ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし

ノベルバユーザー173744

47……王族限定のパーティー

 リティは貴族のパーティーに出席して欲しいと招待状を貰ったらしいが、そのうち半分以上を即伯父のリスティルと従兄弟のティフィ、父と兄に処分された。
 そして、その次に母や従姉妹達にも次々に避けられ、残ったのは10通も満たなかった。

「どうしてですか?」

 あまり出るのも辛いなぁと思っていたリティは、ホッとしつつ問いかけると、

「日付の調整だよ。だって、リティは伯父様の姪でしょ?伯父様や琥珀ちゃん、それにクシュナやリティのお家で行われるパーティーに出席するでしょう?」
「お家でもあるのですか?」
「何回かあるが、パパとママは出ても、リティは出なくていいものが多い。どうせ、リティを紹介しろだの見合いをしてくれと言うに決まっている。でも二回は出て貰うことになる。それは隣国から王配殿下……リティの従兄弟のクリストファーがくる時と、リールの使者が来る時だな」
「お兄様ですか?」

目をキラキラさせる。



 実はリティは、一回クリストファーを見た……と言うより助けて貰ったことがある。
 その時、実はまだ10歳でラミー子爵領に行っていたのだが、不眠で馬を走らせていて落馬、そのまま気絶していたのである。
 すると、体を揺すられ、

「いたっ!」

と呻きながら目を覚ますと、金髪で緑の瞳、顔立ちは父、ミューゼリックに良く似た青年が心配そうに覗き込んでいた。

「大丈夫か?近くを走っていたのだが、一頭の馬が馬車の前に立って、動こうとしなかった。気になって声をかけたらここまで……」
「あ、も、申し訳ございません!」

 身を起こそうとして呻く。

「怪我をしているのか?」
「申し訳ございません……緊急に領地に向かわなければと、眠らずに走らせておりまして、落ちてしまいました。で、でも、折れたりはしておりません!打ち身だと思います!それよりも、私の馬が、貴方様の馬車の前に……ほ、本当に申し訳ございません!馬は悪くありません!全て、私が……」

 身を起こそうとする当時はマリアに、青年は、

「休んでいるといい。すぐに手当をさせる。それにしても……この周りは君が集めたのか?」
「えっ?」

周囲を見回すと、二頭の愛馬以外にも、様々な生き物が様子を見にきている。

「あ、時々遊びに来るんです。お友達です」
「それが凄い。警戒心の強いシルバーフォックスも来ている。君は余程獣達に愛されているんだな」

 手当をして貰った……ちなみに打ち身と擦り傷で済んだのは奇跡と医師に感心された……後、ラミー子爵領よりも近い、ラーシェフ公爵家に馬車に乗せて貰い、数日休ませて貰った。
 その日から数日熱を出したマリアは、熱が下がり、元気になった時には、助けてくれた青年がもうここにはおらず、お礼もきちんと言えなかったとうなだれた。
 すると、看病してくれていたメイド達が、隣国の王配殿下だと教えてくれたのだった。
 その後、ちょうど邸にいなかったラーシェフ公爵一家にお礼は言えなかったものの、家令やメイドに何度もお礼を言い、まだ少し痛むものの領地に向かったのだった。



「リティは、クリストファー兄さん大好きなんだね」

 デュアンの問いかけに、

「あ、実は、クリストファーお兄様にお会いしたことがあるのです。お礼を言わないとなのです」
「えっ?会ったことがある?」
「はい、4年前です。子爵領に緊急に向かうことになって、不眠不休で二頭の馬に交代で乗って走っていたのですが、一瞬気を抜いたようで、落馬して……馬のうち一頭が、丁度走っていた馬車の前に立って……クリストファーお兄様が、馬車を降りて私の倒れているところに。丁度医師の方もいらっしゃって、手当をして、そして、ラミー子爵領よりも近いからとラーシェフ公爵邸に連れて行って下さったんです。数日私は熱を出して、お屋敷に滞在させて頂いたのです。熱も下がり、大丈夫とお礼を申し上げないとと思ったのですが、もう出立されていて、クシュナお兄ちゃんや、お姉さまもいらっしゃらなかったので、家令の方と、看病をして下さった方にお礼をお伝えして帰りました」
「落馬ぁぁ!」

