ユートはこうなったらゼロも連れて行きたいと思い妙案は無いか考える…すると、先程のやりとりの中からゼロの今の思想を予想できた

ユートはリーザスの近くに行き耳打ちする
リーザスは一瞬嫌そうな顔をしたがユートの為ならと実行する

「…『首なし騎士へシアンゼロ』貴方に命じます」
「このユートさんの協力をしてあげなさい」
リーザスがそう言うとゼロは頭をかいて激しくため息をつく

「ユート、ワタシが王女様に命じられたら絶対に断れないテ…どこでわかたヨ?ワタシはそんな事アナタに言った覚えは無いヨ」
ゼロのその言葉にユートは先程パサルを止めた時の発言だと言う

「そんな些細な事デ…油断したヨ…」
ゼロはそう言ってその場を後にした

「ユートさん…ところでイリーナは最近どうかしら?」
「あの娘ってば手紙の一つも寄越さないのよ!」
リーザスはそう言って頬を膨らませてぷりぷりと起こる素振りを見せる

「そうなのか…イリーナの事だから手紙くらい書いて送りそうだが…」
ユートはそこまで言って手紙を送らない…いや送れない理由がわかってしまった為…その後の言葉は口篭ることにした

最近のイリーナは家事やらで忙しいのだ…さらに言えばユートがほっぽり出している開発の事務的な作業もやってもらっている為…悠長に手紙を書いている時間がないのだろう

「なんか…ごめん…」
ユートはそう呟くがリーザスは訳が分からず首を傾げた


「それで?一体、私とゼロを仲間に引き入れた理由をそろそろ教えて欲しいわ」
パサルは我慢の限界が来たのかユートの説明を急かす

「あぁ…実はな…」
ユートはおおまかな説明を始めた
先ずは『生命遊戯リヘロゲーム』についてとその為に人数が必要だという事
アルカの両親が景品にされている為それを助ける事

「ふ~ん…生命遊戯リヘロゼームねぇ…」
「すっごく面白そうじゃない…血が滾ってきちゃう」
パサルはそう言ってゾクゾクと身体を震わせる

その話を聞いていたリーザスはガモウの方を見つめる

「な…なんだ…まさかお前も行きたいとか言い出すんじゃあ…」
ガモウはそうリーザスに聞くとリーザスは小さく頷く

「駄目だ!まだまだ仕事が残っているだろう」
「それに一国の姫たるお前が娯楽の街に行くなど…」
ガモウがそこまで言うとリーザスは涙を浮かべてユートに泣きつく

「ユートさぁん…ガモウが意地悪を言うんです…」
リーザスはそう言ってユートにガモウを説得する様に仕向ける
だがガモウはユートならば止めてくれると信じていたが…

「う~ん…少し位連れてってやっても罰は当たらないと思うぜ?」
ユートのその言葉にガモウは酷く打ち拉がれた
だが、ここで引くガモウでもない

「駄目なものは駄目だ!」
「ユート殿も甘過ぎだ!もっと厳しい心をだな!」
ガモウが声を荒らげてそう言うと…リーザスはさらに涙を浮かべて泣き出した

「だって…だってぇ…私も遊びたいんだもん!」
「ガモウの意地悪~!うわぁぁぁん…」
リーザスは泣きながらガモウをポカポカと叩き始める

「大体…その様な街にお前を連れていったら…俺はとても心配だ…そもそもお前が他の誰かに見られるのだってとても胸が苦しくなるのだ…」
ガモウのその言葉にリーザスは頬を赤らめて黙り込んでしまった

「わ…わかったわ…」
リーザスはそう言い残して寝室の方へ走っていってしまった

「それじゃあ早速行きましょうか~」
パサルは何故かクスクスと笑いながらユートにそう言った

「ワタシも準備できたよ」
ゼロはいつの間にか戻ってきていた

「そ…そうか…それじゃあしばらく二人を借りてくぞ」
ユートは一応最後の確認としてガモウにそう聞くとガモウは既に心ここに在らずと言った具合にぼーっとしていた

「…じゃあ転移するから…俺のどこかに掴まっていてくれ」
二人は素直にユートの肩を掴んだ為スムーズに転移ワープを使い、クロウディアの馬車の中に転移した



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【おまけ】

ガモウとリーザスの光景を見ていたユートはとある場面を思い出していた

「アルカに告白みたいな物をしてた時って…傍から見たら小っ恥ずかしかったんだな…」
「出来る事なら昔の俺の頬をぶん殴ってやりてぇ…」
ユートはそう呟いて小さく拳に力を入れた

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