クリア報告とあの日の記憶

ヴィクトリア王国王都に着いた俺達はまずギルドへ行きフェーリに骸の王リッチー討伐の旨を伝えた

｢おかえりなさぁい、ミルシィ迷惑はかけなかったかなぁ？｣
フェーリがまるで自分の子どもに質問するかの様にミルシィに話しかける

｢はい、フェーリ様のご命令ですからたとえ男ウジムシとの共同討伐でも大丈夫でした｣
ミルシィはほとんど…いや何もしてなかった様な……

｢フェーリ様実はある報告が｣
｢ん？なにかしらぁ？｣

｢本来、骸の王リッチーは骸骨の見た目をしていますが今回討伐した骸の王リッチーは…人の形をしておりました｣
｢………そぅ…骸の王リッチーが変化魔法をねぇ｣
フェーリとミルシィが何か暗い顔をしている

｢ん？骸の王リッチーが変化魔法を使うと何か問題でもあるのか？｣
俺はその理由が解らずフェーリに聞く

｢変化魔法というのはねぇ『亜人族』や『魔族』などが基本的に使う魔法をなのよぉ、それ以外の種族が変化魔法を使う必要はないからねぇ｣
｢ん？魔族が使えるなら骸の王リッチーも使えるんじゃかいのか？｣

｢そうなんだけどねぇ……それじゃあなんで魔族とかが変化魔法を使うか解るかしらぁ？｣
｢人間の国に紛れて生活する為……あぁそういう事か｣
｢そぉ…骸の王リッチーが変化魔法を使う必要はないのよぉ、なのにそれを使っていたという事は私達の国に紛れて何かを企んでいると言うことなのよねぇ｣
そう言えばあいつ『計画』とかなんとか言ってたな

｢まぁその問題は私がなんとかしておくわぁ、皆様お疲れ様ぁ｣
そう言うとフェーリが目をこする

｢それじゃあ後の事務処理はミルシィ、よろしくぅ……｣
そう言い残しフェーリは深い眠りに堕ちた

こいつは一日のほとんどを睡眠に費やしてるのだろうか

｢それでは報酬はまた後ほどユースティア王国のギルドに送っておきますのでそちらで受け取ってください｣
｢あ、あとこの部屋はしばらくお貸ししますねどうやら何か話される様ですし…終わったら入口にいる受付嬢に言っておいてください｣
ミルシィはそう言うとフェーリを担ぎ部屋から出ていった



｢それじゃあラウラ、話してもらおうか骸の王リッチーが言ってた『影武者』とか『姫』とかについてな｣

｢………解ったわ、その事を話す前にまずは改めて自己紹介をするわね｣
そう言うとラウラは『変化解除リリース』を唱える
すると金髪のショートだった髪が腰辺りまで伸び
目の色がエメラルド色から黒くなり
少し主張が少なかった胸も豊満な双丘へと変わった
そして一番の変化はと耳が尖り始めた事だ
いわゆるエルフ耳という物に……

｢私の本当の名前は『イリーナ』という…そして私は…『ハーフエルフ』なんだ……｣
｢今まで騙していて悪かったなユート殿｣
口調まで変えていたのか

｢それでは話そうか……私が住んでいた国…『カリス』で起きたあの出来事を……｣

イリーナは語り始める
自らが生まれ育った国の記憶とある日起きた事件の事を