ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし
18……ラディエルとノエル
ダンスのレッスンをするリティたちとは別に、ラディエルは姉たちと共に執事に案内される。
庭にある東屋に向かうと、年齢未詳の父よりも年上に見える夫婦に、その娘らしい姉たちと同世代の女性と3人のラディエルと年の余り変わらない子供が遊んでいた。
「ラミー伯爵閣下、ご夫人、アレッザール子爵夫人。お客様にございます」
振り返った3人は、四人の客人に慌てて立ち上がる。
「申し訳ありません」
「いいえ、ラミー伯爵サーシアスさま、奥方のイーフェさま。アレッザール子爵夫人エリザベスさま。父が良く言っておりましたわ。本当に、先代のラミー子爵ルイス様と共に父や叔父を支えて頂き、ありがとうございます」
三姉妹は頭を下げるのを、ラディエルも真似る。
「初めてお目にかかります。マシェリナさま、ミシェリアさま、ナディアラさま、そしてラディエル王子殿下。私はラミー伯爵サーシアスと申します。妻のイーフェ、息子の嫁のエリザベス、孫のノエルとリラとベルと申します。ノエル、おいで」
「はい、おじいさま。初めてお目にかかります。アレッザール子爵長子ノエルと申します。年は9歳になりました。祖父や父のようにこの国の為、力を尽くす所存にございます。よろしくお願い致します」
丁寧な挨拶は優雅で、ラディエルですら驚く程である。
「まぁ、本当に素晴らしいわ、お父様に習ったのかしら?」
「はい!出来ることなら、父と同じように留学して、騎士になりたいと思っております」
「素敵ね。お母様やおじいさま、おばあさまも本当に誇りに思えるような騎士になれると思うわ」
「本当に。その日が来るのが楽しみですわね」
微笑む。
執事にメイドたちが東屋にクッションやティセットを整え、
「お嬢様、ラディエルさま、そして、皆さま。どうぞ」
「ありがとう、じいや」
「こちらのお菓子はとても美味しいもの、とても楽しみだったのよ」
「お嬢様方のお好きなお菓子を作らせて頂きましたわ。リティお嬢様も大好きなのですが、少食で、いつも残念がっておりますの」
メイドが苦笑する。
「あら、じゃぁ、手間はかかるかも知れないけれど、小さいサイズにして、種類を増やしてあげたらいいと思うわ」
「小さいサイズだと可愛いわよね」
「そうですわね。そうさせて頂きますわ。リティお嬢様がきっと喜んで下さいますわね」
嬉しそうに微笑む。
いつもなら穏やかな雰囲気はそのままで、もう少し固い印象だったのだが、ラディエルですら分かる程、雰囲気が変わっていた。
東屋のテーブルには沢山のお菓子が並ぶ。
そして軽食のサンドイッチに、大人の飲む紅茶に緑茶などやジュースも幾つも置かれている。
昔は、ジュースもこんなに種類はなかったような気がする。
それに、
「あれ?クッキーが可愛い形になってる」
ラディエルの声に、ノエルが、
「昨日、リティお姉ちゃんと一緒にクッキーを作ったんです。お花にお星さま、ハートマークにシェールドのパラプルに、翼の形の型抜きを料理をしているおじさんに見つけて貰って」
「リラ、大好きなお姉ちゃんのベリー味を作ったのです」
「ベルは、お花〜」
「楽しかったね?」
「〜〜っ!ぼ、僕だって!」
ムッとする弟の頭を撫で、
「今度、ノエル君たちと作りなさいね。ラディエル」
「あっ。お姉ちゃんはマカロンが大好きなんですよ。ラディエルさまも今度一緒に作りませんか?」
ノエルの声に、頰を膨らませ、
「作り方知らない……」
「お姉ちゃんや、厨房のおじさんやおばさんが教えてくれますよ。とっても楽しいです」
「ベルが粉を落としちゃったの。でも、おじさんたち怒らなかったです」
「うんしょ、うんしょってしてたの。で、ころーんしたの。ごめんなさいしたの」
子供たちが話す。
「でね?ミューおいちゃんが、抱っこしてくれて、イイコイイコしてくれたの」
「おじさんとおばさん大好き。デュアンお兄ちゃんも遊んでくれるのです」
「お姉ちゃんも手を繋いでくれるんだよね」
子供たちの言葉にニコニコと微笑む。
「今度、ピクニックに行くんです。ラディエルさまも行きませんか?」
「……まいらない」
「えっ?」
「だから、僕は、ラディ!ノエルよりも年下なんだから敬語もいらない。と、友達になってくれるなら、一緒に行く!」
ふんぞり返る弟をポンっと叩いた長女のマシェリナが、
「ごめんなさいね。ノエルくん。この子、私達と少し歳が離れていて、近い年の友達がいないのよ。なってあげてくれないかしら?リラちゃんもベルちゃんもお願いね」
頭を下げる国王の娘に、ノエルは慌てる。
「あ、あのっ、僕たちは……」
「僕がいいと言ったんだ。友達だ!」
「こらっ。ラディは、本当に誰に似たのかしら。お父様は無表情で、お母様は本当に大らかな人なのに」
ミシェリアはため息をつく。
「姉上。僕は将来、兄上の片腕になるんです。僕も、ノエルと一緒に留学する!」
「そんなに簡単なものじゃないのよ?」
ナディアラがたしなめる。
「頑張るもん!な?ノエル」
「うん。ラディ。一緒に頑張ろうね!」
