異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

密猟者とカウントダウン

「大丈夫ですか!怪我はないですか?」
優翔よりも先に現場に駆けつけた玲華は倒れている先程の声の主と思わしき女の人を発見する

「く…クマが…急にその岩の陰から…」
その女の人は手に護身用だろうかライフルを所持している

「ここで待っててクマなら余裕よ」
玲華は女が言っていた岩の陰を見に行き、刀を構えて覗くがそこには何もいなかった

「何もいないわよ、クマもどこかへ行ったみたいね」
玲華がそう言いながら後ろを振り返ると女が銃口を玲華に向けていた

「余計な抵抗はしないでね…私も余計な殺生は好まないわ」
女がそう言うと近くの茂みから大柄な男が二人現れる

「この女がこの山の所有者か」
「中々いい身体してるじゃねぇか…」
男二人は玲華の身体をいやらしく触る

「あなた達の要求は何…この山になんの用よ」
玲華は両手を上に挙げたまま三人に質問する

「この山にいる鹿やら何やらは随分と上質な物が多いらしいじゃねぇか… という訳でその鹿やら猪やらを全部狩らせてもらうぜって話さ」
黒人の男は玲華を触る手を止めずに質問を返す
決して秘部には触れず焦らす様に触る手つきに玲華はイラつきすら覚えていた

「いわゆる密猟者って奴等かしら?なら遠慮する事は無いわね」
玲華は白人の男が女の銃口の前に来た時に白人の男を蹴り飛ばし後ろの女ごと吹き飛ばす

「テメェ…調子に…」
黒人の男のあごを蹴り上げ、後ろの茂みに頭を突っ込ませる

「あなた達は警察に引き取ってもらうわ…早く戻らなくちゃ」
玲華は道場の方へ戻ろうとした時に背後から近づいてくる殺気に気付くが一瞬遅く後頭部を思いっきり強打する

「この女…いい気になりやがって…おいボブ大丈夫か」
白人の男が拳銃のグリップの部分で殴りかかったようだ

「決めたぜ…お前は俺達が使い回した後に人売に売っぱらってやる」
黒人の男は蹴られたあごを手で抑えながら茂みから出てくる

「それじゃあ先ずは俺からヤらせてもらうぜ、良いだろマイク」
黒人の男はズボンのベルトとチャックを降ろし始める

「それじゃあ…楽しい夜にしようぜ」
黒人の男が玲華の身体に触れた瞬間下半身の息子の違和感に気付き見てみると…見慣れたはずの息子と姿は無く血が溢れてきていた

「何やろうとしてんたよ…いやナニをやろうとしてたのか」
「人の試合を邪魔しといてこれは無いと思ったからな…迷惑料としてお前の切り落としたけど…きったねぇから返すよ」
優翔はレジ袋に入った黒人の息子をおもむろに投げ捨てる

「ガキが…大人に刃向かってるんじゃねぇ!」
白人の男が優翔に向かって拳銃を向ける

「おっとと…子どもに銃口向けるなんて…俺はまだ幼気いたいけな13歳の中学一年生だぜ?」
優翔はそう言いながら岩の陰に隠れる

「何が幼気いたいけだよ、ボブの息子ジュニア切り落としやがって…テメェの息子ジュニアも切り落としてやるぜ」
白人の男は右手に銃を左手にサバイバルナイフを構えて優翔が隠れた岩に近づく

「お前の息子ジュニアに別れを告げな!」
白人の男はそう言いながら岩の上に飛び乗り銃を発砲するが優翔の姿はどこにも無かった

「いつまでも同じ場所に留まってるアホがいる訳ねぇだろ」
優翔は持っている拳銃で白人の男の右手を撃って銃を落とさせる

「そこのボブって奴から借りたんだが…借りた物はちゃんと返さないとな」
優翔は息子を切り落とされて悶絶している黒人の前に立つ

「これは…S.S.A.シングルアクション・アーミーか…随分と物好きだな…まぁ今は関係ないか」
優翔は弾をを5発抜いて黒人の男の口の中に突っ込む

「この銃の装弾数は6発…そして今5発抜いた…後は解るな?」
優翔はそのままトリガーに指をのせる

「それはテレビでよく見る回転式拳銃じゃねぇんだぞ…ロシアンルーレットなんて出来ねぇんだぞ?」
「そのまま引き金を引いたら100%確実に弾が出るんだ」

「このまま撃ち抜いたらお前は人殺しになるんだぞ…たかがガキにそんな大それたこと出来るはずがねぇ…」
黒人の男は虚勢を張るが優翔の目を見るとスグに解った
優翔の目は真剣…そのまま撃ち抜く目をしていた

「人殺し?いいかよく聞けよ?…バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」
優翔がそう言った瞬間にトリガーが引かれる

「や…ヤメテクレェェェェ!」
黒人の男は涙が溢れてきて粗相をし今までの走馬灯が駆け巡った

「バァァァァァァァン!!!…って本気で撃つ訳ねぇだろっての」
優翔は小さく舌を出し拳銃を気絶した黒人の男に投げ捨てる

「ガキが油断したな」
白人の男が優翔の後頭部に銃口を突きつける

「お前もな…俺に注意を向けたる隙に動き出す奴がいるだろうが」
優翔がそういった直後に白人の男は脚をかけられ転ぶ

その後体の上にまたがられ身動きが取れなくなる

「こいつ…ジェシー何やって…」
白人の男が玲華の見張りをしていた女を見るととっくに気絶させられていた

「あなたも覚悟を決めなさい」
玲華の拳が白人の男の顔面に直撃する
白人の男は前歯がボロボロに折れ、鼻もひん曲がっている

「優翔君、怪我はない?」
玲華は立ち上がり砂を払った後に優翔に駆け寄る

「お前も大丈夫か?にしてもナイスタイミングだったぜ」
優翔はそう言いながら感服していると玲華は拳を突き出す

「やらないの?私達の間にそんなに信頼関係はないって事ね…しくしく」
玲華はわざとらしく泣き真似をする

「解った!解ったから!ほらよ」
優翔はしぶしぶ拳を突き出す

すると玲華は腰の不知火を鞘に入れた状態で優しく優翔の拳に当てる

「はい、一撃いれたから私の勝ちね」
玲華はそのままクスクスと笑いながら道場の方へ歩いていった

「……ハッ!騙されたァァァァァァァァァ!!」
その優翔の叫びは山の隅々まで駆け巡ったのだった




この勝負をきっかけに佐藤優翔と金剛玲華の運命の歯車は噛み合わさっていく
別れの時までのカウントダウンは音を立てて動き始めたのだった

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品