異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

女の色気と急いた結論

転移した先はユースティア王国であった

「ここがユースティア王国か、カリスともヴィクトリアとも街並みは全然違うな」
ガモウが辺りをキョロキョロしている

「それじゃあイリーナ、変化魔法で適当な人に変化してくれ」

「了解だ」
イリーナはちょうど目の前を横切ったカップルの女性に変化する

「じゃあ俺はあのカップルの男に変化するか、そっちの方が都合が良さそうだ」
そう言って変化した俺はイリーナの手を握る

「なっ…ユート殿、なぜ手を…」
イリーナは顔を赤くして困惑しながら俺の手を離す

「ん?だって俺らはカップルなんだろ?もしこいつらを知ってる奴にすれ違っても違和感を与えない様にな」
そう言われてイリーナは恐る恐る手を握る

「……大きくて男らしいな」

「ん?なにか言ったか?」

「いや!何でもないぞ!」
イリーナはそっぽを向く

今更なんでこんなに恥ずかしがってるんだ?
結婚するとか自分から言ってたのに

「それでユート殿、ここから俺は何をすれば良いんだ?」
ガモウが何やら不機嫌そうに質問する
なんでこいつ怒ってるんだ?
まぁいっか

「あぁ、お前とリーザスはカリス国から同盟を結びに来たっていう体で城を訪ねてくれ、そこから後は俺がやる」
ガモウはなんとも言えない顔をしている

「それじゃあ、よろしく、俺とイリーナはお前らの事が済むまでそこら辺で時間つぶしとくよ」
「行くぞイリーナ」

「あ…あぁ……」
俺とイリーナはそのまま人混みの中へ消えていった




ーリーザス&ガモウ視点ー

「ユートさんったら!私のイリーナを独り占めにしてずるいわ!」
私は今とても不機嫌です

「リーザス様、人目がある、もう少し節度ある行動を」
ガモウは私の後ろを歩いている

「ねぇガモウ、あなたは私のなに?」

「なにだと?」 

「ガモウはカリス国の王なわけよね?そして私は王女でしょ?なら私達は夫婦って事かしら?」
私はガモウの方へ振り返る

「………表面上はそうなんだろうな、だが…俺はお前に魅力を感じない」
ガモウは私の前を横切る

「……」
私はその言葉の真意が解らず首を傾げるが考えるのをやめた



そして、ユースティア王国王城に到着した

「ねぇ門番さん、この国の王様にこう伝えてくれる」
「『カリス国から使者が来たから早く入れて』ってね」
私がそう言いながら門番の鼻を小突く

「はっ、少々お待ちを」
門番は動揺も一切せずに城の中へ入っていった

「……ねぇガモウ…私ってそんなに色気って奴がないのかしら…」
そう言いながら私は自分の胸を撫でる
確かにイリーナみたいに出てはないけど…私だって女の色気が少しくらい…

「…いや、別に普通だと思うが」
ガモウは門番の心の底を見透かしていた
実はあの門番は内心舞い上がっていただろう
しかし、感情を外に出さないのが仕事なんだ仕方ない

そんな事をしている間に城の中から一人の老人が出てきた

「私はこの国の右大臣の勤めております、『ヒューイ』と申します、カリスの使者よ、こちらへ」
老人は二人を城の中へ誘う


誘われた先は小さな個室であった
「では…こちらでもうしばらくお待ちくだされ」
ヒューイは部屋を出ていった

「私達ってあまり歓迎されてないのかしら?」

「俺には解りかねるが…まぁようこそって感じでは無いな」

扉が開く
中に入ってきたのは先程のヒューイとは年齢は同じ位なのだろう
しかし、その肉体は鍛え上げられている

「私がユースティア王国国王『ディオニス・オブ・ユースティア』である」
ディオニスは軽く一礼する

「どうした?私が挨拶をしたのに主らは自らの身分を言わんのか?」
このディオニスって男…私達の正体を見抜いているのかしら

私は立ち上がり一礼する
「カリス国王女『リーザス・レイ・カリス』です」

ガモウも立ち上がり一礼する
「カリス国王『ガモウ・オブ・カリス』だ」

「ふむ…まさかとは思ったが…やはりただの使者では無かったなぁ」
ディオニスはニヤニヤと笑いながら髭を撫で下ろす

「それで?カリス王夫妻がわざわざ使者と偽ってまで来た理由を教えてもらおう」

「私達カリス国は、ユースティア王国と同盟を結びに来ました」
私はディオニスの問に即答する

「ほぅ…それで?その同盟によって私の国のメリットはなんだ?金か?金なら腐るほどあるぞ?」

私は答えられなかった
……そう言えばそこまで考えてなかった

私が困っていると

「俺達カリス国がユースティア王国と同盟を組む理由は商業的な理由ではない」
ガモウがディオニスの問に答える

「ほぅ…では同盟を組む理由とはなんだ?」

「ある男とそのパーティの指名手配を無くすためだ」
ガモウは答える
その答えに私とディオニスは目を見開いた

「……いったい誰の事だ?」
ディオニスは笑いをこらえながらガモウに質問をする

「その男は冒険者だ、そしてカリス国を救った英雄であり、我が妻を救ってくれた英雄だ」
ガモウがそう言うとディオニスは少し考えた後、一人の男の名前を口にする

「……その冒険者とは、ユートという名前ではないか?」
ディオニスがユートの名前を言った瞬間、扉が開く

「ガモウ、結論を急ぎ過ぎだ、流石に同盟の理由がそれだと断られるに決まってるだろうが」
ユートであった

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