子供たちの約束はずっと続くのは、未来でも同じ……。
庭にある東屋に向かうと、年齢未詳の父よりも年上に見える夫婦に、その娘らしい姉たちと同世代の女性と3人のラディエルと年の余り変わらない子供が遊んでいた。
「ラミー伯爵閣下、ご夫人、アレッザール子爵夫人。お客様にございます」
振り返った3人は、四人の客人に慌てて立ち上がる。
「申し訳ありません」
「いいえ、ラミー伯爵サーシアスさま、奥方のイーフェさま。アレッザール子爵夫人エリザベスさま。父が良く言っておりましたわ。本当に、先代のラミー子爵ルイス様と共に父や叔父を支えて頂き、ありがとうございます」
三姉妹は頭を下げるのを、ラディエルも真似る。
「初めてお目にかかります。マシェリナさま、ミシェリアさま、ナディアラさま、そしてラディエル王子殿下。私はラミー伯爵サーシアスと申します。妻のイーフェ、息子の嫁のエリザベス、孫のノエルとリラとベルと申します。ノエル、おいで」
「はい、おじいさま。初めてお目にかかります。アレッザール子爵長子ノエルと申します。年は9歳になりました。祖父や父のようにこの国の為、力を尽くす所存にございます。よろしくお願い致します」
丁寧な挨拶は優雅で、ラディエルですら驚く程である。
「まぁ、本当に素晴らしいわ、お父様に習ったのかしら?」
「はい!出来ることなら、父と同じように留学して、騎士になりたいと思っております」
「素敵ね。お母様やおじいさま、おばあさまも本当に誇りに思えるような騎士になれると思うわ」
「本当に。その日が来るのが楽しみですわね」
微笑む。
執事にメイドたちが東屋にクッションやティセットを整え、
「お嬢様、ラディエルさま、そして、皆さま。どうぞ」
「ありがとう、じいや」
「こちらのお菓子はとても美味しいもの、とても楽しみだったのよ」
「お嬢様方のお好きなお菓子を作らせて頂きましたわ。リティお嬢様も大好きなのですが、少食で、いつも残念がっておりますの」
メイドが苦笑する。
「あら、じゃぁ、手間はかかるかも知れないけれど、小さいサイズにして、種類を増やしてあげたらいいと思うわ」
「小さいサイズだと可愛いわよね」
「そうですわね。そうさせて頂きますわ。リティお嬢様がきっと喜んで下さいますわね」
嬉しそうに微笑む。
いつもなら穏やかな雰囲気はそのままで、もう少し固い印象だったのだが、ラディエルですら分かる程、雰囲気が変わっていた。
東屋のテーブルには沢山のお菓子が並ぶ。
そして軽食のサンドイッチに、大人の飲む紅茶に緑茶などやジュースも幾つも置かれている。
昔は、ジュースもこんなに種類はなかったような気がする。
それに、
「あれ?クッキーが可愛い形になってる」
ラディエルの声に、ノエルが、
「昨日、リティお姉ちゃんと一緒にクッキーを作ったんです。お花にお星さま、ハートマークにシェールドのパラプルに、翼の形の型抜きを料理をしているおじさんに見つけて貰って」
「リラ、大好きなお姉ちゃんのベリー味を作ったのです」
「ベルは、お花〜」
「楽しかったね?」
「〜〜っ!ぼ、僕だって!」
ムッとする弟の頭を撫で、
「今度、ノエル君たちと作りなさいね。ラディエル」
「あっ。お姉ちゃんはマカロンが大好きなんですよ。ラディエルさまも今度一緒に作りませんか?」
ノエルの声に、頰を膨らませ、
「作り方知らない……」
「お姉ちゃんや、厨房のおじさんやおばさんが教えてくれますよ。とっても楽しいです」
「ベルが粉を落としちゃったの。でも、おじさんたち怒らなかったです」
「うんしょ、うんしょってしてたの。で、ころーんしたの。ごめんなさいしたの」
子供たちが話す。
「でね?ミューおいちゃんが、抱っこしてくれて、イイコイイコしてくれたの」
「おじさんとおばさん大好き。デュアンお兄ちゃんも遊んでくれるのです」
「お姉ちゃんも手を繋いでくれるんだよね」
子供たちの言葉にニコニコと微笑む。
「今度、ピクニックに行くんです。ラディエルさまも行きませんか?」
「……まいらない」
「えっ?」
「だから、僕は、ラディ!ノエルよりも年下なんだから敬語もいらない。と、友達になってくれるなら、一緒に行く!」
ふんぞり返る弟をポンっと叩いた長女のマシェリナが、
「ごめんなさいね。ノエルくん。この子、私達と少し歳が離れていて、近い年の友達がいないのよ。なってあげてくれないかしら?リラちゃんもベルちゃんもお願いね」
頭を下げる国王の娘に、ノエルは慌てる。
「あ、あのっ、僕たちは……」
「僕がいいと言ったんだ。友達だ!」
「こらっ。ラディは、本当に誰に似たのかしら。お父様は無表情で、お母様は本当に大らかな人なのに」
ミシェリアはため息をつく。
「姉上。僕は将来、兄上の片腕になるんです。僕も、ノエルと一緒に留学する!」
「そんなに簡単なものじゃないのよ?」
ナディアラがたしなめる。
「頑張るもん!な?ノエル」
「うん。ラディ。一緒に頑張ろうね!」
子供たちの約束はずっと続くのは、未来でも同じ……。
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