異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

雑魚の戦法と引き際の強者

新選組が先陣となり魔族達との戦闘が始まった

「我の剣から逃れられると思ったか!この愚か共が!」
近藤勇は視界に写った敵影は全てを両断する
既に20は容易に斬り伏せているだろう、その剣は鮮血で染まっていた

「やはり何時の時代も戦争と言うのは嫌なものですね!」
土方歳三は間合いに入った魔族を一体一体冷静に的確に斬っていく
だが魔族に対しても死ぬその一瞬まで感謝を忘れないという精神を胸に秘めていた、戦場ではその考えは命取りになりかねないが土方にとっては感謝しているのだ

「あぁ感謝します…貴方達の血が…叫びが…心地よく私の目と耳とこの手に響き渡るのですから…私の強さを再確認させてくれる貴方達には感謝しかありませんよ!!!」

「うへぇ…副長は本当に聖人気取ってるけどその本質は単なる人斬りなんだよねぇ…流石の僕でもあそこまでの怪奇的な笑顔は見せられないなぁ」
「それに嫌だと言ってたのに感謝ってちょっと矛盾してるし…」

沖田総司はそんな土方を見て若干引きつつもその足元には魔族達の死骸で溢れていた

「沖田ぁ!今回で決着を付けるぞ!貴様とオレのどちらが新選組最強の剣かをなぁ!」
斎藤一は沖田と背中合わせになり今まで散々沖田に躱され続けた決着を付けようと提案する

「だから僕は別にそんなのどうでも良いんだけどなぁ…君が最強の剣だって別に名乗っても僕は興味無いし…」
沖田のその渋った声に斎藤は無視をし、ならば始めるぞと勝手に勝負を始めてしまった

「…やっぱり最大の敵は味方だって先人達は良く言ったものだよね」
沖田はため息をついて斎藤との事を忘れて目の前の敵に集中した



ーユート視点ー

ユートが飛翔フライで飛んでいくとある事に気づく
800体と聞いていたが…明らかにその数を遥かに超える数の魔族が後方に下がるにつれて徐々にその数が多くなっていた

「まさに氷山の一角しか見えてなかったって事か…」
視界内でも1000は超える数の魔族が確認できる

ユートは先程から上空を通っているが…魔族達に気づかれる事なく進んでいた
ユートはその時迷彩化ステルス等の魔法は使っていなかったが…それほど魔族達はミズガルズの何かに対して一点集中していたのだ

「不気味だな…それほどまでして手に入れたい物…『土地』か?…何かの『宝』か…まぁ深くは考えなくて良いか」
ユートはそのまま特に魔族が群がっている箇所を発見しそこに向けて速度を上げて向かった


『そこの貴様!人間だな?我らが大将になんの用だ!』
流石に接近しすぎて見つかってしまった
初めに発見してきたのは赤い体に黒い翼が生えた『悪魔族』の様だ
だが…風貌からして下級の悪魔のようだ

「お前らの大将はそこにいるのか…情報ありがとよ、じゃあな」
ユートはその悪魔を無視して進もうとするとまさに横槍が飛んでくる
その槍をユートは掴みそのまま投げ返す

『うぉっ!てめぇ中々やるな…おい野郎共!殺っちまうぞ!』
悪魔はそう言って辺りに号令をかけると飛び散っていた悪魔達がユートを取り囲むように集まってきた

「悪くない戦法だ、圧倒的強者を敵にする時は取り囲む…雑魚にしてはよく考えたな」
ユートはそう挑発して手をこいよと言うように手を動かす

逆上した悪魔達は一斉に槍を構えて突き刺すように飛んでくる
ユートまで後数cmで刺さるという所でユートは転移ワープを使いその場から消える

とっさの状況に悪魔達は反応できずそのまま互いで互いを突き刺してしまう

「まぁ俺にはその程度の戦法は通じないがな」
ユートは自滅しなかった悪魔に向けて魔法を展開する

『上位魔法ー追跡する火の悪魔フレイムストーカーー』
火球が発生し悪魔達を追跡し当たった瞬間に燃え上がる

「悪魔が悪魔によって死ぬんだ、良かったな」
ユートはその場にいた悪魔達を赤子の手をひねるように単調に始末していく

ユートは悪魔達の死に様を最後まで確認した後、敵の中心に向かおうとすると、向こうの方から『死霊系』のモンスター達がユート目掛けて飛んできた

「死霊系…敵に召喚魔法を使える奴がいるのか…面倒だな」
死霊系のモンスターには物理的な攻撃や大抵の魔法は効果が無いのだ
その為、除霊魔法を使えない者は死霊系のモンスターに出会ったら即座に退避するのが通常である

「まぁ普通の死霊系なら俺にとっては大した事ないがな」
ユートは氷の表面から氷を吸い寄せ手元で槍を象る
それに浄化魔法の効果をバフしてその槍を放つ

『ー聖なる氷槍ホーリーアイスレイー』
死霊系のモンスター達を追跡する火の悪魔フレイムストーカーと同じ要領で貫いていく


その後ユートは等々中心に到達した
目の前には全身の体毛が青く、独特な不気味さを醸し出す馬のような魔族が現れる

「よぉ、お前がこの軍の総大将か?」
ユートは軽々しくそう聞くと辺りにいた魔族達は一斉に魔法を展開してユートに襲いかかろうとするが馬のような魔族がそれを止める

『如何にも、我こそはソロモン七十二柱が一《ガミジン》』
その声はしゃがれた…いやしわがれたと言うのが適している様な声をしている
ガミジンはその両の眼でユートを見つめる

「ガミジン…じゃあさっきの死霊系のモンスターはお前が召喚したのか…」 
ユートが知る限り『ソロモン七十二柱ガミジン』は『ネクロマンシー』と呼ばれる能力を持ち罪人を呼び出すという伝承がある

『如何にも』
ユートの問いに素直に答えていく

「お前らが今回攻めてきた理由は何だ?理由によってはここで俺がお前らを皆殺しにしなくちゃいけないから先に聞いておくぞ」
ユートがそう言うとガミジンの側近の一体であろうミノタウロス族が声を荒らげる

『何を図々しい!貴様ら下等な人間が我らを…』
ミノタウロス族の雄がそこまで言うとガミジンは抉るような眼光でミノタウロス族を黙らせる

その後、ガミジンはユートの至る所を余す所なく睨みつける
『成程…確かに我らを皆殺しにするという発言…虚言では無く実際に行える程の力を持っているな…ここで貴様と殺り合うのは愚策でしかなさそうだ』

ガミジンはそう言ってマントをひるがえし全員に向けて号令をかける

『進軍停止!これより撤退する!』
ガミジンのその号令を聞いた魔族達は一瞬戸惑った後、すぐに後退し始めた

『着いてこい人間、二人きりの話の場を作ろう』
ガミジンはそう言って部下に天幕を張らせ、中に入っていった

「…中々食えない奴だ…引き際を知っている…それは戦場で最も強い奴だ…少し警戒しておくか…」
ユートはそう呟いた後、ガミジンの後を追って天幕の中に入っていった

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品