異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

遺伝粒子(アーツ)と御業(ノーツ)

斎藤一の腕の切断
そんな芸当を誰にも気づかれず…誰にも悟られずにやってのけたユートの事を新選組の隊長達は帯刀している刀に手を掛け何時でも斬れるように身構える

ユートはそんな新選組を鼻で笑い煽っていく
すると隊長の中でも斎藤の次に短気な『松原忠司』が刀を抜き斬り掛るがユートは特に反撃すること無く後ろに後退しながら松原の剣を躱す

他の隊長達が間に入ることは無かった
この新選組の暗黙の了解で他が戦っている時は頼まれない限り参加を禁じられているのだ

「避けてるだけか!この腰抜けが!」
松原はそのまま斬りつけユートを壁に追い込む
その後、振り上げた刀をユートを真っ二つにする勢いで振り下ろす

その場の沖田を除くの隊長は終わったと思い戦闘態勢を解くが
次の瞬間、松原が後方へ吹き飛ばされ奥のふすまに大きな穴を開ける

沖田を除く隊長達の全員が何が起こったのか理解する事が出来なかった

「『神の御業ゴッドノーツ』…ユウ君が私達のお殿様…」
沖田がボソッとそう呟くと新選組の全員が驚きの形相を見せる

「そんなバカな!沖田、見間違いだ!」
「だが沖田殿が神の御業ゴッドノーツだと言うって事は間違いないのだろう…」
新選組屯所内が一気にざわつく
ユートは何が起きたのか皆目検討がつかなかった

ちなみに先程ユートが松原を吹き飛ばしたのは『空気の鎧エアバッグ』を使い攻撃を弾き飛ばしたついでに松原も飛んだだけなのである

「ユウ…いやユウ様こちらへ来い…いやどうぞ」
近藤が立ち上がりユートをさらに奥の方へ案内する

「土方と沖田はユウ様のお仲間を先に城へ案内しといてくれ」
土方と沖田は即座に立ち上がりレイカ達が収容されている地下牢へと向かった


「なんだ?急に態度が変わったじゃないか」
近藤の案内によってどんどん薄暗い廊下を進むユート
先程空気の鎧エアバッグを使ってから急に新選組の人達の態度が急変した事が気になり聞くことにした

「ユウ様が先程使ったのは異国ではなんて呼ばれてるのかは知りませんが…このパルテノン皇国では神の御業ゴッドノーツと呼ばれる…言わば奇跡を使ったのです」
「そして…神の御業ゴッドノーツが使える者はこの国の長…即ち殿になって頂くのです」

近藤の説明にユートは踊らきを隠せなかった
つまりこの国では魔法を使える者がいないという事なのだ

いわゆる剣と魔法の世界に来たユートにとって魔法が使えない国というとは異常であると感じてしまったのだ

「ちょっと待て、さっき山崎って奴が遺伝粒子アーツってのを使ってたじゃないか」
ユートが見た限りだとあれも一種の魔法だと思ったのだ

「……遺伝粒子アーツとは我らの御先祖様達が最も得意とした技術を受け継ぎ発揮するものです…神の御業ゴッドノーツは選ばれし者にしか使えないのです」
近藤の説明が終えたとほぼ同時に暗い廊下に一筋の光が差し込んでくる

目の前の暗闇が晴れたと同時にユートは驚きの光景を目にした

青々とした美しい畳と襖
飾られている掛け軸には目を奪われついつい手が伸びてしまう程の美学が詰められ
窓から見える景色はパルテノン皇国を一望し人がまるにゴミのように見えた

「これは…あのでかい城の中か?」
ユートがそう言うとどこからともなく二人の女が現れ服を剥がされた

「なっ!何しやがる!」
ユートは服を取り戻そうとすると今度はまた別の二人が出てきて何か大きな着物を着せられる

「随分と豪華な着物だな…まるで時代劇の殿様が着てるみたいな…」
ユートはそこまで言ってようやく気がついた

「俺…殿様になるのか?」
ユートがそう言うと近藤は静かに頷く

「冗談じゃない!そもそもこの国には既に殿様とやらはいるはずだろ?『皇国』って言うもんだから」
近藤はその言葉を聞かれた瞬間に苦虫を噛み潰したようなしかめっ面となり下を俯く

「実は…この国には元々三姉妹の『巫女』と呼ばれる者がいました」
「巫女様達は全員が神の御業ゴッドノーツを使い永きにわたってこの国を支えてきていました…しかし…十年前長女と三女の『蘭華らんか様』と『蓮華れんか様』が何者かによって殺され遺体も持ってかれてしまい今は次女の『梨華りんか様』がこの国の全てを動かしております」

「十年前ねぇ…」
ユートは薄々と何かを察し始めたが勘違いだと自己完結させ何も言わなかった


そんなやりとりをしていると誰かが一歩一歩強い足取りで何者かが近づいてくる
その足音から察するに激昴しているようだ

「近藤!神の御業ゴッドノーツを使える者が現れたって本当なんでしょうね!もし嘘だったら今度こそ切腹させるわよ!」
襖を強く蹴り飛ばし大胆に入室してきた
可憐な着物に身を包んでいるが内面は乙女って訳ではないのだろう

「はい梨華様…この男が神の御業ゴッドノーツを扱う者です」
近藤は深くお辞儀をしたあとにユートを指す

「へぇ~…この男が…」
そう言うと梨華は突然ユートと唇と唇を合わせてきた
これはいわゆるキスと呼ばれる行為である

数分の間、梨華に体を預けそのまま行為を続けていたら梨華の顔が赤くなり離れる

「なっ!なぜそのまま続けるのだ!普通こんな事をされたら止めさせるだろう!」
梨華は肩で呼吸をしながらユートに対して声を荒らげる

「いや…別に…抵抗する必要も無いと思ったからな…何かしてきたら対処すれば良いしな」
「それに…女に恥をかかせる訳にはいかないしな」
ユートがそう言うと梨華は少し俯き考え事をすると急にユートの手を取り迫ってきた

「合格だ!これからよろしく頼むぞ」
梨華はそう言った後すぐに部屋を出ていった

「それではユウ様…この後、結婚式を行うのですぐに準備を」
近藤はそう言って先程来た道を引き返そうとする

「いや!結婚式ってなんの事だ!」
ユートは静止させようとするが近藤は止まらずそのまま行ってしまった

「一体どうなってやがる…」
ユートがそう呟くと梨華が帰って来て耳元で一言ささや

「先に言っておくが俺は男だ…勘違いするなよ…」
梨華はそう囁いた後またどこかへ行ってしまった

「さっき近藤は三姉妹って言ってたよな…まぁ深く追求しない方が良さそうだ」
ユートはこの状況については…考えるのをやめたのであった

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