二人の突進と作戦の確認

一通りの魔法の試運転を終えた頃には辺りもすっかり暗くなっていた

｢おーい！アルカ！ドーラ！そろそろ帰るぞー！｣
俺がアルカとドーラに向けて声をかける

すると、アルカとドーラが俺に向かって一直線に突進してくる
速さは少しドーラの方が劣ってるかな……まぁ何にせよ、躱したらイリーナに当たってしまうな

俺は試運転時にたまたまできた魔法を使う事にした
『根強い根ハードプラント』
土属性魔法の応用魔法で自らの足の裏から根を生やすという魔法

これで大抵の事は凌げるな

ｺﾞｽｯ
人が突進して当たった音じゃねぇぞこれは……
俺でも少し朝食に食べたパンを吐きそうになった

｢ユート様聞いてくださいっす！ドーラは凄いレベルアップしたっす！たかがゴブリンを狩っていただけっすのに！｣
｢ユート！私も頑張ってレベル上げしたのですよ！｣
ん？そうなのか？少し覗いてみるかな

『ー鑑定眼ステータスチェックー』

［名前］ アルカナ・ルーズベルト
［種族］ 獣人族ー猫型ー
［レベル］ 218

［MP］12/653
［攻撃力アタック］ 1892
［防御力ガード］ 513
［俊敏スピード］ 32190
［運ラック］ －419

［称号］
没落貴族 
天に見放された者
小鬼を狩りし者ゴブリンスレイヤー

［魔法］ 
火の魔術IV
変化魔法Ⅴ
［スキル］ 
潜伏 
運命の悪戯チャイルドプレイ
魔法効果付与エンチャント



［名前］ ドーラ
［種族］ ドワーフ族
［レベル］ 216

［MP］ 8/154
［攻撃力アタック］ 85630
［防御力ガード］ 512
［俊敏スピード］ 1240
［運ラック］ 413

［称号］
神器を創造せし者
小鬼を狩る者ゴブリンスレイヤー
多重人格者マルチハート

［魔法］
火属性魔法Ⅲ
水属性魔法Ⅱ
土属性魔法IV
［スキル］
神器造り［済］
魔法効果付与エンチャント



ドーラの元のステータスは見てなかったから解らないが…
アルカの上昇率が少し高いな
特に俊敏スピードの値の成長が凄い

これも俺のスキル『成長倍加レベルアッパー』の効果か……


｢そうだな、すごい成長だ｣
俺が二人の頭を撫でる
ふむ……髪の質感は最高だな………

｢それじゃあ宿に戻るか、みんな俺に捕まっとけよ｣
全員が俺の体に触れた事を確認した後『転移ワープ』を発動させ宿に戻る



そんな日々を二,三日過ごした時にギルドから宿に手紙が届いた
いや、正確には王城からかな



『冒険者ユート御一行様』
明日の正午に王城にて此度のクエスト報酬授与式を行う
多くの貴族も参列する為、それ相応の服装を用意する様に



｢簡素な物だな、まぁ長々と文章を並べられるよりもマシだけどな｣
俺が手紙を手の中で丸め『揺らめく炎フレイム』で燃やす

｢それじゃあ作戦を改めて確認するぞ｣

まず最初に俺とアルカとドーラで式には参加する
俺とアルカとドーラでなんとか時間を稼いで、その間にイリーナに『潜伏』スキルを使ってもらって王城を隅々まで探してもらう
そこでリーザスを見つけたとしても、まだ救出はするなよ
たとえどんな状態であってもだ
そして、その後に俺がなんとかリーザスを救ってやる

｢以上だ、単純にして明快な作戦だろ？｣
俺が得意げに鼻を高くして言う

｢いつ聞いても穴だらけな作戦だな、まぁそれが妥当なのだろうな｣
イリーナは少しため息混じりに呟く

｢リーザスさんを助けるっす！｣
ドーラは立ち上がり拳を天高く挙げる

｢それじゃあ明日に備えて準備をしましょうか｣
アルカが立ち上がり部屋を出る

｢アルカ様！ドーラも行くっす！｣
ドーラはアルカの後に続いて部屋を出る

｢それじゃあ私も……｣
イリーナも立ち上がり部屋を出ようとした時

｢イリーナちょっと話がある｣

｢何だ？まだ何かあるのか？｣ 
イリーナが部屋の扉から手を離し俺の方へ振り返る

｢お前にだけ特別な任務を授けるからよく聞いてくれよ｣



｢やれやれ……それでユート殿は大丈夫なのか？｣

｢俺なら大丈夫だ、お前やアルカ達を悲しませる様な真似はしないさ｣

｢解った、気をつけるんだぞユート殿｣

その後、街に出て準備を済ませ明日へ備えて俺達は早めの睡眠を取る事にしたのであった



さぁ……作戦開始だ