異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

新たな住まいに夜桜を

「ユート殿はやはり帰ってこないか…まぁ二三日掛かるかもと言っていたしな…仕方ないか…」
イリーナは用意していた晩御飯を片付け始める

「ユート大丈夫かな…心配…」
アルカは窓枠に座り月を見上げる

「大丈夫っすよ、ユート様は最強ですから…不意を突かれたらたまにテンパるっすけどね」
ドーラは自分のハンマーを磨きながらアルカを励ます

「心配してくれるのはありがたいが…それでセンチになってたら今後が心配だな」
俺はベッドの上で寝そべりながらあくびをする

「ユート様、そうは言っても心配な物はしょうがないっすよ…あれ?」
「ユート殿、心配するのは当然だ…私達は夫婦なのだからな…ん?」
ドーラとイリーナの作業する手が止まる

「ユート!」
アルカが窓枠から飛び降り俺にダイブする

「ユート殿!何時帰っていたのだ!」
イリーナは俺に詰め寄る

「ついさっきだ、いや~…帰ってきたら何か空気がどよんでるからずっと聞いてたが…余計なお世話だったみたいだな」
ユートはアルカの頭を撫で回す
セットしてた髪が崩れ、くしゃくしゃになる

「それじゃあクエストは終わったみたいっすね」
ドーラはハンマーを持ち上げ近づいてくる
ちょっと待って!この構図は俺ぶっ潰されるみたいだからとりあえずハンマーを下ろしてくれ!



俺達は宿をチェックアウトして転移ワープを使い館に向かう

「なぁユート殿…本当にこれに住むのか?」
まぁ外観には全く手を入れてないからな、変わった所と言えば窓が全部新品の様になってる位か?

「お~い!クローノ出てこい」
俺は館に待機させておいたクローノを呼び出す
仮に俺がアルカ達の元に帰ってた時にモンスターが侵入するかもしれないから置いていった

「主様、昨日の夜は退屈じゃったぞ?」
クローノは三階の窓から元気よく飛んできて俺の頭の上に定着する

「ふぅ~…やはり主様のここは安らぐのぅ」
クローノが寛いだいると

「わぁぁ!可愛いのです!ユート、この娘は何ですか?」
アルカは興味津々な目でクローノを見る

「確か主は…主様の伴侶の1人のアルカじゃったかのぅ、儂はクローノ、元は時計の精霊じゃよろしくなのじゃ」
クローノは気だるそうにアルカと握手を交わす

「ドーラが来ないのは珍しいな、何時もなら「凄いっす!未知の存在っす!」って飛びついてくると思ったんだがな」
まぁ流石にドーラも大人になったという訳か…

「そそ…そうっすよ、そんな事しようとなんて思ってないっすよ」
なんか声が震えてるぞドーラ、あれか…タイミングを逃したって事か

「それじゃあクローノ、中を案内してやれ」
「お前らはクローノの案内が終わったら庭に出てくれ、見せたい物がある」
俺はそう言い残して転移ワープで消えた

「それじゃあ、まずは玄関からじゃな」
クローノを先導に三人は館の中へと入っていった


「あぁそうじゃ、主らはちゃんと靴を脱ぐのじゃ」
三人はそのまま上がろうとしたのでクローノは指摘する

「え?家の中で靴を脱ぐのか?」
イリーナは困惑している、家の中で靴を脱ぐ風習が無いのなら驚くのは当然だろうな

「妾も最初聞いた時は驚いたが『ワノココロ』と言うらしいのじゃ」
三人は家の中を裸足で歩くという初めての体験に困惑しながらも廊下を進む

しばらく進むと広い場所に出た
そこから二階三階へと進む事が出来る

「一階は主に客人が来た時に対応する為じゃと主様は言っていたのじゃ」
「館にある部屋は妾が把握しているだけでも部屋以上あるからの、好きに使えば良いと言っておったぞ」
「このまま廊下を突き進めば大きな図書室に行けるのじゃ、他にも色々とあるがそれは住んでいけば解るじゃろう」
「それじゃあ庭へ行くにはこっちじゃ、ついてくるのじゃ」
クローノはふわふわと漂いながら先導する

「クローノ様、もしかして疲れてるんすか?少し休んだ方が良いっすよ」
ドーラはそんなクローノの様子を心配してかクローノに近づき頭の上に乗せる

「おお、すまんのドーラ…では言葉に甘えてこのまま行くとするかの」
クローノは顔から水蒸気が吹き上げるか様な音を上げながら眠りについてしまった

「寝ちゃいましたね…どうしましょう、この後どっちに行けば良いのやら」
アルカはあわあわと右往左往する

「大丈夫だ、聞いた事がある、迷路は右側に付いていけば必ずゴールに辿り着くと」

「そうなんですか!それじゃあちょっと見てきますね」
アルカは双剣デュアルパラリシスのスキルである『軽量化』と『俊敏スピード強化』を発動させると、アルカの姿が一瞬で消える

数分後、アルカが帰ってきた
「全然辿り着かないですよ!館内を一周してしまいました!」
アルカは物凄い勢いで敬礼をする

「その方法はスタート地点とゴールの壁がちゃんと繋がってる場合に限るんだ、覚えておきな」
目の前からユートが歩いてきた

「だが…庭に出れる扉すぐそこだぞ?」
ユートは後ろを振り向きながら指を指した先に開いた扉が見える
その先に細かくは見えないが外の明かりが見える

「それじゃあ付いてこい」
俺を先導に三人は庭に出る


三人を出迎えたの大きくて立派な桜の木であった
月の光を背にした桜は正に美の象徴と言えるだろう
その桜の木の下に傘と縁台が置いてある

「綺麗な夜桜を見ながらの酒は最高らしいぜ?」
俺は無限収納アイテムボックスからリョフからくすねておいた酒を取り出す

「私達は妊娠している身だぞ…酒はダメだ」
イリーナ達は丁重に断る

「そう言えばそうだったな…それじゃあ酒はまた今度にして…少しの間この桜を見ていようぜ」
俺達四人+一匹は縁台に座り桜を鑑賞するのであった

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