ミューゼリックは叫ぶ。
 過去とは言え、可愛い娘の怪我に叫ぶしかない。
 リスティルは聞いていたのか、

「そう言えばクリスがびっくりしてたよ。馬が馬車の前に立っていて、必死にこっちって言う感じで首を動かすんだって。で、その馬を追いかけて行ったら、もう一頭の馬と大小様々な生き物が集まってて……特にびっくりしたのはシルバーフォックス。あれってもうほとんど森から出てこないでしょ?この僕だってこの歳で数回だよ?なのに様子を伺ってたって」
「えっ?伯父様……シルバーフォックスってラミー子爵領……あ、ラミー伯爵領にいつもいますよ?森に行くと子供を連れた母親とか……」
「いやいや……」

近衛として傍についていたクレスールが首を振る。

「父上……も、リティと一緒の時に会っただけだって!母上もそうって言ってた」

 サーシアスとイーフェはお嬢様と散歩と言うか領地巡りをする時に、森の近くに行くと必ず会ったのだと言っていた。
 しかし、1人で行くと全く会わず、リティを待っているのだと話していたらしい。

「それに、リティは筆頭公爵家の娘。公爵、侯爵家のパーティーなら構わないけど、それ以外のパーティーは、ラミー伯爵家でのパーティー以外認められない。ラミー伯爵に紹介されて養女になったのだから、前の父、義父はラミー伯爵のサーシアス卿。サーシアス卿は今年爵位を上げられ、お礼のパーティを行うからね」
「じいやとばあやに会えます。それに、お姉さま達にも」
「これ以上口を挟むならと絞めてもいいんだけど……ウザいのがいるんだ……」

 リスティルがぼやく。

「リティと息子を見合いさせたいってさ……あの、腹黒!」
「腹黒?」
「リティ、覚えなくていいよ?ネグロス侯爵だよ。リティよりも5歳上の息子がいて、彼の嫁にだって」
「侯爵の息子は温厚でいい奴なのに……」

 クレスールもぼやく。
 19になる青年は優秀な成績を修め、シェールドに留学した。
 騎士としてはそれ程だったが、術を修め、シェールドでも滅多にいないドーエンと言う位についている。
 ドーエンは、最高位のルーディンのすぐ下で、ルーディンは現在約10人いるかいないか、ドーエンは同じ地位にいるのがマルムスティーン侯爵家から嫁いだ王妃ルエンディードなど、こちらも30人前後のエリートである。
 彼、マクシムは、剣はそこそこだが特に防御術、捜索術に優れていた為、近衛に入隊した。
 謙虚で温厚だが、権力を行使する父を毛嫌いし、実は近衛の寮で生活している。

「まぁ、年は近いが……」

 ミューゼリックはちらっと見ると、ふーふーと毛を逆だてるセリがいる。

「まぁ、仕方ない。出るから、リティはパパ達から離れないようにな?」
「はい!」
「で、二回のパーティは、エスコートはセリに頼むことになる。一応というか、公には兄貴やティフィは出席してないことになるから」
「解りました」

 セリは頷く。

「で、ラーシェフ公爵家のパーティは、一回はこちらで、もう一回は領地で行われる。領地でのパーティにはデュアンも行って構わないから……デュアン。ナムグは良いが、他のペットは禁止だ!」
「えぇぇ〜!」
「毎年毎年、どれだけ連れて行くんだ!クシュナに迷惑だろう」
「くぅぅ……」
「それと、クレスール」

 名前を呼ばれ、近づく。
 渡されたのは数通の封筒。

「ご両親とお前と奥方宛にクシュナから招待状だ。領地でのパーティの方だ。子供達も是非連れてきてくれだと」
「えぇぇ!ラーシェフ公爵領でのパーティは、別名『王家のパーティ』とも呼ばれてて、私が行っても良いんですか?」
「お前だから来いだそうだ」
「うわぁ……嫁のドレス……」
「と言うと思って、私が揃えておいたわ」

 敬いなさい!

と言いたげに笑うローズ様に、

「俺の貯めていたお金を!」
「いるかって言いますのよ!おほほ。私の家がどこか忘れたのかしら?私には、レディを着飾る使命がありますのよ。それに、貴方にどのレベルのパーティにどのドレスコードがいいとか解りますの?」
「解りません……」
「でしょう?私がちゃんと揃えてあげているわ。お母様の分も」
「ありがとうございます!お礼は……」

言いかけたクレスールは最も大変なことを言い渡された。

「おほほ……幾つかの情報で手を打ちましょう。貴方が行くことになるネグロス侯爵のパーティ他で、情報を貰って来なさい。宜しくて?」
「……一番厳しい……!でも、ローズ様のドレスの数々を払いきれるお金はない!解りました!いい情報を仕入れて来ます!」
「……おい、ローズ様……うちの国の子爵を顎で使うなよ……」

 ミューゼリックは顔を引きつらせたのだった。

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